いよいよライブ本番、いつもと違う“特殊”な制作進行を担うチームNornisが集合
――このインタビューでは、3月8日に埼玉・大宮ソニックシティで開催される「Nornis Orchestra Live『Concerto di luce』」の見どころを、Nornisスタッフチームの方々に伺ってまいります。本日はチームのほぼ全員にお越しいただいておりますので、皆さんがチーム内でどのようなお仕事をされているのか教えていただけますでしょうか?
プロデューサー・マネージャー I:僕はNornis全体のプロデューサーを担当しておりまして、それと同時に戌亥とこさん、町田ちまさんのマネージャーもしています。
コンテンツプロデューサー 日下:私はコンテンツプロデューサーをしています。Nornisにまつわる企画の大元や、クリエイティブ面でどういうふうに見せていこうか、ということを主に考えている人、です。
プロジェクトマネージャー 中村:プロジェクトマネージャーをしております。主にNornisが関わるプロジェクト全体を見ながら、収支表を作ったりしてお金回りのことを考えています。
コンテンツディレクター 北井:僕はコンテンツディレクターです。企画の制作進行とか、日下さんや中村さんからのオーダーにそって、プロジェクトがスムーズに進むように各所の調整などを担当しています。
音楽制作ディレクター 川田:Nornisの音楽そのものの制作に関わらせていただいています。今回のオーケストラライブに関しては、楽曲自体の制作に加えてバンドの選定など、音楽に関わるすべての業務を行っています。
A&R 奥原:僕はA&Rです。あまり聞き慣れない職種だと思うんですけど、主に楽曲の制作“以外”のことを担当しています。楽曲のリリースプランをプロデューサーと相談したり、PRのプランを練ったり。CDを出すときはパッケージを作ったり、特典を作ったりもしています。
――ありがとうございます。では早速本題に移りますが、「Nornis Orchestra Live『Concerto di luce』」は“オーケストラライブ”ということで、オーケストラが参加する形態のコンサートはにじさんじとしても初めての試みとなります。この企画の発端はどういうものだったんでしょうか?
プロデューサー・マネージャー I:Nornisが目指す方向性や、楽曲の色などを含めた世界観がオーケストラとものすごく親和性が高いと感じていて、「実現できたら素敵なものをお届けできそうだから、いつかやりたいよね」という意見が元々チーム内で挙がっていたんです。そこでいろいろとタイミングを探っていて、今回ようやく満を持して実施できる運びとなった、という形ですね。実はオーケストラライブをやりたいという話自体はだいぶ前から挙がっていたんですが、実現に向けていろいろと本格的に動き出したのはここ1年ぐらいの話なんです。
「Nornis Orchestra Live『Concerto di luce』」キービジュアル
――そうだったんですね。では日下さん、中村さん、北井さんにもこのライブに向けて具体的にどのような作業があったのかお聞きできますでしょうか。
コンテンツプロデューサー 日下:まずグッズラインナップを決めました。Nornisチームに入って最初の仕事が、このライブのグッズラインナップを決めることでした。ほかにはキービジュアルの発注資料を監修したり、「Concerto di luce」っていうタイトルそのものを決めたりすることでしたね。
プロジェクトマネージャー 中村:その後私がチームに入って、Iさんからこのライブの進行を託されたんです。グッズ制作やライブ制作といった、オーケストラライブを形作るためにちりばめられた“種”のような仕事が多くある状態で、最初は社内でイベントの企画・制作を行うイベントチームにお話を聞きまくっていましたね……。
今回いつものライブとは違う特殊な形態なので、イベントチームだけではなく、グッズ制作チームにも普段どのようなフローで進行しているのかをヒアリングして、それをひたすら模倣する、というやり方を取りました。
プロデューサー・マネージャー I:「いつものライブとは違う特殊な形態」という箇所の補足なんですが、基本的にANYCOLORが主催するイベントって、先ほども話に出たイベントチームが主体となって進めていくんですが、今回はNornisのプロジェクトチームとIPを使用したオーケストラコンサートなどで知られるButai Entertainmentさんと一緒に制作しているんです。
――なるほど。では、日下さん・中村さんのほうで出したアイデアをもとに実際に企画の細部を動かしていくのが北井さん、というわけですね。北井さん、もう少し具体的にどういう業務を担当されているのか伺えますか?
