シェリン・バーガンディの徹底ぶりに驚嘆、準備から見えた4名のこだわり
――皆さんは司会をされる際にどんな準備をされていますか? また、本番前にしているルーティンなどがあれば教えてください。
夢追翔(以下、夢追):僕はまず事前にいただいた台本を読み込みますね。台本の内容を頭に入れておけば、現場の会話にどう返すかを考える余裕が生まれるので、準備として必ずやることの1つです。
あとは台本を見ながら「この企画なら、このタイミングでこういうやり取りがあるかな」「この出演者がいるなら、こうやってふざける展開がありそうだな」と予想したり、「企画に対して、こういう意見を言いたい」みたいなことを考えたりして、台本にメモを書き込んでいますね。
シェリン・バーガンディ(以下、シェリン):夢追さんは「すごい整えてから来るな」って思ってる。今年の8月に配信された特別版の「にじヌ→ン」(「にじヌ→ン夏祭り2025〜後輩たちが大集合!夏の最終決戦SP〜」)でもやっていたあの口上、毎回決めてきてるでしょ?
リゼ・ヘルエスタ(以下、リゼ):「新人潰し続けて何年」ってやつだ。
夢追:そうそう、「夢叩潰(ゆめたたきつぶす)です」っていう自己紹介(笑)。あれは決めてるね。
シェリン:共演するたびに「毎回決めてくるし、毎回やってて偉いな」と思ってる。
夢追:僕はアドリブで爪痕を残せないタイプだから、準備をして作戦も立てていくんだよね。
リゼ:先輩、まだ爪痕を残そうとしてるんですか?(笑)。
五十嵐梨花(以下、五十嵐):もう十分ですよ!
全員:(笑)
シェリン:でも夢追さんが最初にあの自己紹介をすることで、後輩たちはふざけやすくなると思うんだよね。出演者とのやり取りを想定してくるのも言われた側は「この人は自分のこの部分を知ってくれてるんだ」ってきっと安心できるし、やりやすいだろうなって感じる。
夢追:なんかすごい褒めてくれるな。
シェリン:僕は夢追さんの司会をけっこう参考にしてるし、いつも刺激を受けてるよ!
夢追:ありがとうございます。あともう1つやっているのが、ツッコミが上手な芸人さんの動画を観て、自分も面白いと勘違いするってこと(笑)。
リゼ:めっちゃわかる。バラエティ番組で面白いトークをしてる芸人さんを観ると、勢いとかその人のエネルギーが自分に乗ってくるような気がするんだよね。
にじヌ→ン夏祭り2025〜後輩たちが大集合!夏の最終決戦SP〜【#にじヌーン夏祭り】
シェリン:僕は最近、流れを作り込むというより出演者を理解することを中心に準備していますね。最初はベテランのお笑い芸人さんみたいに、自分の力で場を回せるMCになろうとしていて、事前に本番でするやり取りも想定していってたし、番組の流れをイメージした方向へ整えることもあったんです。
でもあるとき、芸人さんっぽい司会をして「ボケてもらえるかも?」と思って弱めに振ってみたら、出演者さんが混乱しちゃって……。「この方向性は違うかもな」と気付きました。
リゼ:シェリンさんって穏やかで紳士的なイメージがあるから、突然の芸人さんっぽいフリに驚いただけじゃないかな。
五十嵐:絶対そうだと思います!
シェリン:それもあるかも。でもその経験があったから、ここ2年くらいは「落ち着いたMCに徹しよう」という気持ちでやってる。「にじヌ→ン」の司会を始めた頃は、画像ネタを自分で作っていって、スタッフさんに出してほしいってお願いすることもあったんだけどね。
例えば、リゼさんがMCだった初回放送のとき、剣持(刀也)さんがエンディングで「セットをバキバキに破壊して帰ります」って言ったでしょ。僕は翌日の放送回のMCだったから、「それを再現しよう」と思ってさ。壊れたセットを自分で作ってスタジオに持っていったんだよね。
【8/17(火)号】夏休み特別企画「にじヌ→ン」【#にじヌーン】。番組冒頭には壊れたセットが映し出されている。
リゼ・五十嵐:すごい!
