「さんばか 5th Anniversary LIVE〜3!参!SUN!〜」レポート
会場では開演前にも関わらず、観客席のあちこちからアンジュ、戌亥、リゼを呼ぶ声が響いていた。オープニングムービーのあと、さんばかの代表曲とも言える「3倍!Sun Shine!カーニバル」でライブがスタート。「アンジュそこ! 戌亥ここ! リゼひよこ⁉ ハイ!」の掛け声に合わせてステージ下から、アイドル衣装を着た3人が元気いっぱいに飛び出すと、会場のテンションは早くもMAXに達した。会場が一体になり、「いぬいどんどんすきになる」「リゼがどんどんすきになる」「アンジュどんどんすきになる」のコール&レスポンスが大音声で響く。2曲目は同じく3人組である後輩ユニット・Ranunculusのデビュー曲「DONBURA KONBURA SPEAKERS」のカバーを披露した。
歌い終わりと同時に、アンジュと戌亥が左右のステージ袖に消え、1人で取り残されてしまったリゼ。「取り残されることある? 2人とも⁉ 何今の?」とリゼがうろたえていると、アンジュが「ったく、俺たちがいないと何もできないんだから」とあきれたようなセリフをつぶやきながら、戌亥とともに現れる。その後もいつもと変わらないにぎやかな掛け合いを見せた3人は、3曲目である三月のパンタシア「三月がずっと続けばいい」のカバーへ。色とりどりの照明を受けて無数のシャボン玉がきらめく中、3人は軽やかにステップを踏みながら美しいユニゾンを響かせた。
さんばかの活動5周年を記念するライブということもあり、ライブでは彼女たちの5年間をおさらいする映像「さんば活動記録」がスクリーンに投影される。vol.1では2019年3月に行われた3人の初配信の模様に始まり、クッキー作りや闇鍋など「さんばか24h」での名場面、ヘルエスタセイバーでの真剣白刃取りなど活動3周年までの記憶に残る場面の数々が映し出された。
続いて、さんばか内で生まれた各コンビによるカバーパートへ。アンジュとリゼによる“リゼアン”はナナヲアカリ「チューリングラブ feat.Sou」でスピーディな掛け合いと息ピッタリのコミカルなダンスを披露する。戌亥とリゼの“ひめべろす”は、Nem「嗚呼、素晴らしきニャン生」をセレクト。戌亥が自由を愛する野良猫、白い猫耳としっぽを生やしたリゼが優雅な飼い猫になり、キュートに歌い上げた。そしてアンジュと戌亥の“とこアン”コンビが選んだのは、横浜銀蝿のヒットナンバー「ツッパリ High School Rock'n Roll(登校編)」。アンジュが釘バット、戌亥が木刀を手に、愛らしいながらもガラの悪いツッパリになりきって見せた。
ライバー活動4年目と5年目の名シーンをピックアップした「さんば活動記録 vol.2」では「さんばかを一番よく知っているのは誰だ!さんばか王決定戦!!」、「さんばか 5th Anniversary LIVE〜3!参!SUN!〜」の開催が告知された「クイズ!◯◯なライバーランキング~正解するまで告知できません~」のワンシーンが切り取られた。ここから、3人がそれぞれのオリジナル曲を披露するソロパートへと突入。先陣を切ったのはアンジュ。アンジュファンであればニヤッとするエッセンスがたっぷりと詰め込まれた初オリジナル曲「Alche Miss Katrina」では、歌いながらステージ上のテーブルで錬金にトライする。急に会場が暗転し、明るくなるとそこには初披露となった共通衣装姿のアンジュが。情熱的な恋愛アプローチを歌詞に落とし込んだ「猪突猛進☆セレナーデ」では、共通衣装をファンに見せるように、アンジュは全身をめいっぱい使った愛らしいダンスを披露した。
続いてリゼの「ハッピーエンドをはじめから」では、リゼがゲームの中に入り込んだような映像演出が組まれ、さまざまなにじさんじライバーと出会いながらリゼがヘルエスタセイバーを手に“魔王“と”まおう“に向き合う様子が描かれた。そこから続く「Stardust flow」では、ストリングスのイントロで会場が一気にセンチメンタルな空気に包まれる中、ブランコに腰かけたリゼがステージ天井近くからゆっくりと登場し、観客を驚かせる。透明感がありながらも力強いリゼの歌声に、観客はすっかり聴き入っていた。