プロデューサー・マネージャー I:北井さんの仕事量が一番多そう……。
コンテンツディレクター 北井:(笑)。おっしゃる通り、日下さんが考えた草案を中村さんが種にして、僕はその種を育てて3月8日に花が咲くように一生懸命育てる人ですね。企画進行のディレクションもそうですし、Nornisのおふたりや各所への連絡といった実務もやったり、と幅広く担当させていただいています。イベントもいいものにできそうだと思っているので、僕としてはただ無事形になるように動いていくだけです。
――本番が楽しみですね。では今回のライブでの川田さんの役割はどんなものになりますか?
音楽制作ディレクター 川田:楽曲のオーケストラアレンジの監修をしたりしていますが、何より今回は“オーケストラライブ”ということで、オーケストラ以外のバンドの選定も行っています。今回のライブの内容を踏まえつつ、より本人たちの歌声に合うであろうバンドメンバーを提案しながら準備を進めている最中です。
――ライブのセットリストを考える、ということも川田さんのご担当なんでしょうか?
プロデューサー・マネージャー I:「セットリストを決める時間」っていうのを設けて、ライバーを含めて話し合って決めた感じですね。
音楽制作ディレクター 川田:そうですね。既存の楽曲の中でオーケストラアレンジに合いそうなものを選定して、提案をしました。
――既存の楽曲とひとことで言ってもいろんな雰囲気の曲がありますが、戌亥さん・町田さん含め皆さん「オーケストラにしたら映えそうな曲を」という共通の認識があったりしたんでしょうか。
音楽制作ディレクター 川田:それはあると思います。今回のセットリストも、オーケストラアレンジが加わることで、より壮大になりそうだなと感じる曲を選んでいる、という意識はみんなあったんじゃないかなと。あと音周りの話をさせていただくと、実際に会場でどんなふうに聴こえるかを考えるのも私の仕事です。今回、ネット配信チケットでの視聴も可能なんですが、配信上でどう聴こえるかという点もNornisの2名は重要視しています。去年実施したツアーのときもそうだったのですが、配信上でどう聴こえるかのチェックもしっかり行います。実際にお客さんの耳に届くところまでのクオリティ管理も私の仕事ですね。
【告知PV】Nornis Orchestra Live「Concerto di luce」【#Nornisオーケストラライブ】
――言い方がよくないかもしれないですが、オーケストラの演奏ってほかのコンサートよりもさらに現地で実際に聴くことがよいとされているイメージがあり。でもお話を伺っていると、ネットチケットで視聴していてもクオリティとして満足感のあるものを届けようとされているんだなと感じました。いつものライブ進行とは違ったご苦労があるんじゃないかなと思いましたが、その点はいかがですか?
音楽制作ディレクター 川田:オーケストラが入ることでいわゆる通常のライブよりも楽器が多くなりますよね。なのでオーケストラ用に楽曲アレンジをする、というのが大変な部分ですが、同時にすごく面白い部分でもあると思っています。そもそも今回“オーケストラコンサート”ではなくて“オーケストラライブ”と銘打っている理由は、オーケストラだけではなく、バンド演奏も入り、より“ライブ感”を出していきたいという理由もあるからなんです。“オーケストラコンサート”でもお客さんに「素敵だな」と感じていただくことはできると思いますが、少し敷居が高い印象になる可能性もあるな、という想いもありました。
Nornisの楽曲の多くはバンド演奏を軸にした楽曲が多いので、バンド演奏を軸に、そこにオーケストラがさらに花を添える、といったイメージがあり、今回“オーケストラライブ”としました。バンドとオーケストラを融合させることによって、大変さはあるけれど実現したらすごくいいものになる、という自信がありました。
プロデューサー・マネージャー I:そこにボーカルも入ってくるので、ボーカルとバンドとオーケストラの3つの掛け合わせによっていいライブになればなと。この取材から1、2週間後にリハーサルが始まる予定で、実際にオーケストラの音で本人たちが歌ってアレンジを確認していく予定なんです。だからどんなものが出来上がるか、今から非常に楽しみですね。そのリハーサルを踏まえて、さらに調整と練習を重ねていきます。
――なるほど、実際にライブに参加されるファンの皆さんはコンサートではなく、あくまで“ライブである”ということを意識していただけたらより違った視点で楽しめそうですね。ちなみに奥原さんは今、主にどんなことをされていますか?