夢追:シェリンは“準備の人”だよね。今日のメンバー中で一番じゃないかな。
シェリン:時間はかけるほうかもしれないね。今話したような準備をしているときもあったけど、最近は配信を観て出演者の下調べをするのがルーティンかな。あと、僕は普段ライバーさんとの絡みが少ないから、楽屋で一生懸命しゃべってる。「シェリンさんってどんな人なんだろう」って思っているライバーが多いはずだから、適度な距離感で声をかけつつ、たまに知らないふりをして配信の内容を聞いてみることもあります(笑)。
配信のチェックで言うと、僕は2024年から「マリオカートにじさんじ杯(以下、マリカ杯)」を主催しているんですけど、開催前には出場するライバー全員の配信に目を通すんですよ。1年間分の配信はほぼ観てるかな。
五十嵐:マジですごいですよね。
シェリン:ライバーの二つ名と口上を考えるためでもあるんだけどね。そういう準備が終わったら「あとはテンションを上げるだけだ」ってことで、スタジオへ向かう車の中で熱唱してます! アニソンを流して、男女のデュエット曲も全部1人で歌ってる(笑)。おかげで声量が上がりましたよ。
リゼ:もう十分だよ(笑)。私はおふたりほど入念に準備をするわけではないですね。台本も事前に読み込むというよりかは、本番前にスタッフさんが説明してくれるタイミングで細かく目を通すタイプなんです。
その代わり、出演する人の基本的な情報や最新の配信はけっこうチェックしますね。あまり関わったことがない人であれば、先輩や後輩との接し方は特に注意して見るようにしますし、強めにツッコんでいいタイプか、ボケるための準備がほしいタイプか、本人にとってどういう接し方が一番心地いいのかも考えています。そう思うと、私が司会をするときの準備や心がけは、自分より共演者に向いているかな。
夢追:夢追とシェリンは自分中心なタイプってこと?(笑)。
リゼ:そういうことに……なっちゃうか!
全員:(爆笑)
シェリン:リゼさんは会話術がすごい。相手がボケかツッコミかを話しながら見極めて、それに応じてボケたり、ツッコミを入れたりするんだよね。そうやって会話を成立させつつ、周りを和ませることができる。本当にうらやましいよ。
夢追・五十嵐:わかる!
五十嵐:しかも、話しやすい話題を絶妙なタイミングで振ってくれるし、うまく返せなくても
ちゃんと受け止めてくれるんですよね。
リゼ:うれしい! そんなふうに言ってもらうのは初めてだな。
――リゼさんの適応力の高さがとても伝わってきました。五十嵐さんはいかがでしょうか?
五十嵐:私も夢追さんと同じく、司会のお仕事をいただいたらまず台本を読み込みます。皆さんとは違って司会の経験が多いわけではないので、「とにかく台本に書いてあることをしっかり進行しないと」っていう段階なんですよね。
リゼ:わかる、それが一番だよね。
五十嵐:そうなんです。司会者として一人前になるためには、番組を滞りなく進行できることが大前提だと思うので、「まずは土台をしっかり作ろう」と台本を読み込んでいます。同時に共演するライバーさんがどういう方なのか知るっていうのは私もやっていますね。基本的な情報を調べたり、最近の配信や切り抜き動画を観たりしています。
あとはしっかり声が出るように喉のケアをしていますね。MCの声が聞きづらかったらみんな困ると思うので。
夢追:それは大事!
リゼ:そうだよね。私、今のところ3割失敗してるんだよな。特に「にじヌ→ン」は収録がお昼だから本当に声が出ない(笑)。
シェリン:そんなふうに思ったことないよ。
五十嵐:聞き取りやすい声ですよね!
トラブル=挑戦、想定外を楽しむ夢追翔の胆力
――司会のお仕事をする中で、楽しいと感じる瞬間はどんなときでしょうか?