ソロパートのラストを飾るのは戌亥。「地獄屋八丁荒らし」で艶っぽい歌声を響かせて観客を引き込んでいく。「テレスコープ」では歌詞にちなみ、ステージ上にテーブルとコーヒーカップ、サイフォンが現れ、まるで喫茶店を思わせるようなセットに囲まれリラックスした様子で歌う戌亥。間奏中には戌亥が観客に向かって大きく手を振り、観客は緑色に光らせたペンライトを振って応えた。
МCパートでは、戌亥が「この衣装になったということは、(3人で)並んでみたいんじゃないですか?」と言いながらアンジュとリゼを呼び込み、共通衣装姿の3人が揃ってポーズを決める。アンジュが「イエーイ! かわいいでしょう!」と回って見せると、観客から割れんばかりの「かわいい」コールが飛んだ。喜んだアンジュはさまざまにポーズを取って見せるも、戌亥から「こんなこと言うのもなんだけどさ、 1個1個の動作が古い……」とつっこまれていた。
いよいよ終盤となり、残り2曲でライブが終わることが明かされる。「やっぱりさみしいか。じゃあみんなの近くに行っちゃおっかな」というリゼの言葉に会場がざわめく中、「Hurrah!!」のイントロが鳴り響き、ステージ横から3人を乗せたトロッコが現れる。なおライバーがトロッコに乗ってライブ会場を移動する演出は、にじさんじが行うリアルライブでは初めての試み。さんばかがステージを降りて自分たちに近づいてくるというサプライズは、会場に大きな驚きを与えた。手を振りながら歌う3人が近づいてくると、観客は興奮した様子で手を振り返す。
ステージに戻った3人は、いつもより観客と距離が近づいたことを喜び、「楽しかった!」「目合った?」とはしゃぐ。そしてライブ本編最後の曲に選ばれたのは「みつぼしパレード」。ステージ上の階段に腰かけ、流れ星が踊る夜空の映像をバックに、3人は会場に向かって大きく手を振りながらハーモニーを響かせた。
3人がステージ袖に消えると、すぐさま観客から盛大なアンコールの声が。アンコールに応えるように「さんば活動記録 EX」が上映されたあと、ステージ上のスクリーンには突如、新曲のタイトル「6倍!! Rock 'n' Roll!! フェスティバル!!」が映し出され、会場からこの日1番の歓声が上がった。“3”をかたどったお揃いのサングラスをかけて、再びステージに現れた3人。「6倍!! Rock 'n' Roll!! フェスティバル!!」は疾走感あふれるギターサウンドが特徴的なハイテンションロックとなっており、曲中には会場とのコール&レスポンスも。「さんばかってなんやねん⁉」と会場に呼びかける3人に、観客は「さんばかって愛やねん!」と力強く答える。新曲にもかかわらずさんばかと観客はコンビネーション抜群の掛け合いを繰り広げ、会場の熱が上がっていく。
ここで3人は、本日の感想を語り合うことに。リゼはライブが終わる気配を感じ「やだやだやだ」とごねるも「たくさんの人にお集まりいただき、ありがとうございます。こうしてライブができるのも、(ファンの)皆さん、スタッフさんと、さんばか……私を含む(笑)で実現できたことなのでうれしかったです」とほほえむ。「普段はインターネットのウインドウ越しに皆さんと交流することが多いんですけど、こうして直に皆さんのパワーを感じて元気が出たし、コーレスとかしてくれてめっちゃうれしかった! これからもさんばかのことをよろしくお願いします」と結んだ。
戌亥は「(本来の開催時期だった)6月の本番に向けた2人のがんばりも見てたし、(延期になって)悔しそうにしていたのも見てたので、その分今日にかける思いが強かったんじゃないかと思う。素敵な思い出にできたんじゃないかと思うんですが、皆さんはいかがでしょうか?」と語りかける。「生きていれば起こることって、ポジティブなことばかりじゃないけど、でも乗り越えた先にはいいことがあると思う。わたしはさんばかでよかったし、にじさんじでよかった。皆さんこれからもさんばかを、にじさんじをよろしくお願いします。本日は本当におおきに!」と感謝を告げた。