A&R 奥原:普段のライブですと、パートナーのレコード会社さんと連携しながら、メディアの方々に記事を書いていただいたりして、ライブの素晴らしいところを宣伝して、次につなげられるようなPRをしています。今回は事前にNornisのおふたりに媒体のインタビューを受けていただくほか、当日のライブレポートも公開される予定です。ライブの良さをより広く届けていくための準備をしている、という感じですね。
「空気が変わる。きっと、息をのむ。」がぴったりはまる体験が待っている
――演出面やセットリストの曲目など、当日の見どころを教えていただけますか?
プロデューサー・マネージャー I:セットリストや演出の細かい部分はぜひ当日楽しんでいただきたい、ということを前提に今お話できるところをご紹介しようかと。今ご覧いただける範囲の情報ですと、チームとしてもキービジュアルやグッズなどからライブの世界観をしっかり作れているな、という認識です。ライブの公式サイトをご覧いただければ、「今回のオーケストラライブってこういう感じなんだ」っていう期待値が高まっていくと思うのですが、ファンの皆様に「空気が変わる。きっと、息をのむ。」というキャッチコピーがぴったりとはまるような体験は間違いなくお約束できると思うので、ぜひ楽しみにしていただきたいなと思っています。
コンテンツプロデューサー 日下:今までにじさんじのライブに来ていた人でも見たことないものをお届けできるんじゃないかなと思います。
プロデューサー・マネージャー I:「にじさんじ初のオーケストラライブ」と謳っているイベントなんですけども、シンプルにオーケストラが入るだけで、会場で感じる空気感も含めて初めての体験になるんじゃないかなと。ですから現地に来ていただける方は一番にそこを楽しみにしていただきたいですし、川田さんの話でもありましたが、配信上の音もしっかりこだわっていくので、現地に来られない方もぜひネット配信チケットでご視聴いただきたいなと思っています。
――キービジュアルからその空気を感じていますが、このライブは世界観がすごく大人っぽいですよね。
プロデューサー・マネージャー I:はい、キービジュアルでも“大人なNornis”を撮り下ろしていただいています。
――戌亥さんと町田さんの印象がガラッと変わって素敵ですね。ステージの演出面ではどういうところが見どころになりますでしょうか。
コンテンツディレクター 北井:ステージについては、造形物もオーケストラに合うものを美術さんと考えて、Nornisのおふたりも納得できるものになると思います。そこも含めて楽しんでもらえるとうれしいですね。それに現地にいらしていただければもちろん楽しいですし、ネットチケットの映像の“映え”なんかも、いつもとはちょっと違う雰囲気になると思いますよ。そこは会場に来られない方も楽しめるポイントなのでは、と考えています。
プロジェクトマネージャー 中村:あとグッズも見どころの1つだと思っていて、今回はペンライトではなくてバングルライトを作りました。オーケストラコンサートという上品な印象を残しつつ、ライブですからお客さんも一体となって楽しんでほしいという思いがあったのでバングルライトの制作をしました。あと、ミニハンカチタオルもオススメのグッズですね。我々の意図としては、ライブを見て涙ぐんだときにぜひこのハンカチで拭いてほしいなあ、って。ぜひこのハンカチを持ちながら涙を流していただければと思います。
プロデューサー・マネージャー I:感動の涙をね。
コンテンツプロデューサー 日下:実際、今回は汗をかきながら見るライブじゃないので、長いタオルよりも小さいハンカチがいいですよね。
「Nornis Orchestra Live『Concerto di luce』」グッズラインナップ
プロデューサー・マネージャー I:今回は、いわゆるライブTシャツみたいなものはないんですけど、バングルライトやハンカチもそうですし、スマホショルダーとかもライブの世界観を踏まえて作っているんです。ドレスコードは特に設けていないので、皆さん思い思いの服装で来ていただければと思うんですが、このライブグッズを身に付けていただければより楽しいんじゃないかと思います。ぜひ手に取っていただきたいですね!