夢追:自分が想定していた通りに番組が盛り上がったときは楽しいですね。さっきシェリンが言ってくれたように、自己紹介のつかみがウケたときとか。
シェリン:マジであのシーンだけ切り抜いた動画を作ったほうがいい!
リゼ:夢追さんの“つかみ集”ね。
五十嵐:勉強になりそう!
夢追:やめてください(笑)。あと僕、番組中にトラブルが起こったときに「楽しいな」って思うタイプなんですよ。例えば、機材トラブルでその場を10分つながないといけないとか、ゲームの大会で対戦相手の振り分けがうまくいかず、しばらく画面にMCしか映ってない状況で話さないといけないとかね。その時間は僕にとって“準備していない領域”なので、「これは挑戦だ」「何しゃべろうかな」ってワクワクします。
五十嵐:おおー!
リゼ:私は慌てちゃうけどな(笑)。
夢追:でもたぶん、その様子も面白いって思ってもらえるじゃん。トラブルで場をつなぐ時間は基本的に自由だし、想定外のチャレンジができるから面白いんですよね。
リゼ:私はライバーたちの面白いやり取りをうまく拾えたときに楽しいと思うかも。番組中は進行やコーナーごとの所要時間といった制限があるじゃないですか。だからすべてのやり取りを拾うのはなかなか難しいんですけど、「ここぞ」ってタイミングで面白いやり取りを拾えたり、自分に振られたボケやコメントをつかめたりしたときはうれしいですね。「私、よくやった!」って自分を褒めています(笑)。
夢追:面白いやり取りはできるだけ拾いたいよね。
リゼ:そうですね。基本的に番組の権限はMCにあるし、拾うも逃すもMC次第なので、うまく舵取りができたときは「楽しいな」って思います。
――なるほど。シェリンさんはいかがでしょうか?
シェリン:僕はまた司会を任せてもらえたときですね。
五十嵐:ああー! わかります。
夢追:自分の司会が評価してもらえたと思うってことか。
シェリン:僕が司会を任せてもらえた理由って、公式番組にゲストで出演したときの振る舞いが「司会っぽい」と思ってもらえたからだと思うんです。でも自分的には「これで大丈夫かな?」って毎回不安なので、「次もお願いします」って番組やイベントで指名してもらえるとうれしくなります。
司会をしている最中にも楽しい瞬間はありますけど、自分の司会が評価してもらえたと実感したり、視聴者さんの「楽しかった」ってコメントを見たりした瞬間が一番楽しいって感じるかな。
夢追:シェリンは自分の出た番組って観る?
シェリン:多少かな。切り抜き動画やSNSで話題になってるシーンとか、「ここは振り返っておいたほうがいいかも」って部分は観るけど、自分の司会をチェックする意図では観ない。僕は反省点をその場でメモしておくタイプなんだよね。
夢追・リゼ・五十嵐:おおー!
シェリン:反省点を1つずつクリアしていこうみたいな意味合いでね。それでそこに、さっき話していた「無茶振りをしていい相手を見定めよう」っていう反省とかを書いておくわけですよ(笑)。「にじヌ→ン」の場合、その時期の配信が終わったら次は半年とか1年後なので、「来年の僕、がんばれ!」と思いながら書いてます。
五十嵐:私もシェリンさんと同じですね。番組が終わった後に共演したライバーさんやスタッフさんが声をかけてくださったときとか、視聴者さんやファンの方からの「聞きやすかった」「このやり取りを拾ってくれてありがとう」っていうコメントを見たときに、「司会をやってよかったな」「司会って楽しいな」と思います。
まだまだ経験が浅いし反省することも多いので、また呼んでいただけると「期待してくれてるってことですか!?」ってうれしくなるんです! MCとしてはやっと卵にヒビが入ったくらいだと思っているので……。
夢追:そんなことないよ! でもやっぱり、また司会として呼んでもらえたり、企画の配信でMCに指名してもらえたりするとうれしいよね。
五十嵐:そうですね。挑戦と経験をさせてくれているんだなって感じます。やっぱり夢追さん、リゼさん、シェリンさんは圧倒的な実力と信頼があるじゃないですか。
シェリン:(笑)
リゼ:いやいや!