戌亥の挨拶中にすでに涙ぐんでいたアンジュは「いやあ、楽しかったあ……。ここまで来れたのも、スタッフの皆さん、見に来てくださった皆さん、私を含むさんばかのおかげ。改めて延期になってしまった件は申し訳ない」と頭を下げようとするも、戌亥とリゼに「ダメダメダメ!」と止められる。あふれ出る涙をこらえながら、アンジュは「(延期したぶん)ブラッシュアップできたと思う。本当にガチで楽しかった! さんばかでよかった!」と声を張り上げる。アンジュに加え、横にいたリゼも感極まってしまい、戌亥は「置いていかないでよ! わたし、あくび4回しないと泣けないんだから……!」とうろたえつつ、「となりで泣いてる人たちくらい、人間たちは心優しい人が多いですね。こんなにあたたかく声援を送ってくれるんですから。皆さんに囲まれて幸せですよ」と述べた。
正真正銘のラストとなった楽曲は、ライブ1曲目と同じく「3倍!Sun Shine!カーニバル」。しかし今回はライブのフィナーレにふさわしく、激しいバンドサウンドで会場を揺らす“ウルトラバンドエディション”での披露となった。コール&レスポンスパートは、さんばかとともにこの日のライブを盛り上げたバンドメンバーバージョンも展開され、大にぎわいのうちのライブが終演。最後にさんばかは「絶対また会おうね!」「次はもっとすごくなるから!」「さんばかはみんなのことが大好きなんだから!」と客席に語りかけながら退場していった。
ライブを終えたさんばかからコメントが到着
アンジュ・カトリーナ
ライブが終わったんだという実感が少しずつ湧いてきているのですが、とにかく余韻がすごすぎて色んな感情が浮かんでは消えていきます…。純粋に楽しかったなという思いから良いライブだったなぁという自分への称賛だったり(笑)、あとやっぱり終わってしまったという喪失感までいろいろ。深く考え出すと今でも泣けてしまう。最高だった…。
戌亥とこ
始まってからがあっという間すぎて、正直終わってしまった実感もあまりないままふわふわしてます。でも、客席から届いた声援やペンライトの光、みんなの顔も、配信を観てくれた方々のコメントは確かに記憶にあります。本当に素敵な思い出だったと思えるし、またみんなに会える日が来たらいいなという気持ちです。
リゼ・ヘルエスタ
本当にライブが終わったのか?という実感の沸かない部分と、終わっちゃったんだ……という寂しさがせめぎあっています……。皆さんの感想ポストやメッセージを拝読しながら、ようやく非現実的な空間から現実へと帰る準備ができている感じです。ライブ中の時間をこんなにもたくさんの方々と共有できたことを本当に嬉しく思います。
「さんばか 5th Anniversary LIVE〜3!参!SUN!〜」武蔵野の森総合スポーツプラザ メインアリーナ(東京)セットリスト
1. 3倍!Sun Shine!カーニバル
2. DONBURA KONBURA SPEAKERS(カバー)
3. 三月がずっと続けばいい(カバー)
4. チューリングラブ feat.Sou(リゼアン、カバー)
5. 嗚呼、素晴らしきニャン生(ひめべろす、カバー)
6. ツッパリ High School Rock'n Roll(登校編)(とこアン、カバー)
7. Alche Miss Katrina(アンジュ・カトリーナソロ)
8. 猪突猛進☆セレナーデ(アンジュ・カトリーナソロ)
9. ハッピーエンドをはじめから(リゼ・ヘルエスタソロ)
10. Stardust flow(リゼ・ヘルエスタソロ)
11. 地獄屋八丁荒らし(戌亥とこソロ)
12. テレスコープ(戌亥とこソロ)
13. Hurrah!!
14. みつぼしパレード
アンコール
1. 6倍!! Rock 'n' Roll!! フェスティバル!!
2. 3倍!Sun Shine!カーニバル ウルトラバンドエディション

さんばか 5th Anniversary LIVE 〜3!参!SUN!〜