――グッズのラインナップやキービジュアルからも感じられるんですが、シックで優雅な雰囲気ですよね。お客さんの服装もいつものNornisのライブとは変化しそうな予感です。
コンテンツディレクター 北井:ちょっと気になりますよね? こちらから指定はしていませんけど、皆さんはどういう格好でいらっしゃるのかなって。
プロデューサー・マネージャー I:ファンの皆さんが思っている以上に、戌亥さんも町田さんもみんながどんな格好で、どんな思いで来てくれるんだろう、そしてどんな気持ちで当日まで過ごしてくれるんだろうって楽しみにしていますよ。我々スタッフも皆さんがどういう装いでどんなことを期待しながら参加してくださるのか、めちゃくちゃ楽しみにしてます。
自分が納得できなければNornisもファンも納得しない、ライブ制作を支えるチームのこだわり
――本番に向けておふたりともコミュニケーションを重ねながら準備を進めていらっしゃると思いますが、戌亥さんと町田さんとのやり取りで印象的だった場面は何かありますか?
コンテンツディレクター 北井:僕はライブの開催が決まってからこのチームに入って、いろんなことをキャッチアップしながらふたりとコミュニケーションを重ねているんですが、「これ、うれしかったなあ」と思ったのは、舞台の美術を提案したときにほぼ一発でOKをいただけたことですね。僕がお見せした資料で「もうこれで! 何も文句ありません」というようなことを言っていただけたとき、求められてるところに一歩近付けたかなって、やりがいとうれしさを感じられました。
コンテンツプロデューサー 日下:私も似たようなことになっちゃうんですけど……。女性同士ですから感覚としては基本的に近いところがあって、スムーズに進む場面が多いんですけど、何か引っかかるところがあるときには、「こういう感じです」ってまっすぐに具体例を提示してくださるんですよ。それが私にはなかった発想だったりするので、すごくありがたいなと思っています。
あとライブのタイトルを考えるときには、私がずっとうんうんうなって考えて、こういう意図でこのタイトルにしたんですと説明を記載した文章が長いポエムみたいになってしまって……(笑)。その説明文を送って、「これで行きましょう」と言っていただけたときに、戌亥さんと町田さんの考えとか感性に近付けたなって。純粋にうれしかったです。
プロデューサー・マネージャー I:日下さん、タイトルを「Concerto di luce」にした理由を書いた文章をポエムみたいって言ってますけど、感情とロジックのバランスが取れていてすごくいい文章でしたよ。
コンテンツプロデューサー 日下:タイトルを考えるのがめちゃくちゃ苦手で……。A4用紙1ページまるまる埋まるぐらい書いてしまいました。
イベントタイトルが「Nornis Orchestra Live『Concerto di luce』」にしたい理由が書かれた説明文。(※画像を一部加工しております)
コンテンツディレクター 北井:日下さんっていつも「なぜこのタイトルにしたのか」っていう理由をちゃんと書いてくれますよね。
コンテンツプロデューサー 日下:なんとなくの感覚だけで作ったものってやっぱり人に響かないなと思うので。私が納得できるものじゃないと、Nornisのおふたりにもファンの皆様にも納得してもらえるものにならないと思ったんですよ。だから結果こう(説明文がボリューミーに)なっちゃった、みたいな。
――北井さんも日下さんも、チームとして戌亥さんと町田さんの考えに寄り添ってきた結果、解像度が上がってきておふたりの考えていることにフィットする案を出せるようになってきたっていうことなのかなと思いました。中村さんはどうですか?
プロジェクトマネージャー 中村:またグッズの話になってしまうんですけども。グッズのサンプル確認をしていただくときに、「すごいかわいいー!」っていう反応が、作っている我々と同じで。だからチームとNornisが同じ気持ちを共有しているというか、一緒に作る過程を分かち合えた気がしました。
――ちなみにグッズのラインナップの中ではどれが一番反応がよかったですか?