夢追:そんな……そんな!
五十嵐:ありますよ! ガチで尊敬しています。
リゼ:後輩にヨイショさせてしまった(笑)。でもうれしいね!
夢追・シェリン:ありがとうございます。
五十嵐:こんなにすごい先輩方がいるにもかかわらず私を指名してくださるのは、やっぱり期待してくれているからだと思うんですよね。だから私はその期待に一生懸命応えたいです。そのためにも、今日は先輩方の秘訣を盗んじゃおうかなって思っています!
リゼ:ヤバい、あんまりないぞ。
シェリン:廃材を使ってるだけなんだよな……。
夢追:しばらく黙ってようかな……。
五十嵐:やだー、話してください! (笑)。
リゼ・ヘルエスタが語る司会の難しさ「気付くたびに悔しい」
――司会のお仕事をする中で難しいと感じた瞬間や出来事も教えてください。
夢追:夢追はありがたいことに、別の業界の方にも「よく司会をやっている人」と認識していただいていることがあるんですね。以前、とあるラジオにゲストで出演させていただいたときにも、パーソナリティの方に「夢追さんは司会ができるんですよね」と言ってもらえて……さらにもう1人ゲストを呼んで僕が話を聞くコーナーまで作ってくださったんです。
リゼ・五十嵐:へえー!
夢追:ただ、ゲストがVTuberをあまり知らないアーティストさんだったんですよ。もちろん、その方のことを調べて臨んだのですが、どんなに下調べをしても別の業界の方と初対面で話すのはすごく難しいことだと思いましたし、「今までの僕は自分のフィールド内で戦ってきただけなんだ」って痛感しました。
だけどラジオのアナウンサーさんはそれをずっとやっているんですよね。自分とは別の業界の方が相手でも的確な質問をするし、ちゃんと面白くする。そのすごさも実感して「全然ダメだったな、自分」って反省しました。
リゼ:挫折の方向性が少年漫画みたいでいいね。
夢追:ほんま? 僕、カッコいいこと言った?
リゼ:うん。「物語の第1部が終わったな」って思った!
全員:(笑)
シェリン:僕らが司会をするのって主にバラエティだし、「みんなで一緒に作ろう」みたいなノリもあるからね。
夢追:そうそう。でもその経験をしたから、出演者の基本的な情報をチェックしたり、動画を観たりするだけでは、下調べとして足りてないって思ったんだよね。そしてそのときに出した結論が「もっと人に興味を持つべきだ」ってこと。興味がないと質問ができないからさ。
五十嵐:わかります……!
夢追:それに、相手が「こんなことをしています」って教えてくれても、その分野に興味がないとイメージすることができないからね。知識を増やすことは絶対必要だし、そのためにも日頃から人に興味を持つべきなんだって感じた。というのが夢追の難しいと思った出来事でした。
シェリン:僕の場合、番組中のやり取り含め全部が難しいと思っているんですけど、最近は楽屋での会話が難しい。準備の質問でも言ったように、楽屋で出演者と話して「僕はこんな感じで会話する人です」って伝えたいんだけど、たまに「スベったな」って思うときがあるんだよね(笑)。
リゼ:そんなところ見たことないよ。周りは「スベった」と思ってないんじゃないかな。
シェリン:そうかな。あと、どちらかというと1人でいろいろやるのが好きだし得意だから、人と足並みを揃えることに難しさを感じる。例えば、新人のライバーだけが集まっているときとかね。自分が率先して引っ張りつつ、みんなに合わせて進めたけど、結果的に足並みが揃わなかった……っていう日は「人と関わるのって難しいな」と思いながら帰ってる(笑)。
夢追:でも、シェリンがMCのときは必ず大声で始まるイメージが絶対あると思うし、みんなやりやすいんじゃないかな?