プロジェクトマネージャー 中村:基本全部ですね! オルゴールにアクリルパネル、スマホショルダー、ミニハンカチタオル……全部「かわいい!」ってすごい勢いで言ってくださるので、こっちとしてもうれしかったです。例えばキャンディの断面は、チーム内で素案を作ったときに「これだ!」と直感したものをお見せしたんですが、「これで行きましょう!」って我々と同じぐらいの熱量で言ってくださいました。
#Nornisオーケストラライブ グッズ紹介② #shorts
コンテンツプロデューサー 日下:こっちのやりたいことと彼女たちの気持ちがいい感じにマッチするようになってくるんですよね。
プロデューサー・マネージャー I:やっぱりタイトルを始めとして、コンセプトから世界観をしっかり作れてきたからこそ、「キービジュアルはこういうもので、グッズはこうだよね」っていう感覚が、チームメンバーもライバーもスッと入ってきたのかなと思います。
――なるほど。川田さん、楽曲制作の現場ではいかがでしょう。
音楽制作ディレクター 川田:戌亥さんと町田さんには楽曲制作にも積極的に参加してもらっていて、私が楽曲のテーマを提案しつつ、本人たちの意見をヒアリングするミーティングを重ねています。レコーディングをするとき、本人たちは「こういうふうに歌いたい」というイメージを明確に考えてきてくれるので、そこを軸に、私の客観的な意見を加えて、より良いものにしていく、ということをしています。本人たちの意向と、客観的な私の視点とを、レコーディング中にキャッチボールをする、そういう場面がレコーディングではたびたびあります。
例えば戌亥さんと町田さんのイメージだけですでに完成してるものがあったとして、私が客観的な視点でお話しした意見が、そのまま採用されることもあれば「私たちはこういうふうにしたかったんです」と説明してもらうこともあります。そこの部分ってすごく繊細なことでして、例えば、ブレスの位置や歌を伸ばす長さまで、本当に細かいところまで本人たちの表現したいことはほぼほぼ決まっているんです。
その思いと、私からの客観的な意見のすごくいい“ぶつかり合い”が生まれて、緊張感もありましたが、とてもいいレコーディングとなりました。 あとは楽曲制作の過程で、打ち合わせをすごく重ねられたことがよかったなと思っています。
楽曲がある程度出来上がったタイミングで「この曲にどうやって気持ちを入れて歌おうか」という話し合いもちゃんとできたことも、よかったですね。例えば頭サビ箇所について、「私は少し優しく、はかなげな歌い方がいいかなと思ったのですが」と伝えた際、戌亥さんと町田さんからは「ここには強さが欲しいと思っています!」といった具合に、とても建設的な話ができました。Nornisにはさらなるステージに羽ばたいていってほしいし、そのために私も尽力したいと思っています。
Nornis
――戌亥さんも町田さんもアーティストとしてそのキャリアを重ねられてきて、ご自身のやりたいこともはっきりされていると思うのですが、 そうやってNornisとして川田さんにぶつける意見っていうの偶然初めから一致しているんでしょうか? それとも事前に戌亥さんと町田さんが話し合って「こうしよう」と決めているのか、どっちなんでしょう?
プロデューサー・マネージャー I:ケースバイケースではありますね。現場で川田さん含めて3名で各々の意見をぶつけ合っていくみたいなときもあるので、その場で戌亥さんから「わたしはこう思うけど町田はどう思う?」って聞いている場面も全然あります。かと思いきや、もう阿吽の呼吸というか、言い出しのタイミングもフレーズもかぶるぐらい意見が揃うこともあるんですよ。そこはさすがだなって思います。とはいえ、お互いに意見をぶつけ合うことも時には大切だと思いますね。
音楽制作ディレクター 川田:私の役割として大事なのは「客観的に物事を見て判断する」ことかなと思っています。Nornisの2名だけで完成させて、すごくいいものになることはもちろんありますが、せっかく私がいるので、客観的に見て意見を出して、最終的にさらに良くなるように導いていく、みたいなところを目指したいなと思っています。
――実際に曲を聴く第三者の立場での意見、ということですかね。
音楽制作ディレクター 川田:それもあります。例えば今回のライブをオーケストラのみにするか、バンドを入れるか、みたいなこともそうなんですけど、そういった点では一応音楽業界で何年か働いてきた人間の意見として、提案させていただいています。Nornisの2名とは、建設的な話し合いができているんじゃないかなと思っています。
――なるほど、ありがとうございます。ちなみに奥原さんは、ここまで出たチーム内の動きっていつもどの程度把握されているんでしょうか?
A&R 奥原:役割としてほかの皆さんほど戌亥さんと町田さんと接するタイミングがないので、コンテンツ制作部分については「今回はこんな感じだったよ」と常々お話を聞きながらおまかせしていますね。だからある意味客観的な視点で僕から見たおふたりへの印象をお話すると、やっぱり今までボーカリストとしてすごく腕を磨いてきた方々だと思うんですけど、スタッフとディスカッションしながら自分自身も制作に携わると当然パフォーマンスにもいい影響が出るでしょうし、おそらく語る言葉なんかもすごく肉厚なものが出てくるようになるんじゃないかと思うんです。だから僕の役割としては戌亥さんと町田さんの言葉を正確に、より広く届けていかなきゃなっていうところですね。今度このライブについてのインタビューがあるので、どんな話が出てくるかちょっと楽しみにしてます。
――奥原さん自身も客観的な視点で、とおっしゃっている通り、実際にその光景を目にするのではなくチームメンバーから話を聞くということでより期待感が高まっているかもしれませんね。
プロデューサー・マネージャー I:前回のツアー(Nornis LIVE TOUR 2024 -Tensegrity-)をやっていた頃にはオーケストラライブの開催も決まっていたし、Nornisチームも体制が変化して今の形になることがある程度決まっていたんです。僕がそのときから意識してたのが、ライバーさんを含めチームのコミュニケーション量を増やしていきたいっていうのと、できるだけ戌亥さんと町田さんにも物作りに携わってもらって、Nornisの世界観を一緒に作っていきたいっていうことでした。
我々スタッフは言ってしまうとやっぱり裏方であって、ファンの皆さんの前に直接出ることはないので、Nornisの世界観って結局ライバーさんのパフォーマンスを通して世に出ていくものだと思うんです。となると裏方である我々だけで作ってもしょうがないですし、逆にライバーさんだけで作るとなっても視野が狭まってしまったり、やりきれない部分も出てくると思うので、ライバーさんと我々が1つのチームとして物作りをして、皆さんに素敵な体験を届けていきたいっていう思いが強くなったんです。結果的にその方が表面的なものではなく、もっと芯をとらえたものが、ファンの皆さんに届くのかなと思っています。
ですからコミュニケーションにすごく重きを置いて、Nornisというプロジェクトを今後どういう方向に進めようっていう話から、ライブのコンセプトだったりとかそれに関する楽曲のやグッズのコンセプトといったものを、割と上流の部分からライバーさんとも丁寧にやりとりを重ねています。「Concerto di luce」はそういった体制になってから初めて届けるライブになるので、Nornisチームとしてもある種新しい試みなんです。
――では「Concerto di luce」はそんな新Nornisチームの集大成になるライブですね。
プロデューサー・マネージャー I:そうですね、集大成であり新たな一歩になるのかなと感じています。そこに対してNornisもモチベーション高く活動してくれているので、この好循環みたいなものが今後も続けられたらいいなと思っています。
今後の活動は質も物量も変化の予感、「覚悟してついてきてほしい」
――ここからは少し話題を変えてNornisのプロデュースについてより突っ込んだことをお聞きしたいと思います。新体制が始動して数か月経った状態ですが、率直にチーム内の空気はいかがですか。
コンテンツディレクター 北井:バチバチしてます。
プロデューサー・マネージャー I:いやいやいや(笑)。でも個人的にはやっぱり言いたいことはできるだけ言える環境の方がいいなと思ってて。僕たちのように人の熱量を糧とするコンテンツ系の仕事ってお客さんを熱狂させて成り立っているものなので、それに関わる人間も仕事をするうえで絶対感情が乗っていないといけないと思っているんです。
それを大前提と考えたときに、自分の感情や意見・思いを押し殺していると、恐らくいいものはできないと思ってしまいますね。 もちろん冷静なマーケティングの視点っていうのも大事だと思うんですけども、そもそもの感情を殺してるうちはいいものは作れないなって思っている派なので、バチバチするっていうことは必ずしも悪いことではないのかなと……勝手ながら思ってます。
コンテンツプロデューサー 日下:みんなちゃんと、いつも自分の言いたいこと言ってるじゃないですか(笑)。
コンテンツディレクター 北井:そうですよ、ワンチームです。
プロデューサー・マネージャー I:言いたいことを言いつつもお互いにリスペクトとか思いやりの気持ちを持っていれば、バチバチしてもそこまで致命的なことにならないよねって。
プロジェクトマネージャー 中村:ちゃんとリスペクトの気持ち持ってますよ!(笑)
プロデューサー・マネージャー I:(笑)。なので最高っていう話です。
――(笑)。先ほどIさんが新体制になるにあたってコミュニケーションを増やして、戌亥さんと町田さんも制作により関わってもらうようになったとおっしゃっていましたが、それによってお仕事の仕方が変わったりしたところはありますか?