シェリン:あれは夢追さんを参考にしています。
夢追:ああ……! ありがとうございます。
シェリン:夢追さんを参考にしつつ、締まりよく番組をスタートさせて、「ギアを上げるぞ」ってみんなに発破をかけるためでもあります。それに僕の声で普通に始めちゃうと、おじさんがローテンションでしゃべってるだけ、みたいになっちゃうっていうのもある(笑)。
リゼ:それはそれでめっちゃ需要あると思うけどな。
五十嵐:落ち着いた感じでいいですよね。
――シェリンさんのゆったりした司会も見てみたいですね。リゼさんはどうでしょうか?
リゼ:楽しい瞬間での答えとは反対に、「面白いことを言いそうだったな」っていうタイミングでその流れを切ってしまったときや、面白いやり取りに気付かなかったときですね。あとから配信や切り抜き動画を観たときに知ることが多くて、そのたびに悔しくなるんです。
五十嵐:ありますよね!
リゼ:自分が司会をした番組の切り抜き動画は恥ずかしいのであまり観ないんですけど、目に入ったら気になるので観てみるんですよ。そうすると今お話ししたような気付きがときどきある。
私たちがスタジオで聞いているのはマイクを通してボリュームを上げた声じゃなく出演者の肉声なので、席が遠いという物理的な理由で聞き取れないこともあるんですけど、やっぱり悔しいんですよね。「もう少し注意していればこのコメントも拾えたんじゃないか?」って思うんです。
夢追:悔しいよね……。自分には聞こえなかったけどマイクには声が入ってるからさ。
リゼ:そうそう。「これ、めっちゃ私に振ってた」とか「このコメント、私のツッコミ待ちだったんだ」っていうことを知ったときに「やっちまった」って思います。特にそれを後輩や新人のライバーがやってくれていると、「勇気を出して言ってくれただろうに……」って思うんだよね。
シェリン:僕もめちゃくちゃあるわ。
五十嵐:控えめな声でボケてみたり、とりあえず一言だけコメントしてみたりして、MCに拾ってもらうのを待っている後輩や新人のライバーは多いと思うんですよね。だからこそ自分も拾いたいし、出演者視点でも拾ってもらえたらやっぱりうれしいなって思います。
リゼ:そうだよね。アイコンタクトで察するようにはしているんだけど、全員がそのやり方をするわけではないだろうから、私自身がもう少し柔軟に対応できたらいいなって思っています。
五十嵐:私は番組を進行しながら面白いやり取りに気付いたり、それを拾ったりみたいなマルチタスクをこなすのが難しいですね。今の私は台本通りに進めることで精一杯になってしまっていて、その段階までいけてないなって感じているんです。それを特に実感したのが、「にじさんじ大感謝祭」(「おかげさまで7周年!にじさんじ大感謝祭」)で風楽(奏斗)さんとMCをさせていただいたときですね。
おかげさまで7周年!にじさんじ大感謝祭【#にじさんじ7周年】。五十嵐は第1部で風楽とMCを務めた。
五十嵐:大人数で席との距離もあったから、皆さんの声が聞こえづらくて……。しかも司会に集中しすぎてしまって、皆さんがしていたであろうボケも拾えないことが多かったんですよね。あのときはめちゃくちゃ悔しかったです。
夢追・リゼ・シェリン:うんうん。
五十嵐:それこそリゼさんと夢追さんがおっしゃっていたように、自分が司会をした番組の切り抜き動画を後から観て、「こんなこと言ってたんだ」って気付くこともあるんです。そのときは「バカめ! なんでこんなおもろいコメントを拾えなかったの!」って思っちゃう(笑)。
夢追:「バカめ」ってすごい!