コンテンツプロデューサー 日下:Nornisっていう“ブランド”の色をより濃くしていくために今の体制が出来上がったんですが、川田さんとIさんたちがどういうテーマにするか、どういう方向性にするかみたいな曲の上流のところからライバーさんたちとお話してくださってるおかげで、私も以前よりМVなどが作りやすくなりましたね。楽曲にどんな気持ちを込めているのか、とか、どういう曲にしたいかっていう生の声を聞けてるので、私は「じゃあこういう構成のMVにしようかな」「こういうビジュアルがいいかな」っていう工夫がすごくしやすくなったと思います。
プロデューサー・マネージャー I:やっぱりこうしてチームのマインドが揃うと、プロジェクト自体の濃さというか輪郭みたいなところがくっきりしていくので、今の体制は良いなと現状思ってますし、今後も続けていきたいなと思っています。
【ネット配信視聴チケット販売中】Nornis Orchestra Live「Concerto di luce」【#Nornisオーケストラライブ】
――お話を聞いていると皆さんすごく和気あいあいとお仕事をされていますし、すごくいい形でNornisチームが回っているんだなと感じます。今後のNornisの展開について、お話しいただける範囲でけっこうなんですが、「今後Nornisのこういう姿が見せられそう」という予定をお聞きしたいです。
プロデューサー・マネージャー I:多分、皆さんのご想像よりも、コンテンツの量っていうのは増えていっていろんな世界観を楽しんでいただけるんじゃないかなと思ってます。今回のオーケストラライブもNornisが見せてくれる新しい世界観の1つだと思いますし、今後Nornisだけが作れるような新しい世界を体感してもらえる機会がより増えるようなことも考えています。それらも今言ったような体制でやっていくので、よりチーム一丸となって、Nornisの思いもしっかり乗っかったものとして提供できると思うので、ファンの皆さんは覚悟してついてきてほしいなと!
――新しい情報がどんなものになるか楽しみです! 川田さん、音楽面での展開はいかがですか?
音楽制作ディレクター 川田:それぞれの新しい魅力を発見できるようなことを試みたいと思っています。 例えば、町田さんの深みのある低域を今まで以上にフィーチャーしてみることや、戌亥さんの少し張り上げた、きらびやかな高域を今まで以上にフィーチャーしてみるなど、今までよりもさらに新しい魅力を引き出していくことを積極的に行っていきたいと思っています。
――なるほど、これまで抱いていた印象がガラッと変わる曲も生まれそうですね。それでは、最後となりますが3月8日のライブ本番を楽しみにしているファンの皆さんに向けて、チームを代表してIさんからメッセージをお願いします。
プロデューサー・マネージャー I:今回は会場がコンサートホールということもあって、お客さんへの音の伝わり方がいつもと違うと思うんです。それに本番まで詳細を明かせないんですが、皆さんが思ってる以上にすごい編成で向かう予定ですので、ぜひ期待していただきたいなと! ステージの演出周りも素敵なキービジュアルの世界観と合わせて作っているので、そういう意味では音だけじゃなく、その時間の体験すべてを楽しんでいただけたらうれしいです。
もちろんネット配信でご視聴の皆さんにもよいものをお届けできるように、川田さんが中心になって配信に乗せる音もしっかりこだわっています。だから配信でもオーケストラライブの良さっていうのが伝わるのかなと思っているので、残念ながら今回現地に来られなかった方も配信で楽しんでいただいて、もし次の機会があれば、その際はぜひ現地にお越しいただければなと思っています!