リゼ:強めに反省するタイプだ。
五十嵐:過去の自分の行動が悔しくて……。それに司会をすることになるとまだ緊張しちゃうんですよね。だから終わった後の冷静な状態で番組を観たときに、「これはこういうことを言えばよかったのかも」って番組中には出てこなかった言葉を思い付くことがよくあります。本当は本番でその言葉をズバッと返して、出演者さんの面白い部分をもっと引き出せるようになりたい。そのために「自分がんばれよ!」と思っています。
リゼ:もうできてると思うけどな。
夢追・シェリン:うんうん。
五十嵐:いやいや、全然です。
夢追:その意識があるってことは絶対にできてると思うよ!
「この人すごい!」五十嵐梨花が魅せられた意外な司会者
――五十嵐さんは司会でのご活躍が目覚ましく、着実に経験を積まれている印象なのですが、司会に興味を持たれたきっかけはなんだったのでしょうか?
五十嵐:きっかけとしては、MCをよくされているお笑い芸人さんに憧れたことなんです。
シェリン:おおー!
夢追:なるほど!
リゼ:面白いね、その事実!
五十嵐:その方は女性のタレントさんを集めた番組でMCをしているんですけど、みんなが同時に発言してもちゃんとコメントをキャッチして面白いラリーをするし、質問の切り口もうまいんですよね。前の会話で出てきたワードを何ラリーか終わった後に返すこともあって、「伏線みたい!」って驚いています。
その巧みなやり取りとか出演者さんの面白いところを引き出す能力に魅せられて、「この人すごい。私もこの人みたいになりたい!」って思ったんです。
夢追:「その人にいじられる雛壇のメンバーになりたい」じゃなくて、「その人になりたい」って思ったんだね。
リゼ:お笑い芸人さんのようになるりかしぃ(五十嵐)、かなり面白い(笑)。
五十嵐:あと、私はにじさんじに入る前からにじさんじの公式番組でお三方の司会を観ていたので、皆さんにも憧れていました。シェリンさんなら「マリカ杯」とか。
シェリン:どうもどうも。
五十嵐:リゼさんと夢追さんがMCをされているいろいろな番組も観ていました。
リゼ:照れ照れ。
夢追:そんなそんな!
五十嵐:(笑)。夢追さんとリゼさんはIdiosの記念配信でMCをしてくれたんですけど、目の前で見たおふたりの司会がガチでヤバくて! 「やっぱり先輩たちすごい」って感動したし、「自分には難しいかもしれないけどやりたい」と改めて思いました。
【 #いでぃおすハーフアニバ 】Idios初🌟半年記念オフコラボ!(※重大告知あり)【にじさんじ】
リゼ:何をしてもIdiosのみんなが成立させてくれるだろうっていう安心感があったから、私も夢追さんもめちゃめちゃ自由にやってた気がするけどね! 実際にみんな面白かったし!
五十嵐:私たちの話を面白く“調理”してくださるのがめちゃくちゃ気持ちよかったです!
夢追:「新人はいじればいじるほどいいだろう」っていう気持ちだった(笑)。
五十嵐:いじってくれることがすごくうれしかったんですよね。ちなみにちょっと悩んでいることがあって、先輩にどこまでツッコんでいいのか、どこまで踏み込んでいいのかがマジでわからないんです。
私はある程度仲良くならないと強めのツッコミや返しができないタイプなので、「失礼にならないように丁寧に話さなきゃ」って慎重になっちゃって……。その結果、当たり障りのないことを言って平穏に終わる、みたいなことが多くなりがちなんですよね。
シェリン:それね、だんだん後輩のほうが難しくなるよ。
五十嵐:ええ!? 本当ですか?
シェリン:後輩に強めにツッコむと、その後控えめになっちゃうことがあるんだよね。
リゼ:声のボリュームが大きかっただけじゃないかな?
五十嵐:きっとそうですよ!
リゼ:みんなそれぞれの難しさを抱えてるんだな(笑)。
「アウェイな場への挑戦」「自分を好きになる」それぞれの展望
――最後に、皆さんが司会者としてこれから挑戦してみたいことやご自身の展望を聞かせてください。
夢追:夢追は司会を任せていただけることが多いのですが、本業はバーチャルシンガーソングライターなので、音楽と司会を組み合わせた仕事に挑戦してみたいです。例えばラジオの音楽番組とかやってみたいですね!
8月にリゼが「オールナイトニッポン0(ZERO)」でパーソナリティをしていて「すごく楽しそうだな」と思ったんですよ。なので、僕もそういったラジオのお仕事をやってみたいとめちゃくちゃ思っています。
シェリン:僕はライバーを含めていろんな人と仲良くなりたいです。
夢追・リゼ・五十嵐:(笑)
リゼ:じゃあまずはこの4人で「全員が仕切りたがるコラボ」しよう!
シェリン:「はい、というわけで」って全員が言うコラボね(笑)。「仲良くなる」というのにもざっくりですが展望があって、自分が企画した配信をやってみたいんです。自分がちゃんと企画をして、さらに司会もやるってことがほぼないので。
ただそのためには、もっと説明がうまくならないといけないし、どんな会話でも面白くできるように対応力も高めないといけないんですよね。まずはその課題に向き合いつつ、「やってみよう」と思えるタイミングが来たら挑戦したいです。
夢追:シェリンのキャラクターってかなり浸透している印象があるし、やりたいことを思いきってやってみてもいいと思うけどな。きっとみんなついてきてくれるよ。
シェリン:そっか。じゃあ「過小評価しすぎる自分を変える」も目標にしようかな。
リゼ:自信を付けるために、シェリンさんのことが好きなライバーを集めて、シェリンさんが司会をする「シェリン王」みたいな企画をやろうよ。
五十嵐:シェリンさんのことが好きなライバー、絶対たくさんいますよ!
シェリン:その企画、マジで必要かもな……(笑)。僕ってたぶん自己評価がすごく低くて、デビューしてから今まで自分に満足したことがない。
夢追:シェリンは自分の中でのハードルが高いんだよね。ハングリー精神があっていいと思うけどな。
五十嵐:だからこそ「マリオカート」もたくさん練習されて、すごく強くなりましたもんね。
シェリン:五十嵐さん、本当に褒めるのがうまくなったね。
五十嵐:いくらでも言わせてくださいよ!
シェリン:気分いいな(笑)。こうやって褒めてくれる人の声も聞いて、自分のことを好きになれたらいいなと思います。
――では、リゼさんはいかがでしょうか?
リゼ:私はにじさんじの番組以外でも司会をやってみたいです。さっき夢追さんが話されていたように、司会を評価してもらえているのはにじさんじ内だからというのもあると思うんですよ。スタッフさんは見知った方々ですし、自分のキャラを理解してくれているじゃないですか。先輩・後輩にかかわらず、初めての絡みが番組での共演というライバーはほぼいないですし、調べようと思えばいくらでも資料があって、切り抜き動画も充実してる。
夢追:本当にそうだよね。
リゼ:まったく知らない人を相手にMCやパーソナリティをするってなったら、違った苦労や難しさがあるんだろうなとは思うんです。でもだからこそ挑戦してみたいし、ホームではない場所でもできるようになったら、にじさんじの番組でも活きるんじゃないかなって。ということで、「オールナイトニッポン」への再オファー、待ってます! 次はゲストも呼びたいです!
シェリン:それを言っていいんだったら僕だって言いたい! 「オールナイトニッポン」のパーソナリティをやってみたいです!
リゼ:(笑)
――最後に五十嵐さん、お願いします。
五十嵐:一番の目標は、もっとにじさんじの公式番組で司会のお仕事をいただくことです。「にじさんじライバーでMCと言えば」というメンバーに名を連ねているお三方に並べるように、とにかく司会の修行を積みたいと思います。
そして、ファンの皆さんや私を知っている方たち以外からも「五十嵐のMCいいよね」「MCと言えば、五十嵐も入ってくるよね」と言ってもらいたいし、それがにじさんじを知ってくださっている方の共通認識になるくらい成長できたらうれしいですね。そのために、公式番組で修行をさせてください。がんばります!