長年の信頼関係によって実現 スタジオの課題解決にGALLERIAが応えた理由
――にじさんじとGALLERIAの取り組みはいつ頃から始まりましたか? また、両社はこれまでどのような形で関わってきたのでしょうか。
クリエイティブエクスペリエンス事業本部 本部長 M(以下、CX本部長 M):サードウェーブさんとは、2019年にEXゲーマーズの叶さん、本間ひまわりさん、笹木咲さん、葛葉さんがGALLERIA製品のプロモーションをさせていただいたのが、一番最初のお付き合いになりますね。それ以降も定期的ににじさんじライバーを起用していただき、プロモーション協力をさせていただいています。
サードウェーブ PC統括本部 統括本部長 西村(以下、サードウェーブ 西村):そうですね。一番最初はEXゲーマーズの皆さんにGALLERIAのLP(※)にご登場いただいて、弊社の製品を紹介していただくという形でコラボさせていただきました。GALLERIAは2020年のリブランディングに伴い、PCケースのモデルチェンジを行ったのですが、当時はまだ昔のモデルでしたので、かなり昔のことのように感じます。
※ランディングページ。サイト訪問者が最初に訪れる、商品購入用のページ。
サードウェーブ 西村:その後も、2021年には叶さんにXbox Game PassサービスとWindows 11のゲーム機能を紹介するタイアップ番組にご登場いただいたり、2023年には奈羅花さん、ラトナ・プティさんに弊社のPCを使っていただくコラボ配信をしていただいたりと、複数のライバーさんと継続的にお取り組みをさせていただいております。
CX本部長 M:サードウェーブさんはコロナ禍のあたりから、PC需要の高まりに合わせてストリーマーにフォーカスしたプロモーションを行っていた印象があるのですがいかがでしょうか? ちょうどそのくらいの時期から、ANYCOLORとサードウェーブさんのお取り組みが本格的にスタートしましたよね。
サードウェーブ 西村:そうですね。特に先ほど申し上げたリブランディングのタイミングから「GALLERIAをゲーミングPC業界のNo.1ブランドにする」という目標を掲げ、パートナーとの取り組みを強化していきました。その中でVTuberの方々は我々のターゲット層とも非常に親和性が高かったものですから、いろいろとコラボをさせていただいた形になりますね。
――5年以上のお付き合いになるんですね。それでは今回、サードウェーブからANYCOLORのスタジオへ機材提供がありましたが、その背景はどのようなものだったのか、教えていただけますか?
CX本部長 M:これは私からの半分無茶ぶりのようなお願いが発端となっております(笑)。私の営業部時代の話になりますが、サードウェーブさんと定期的にお取り組みさせていただく中で、いいパートナーシップを築けているという実感があったんです。それこそ「にじフェス」にも協賛・出展していただくなど、何か機会がある度にお声がけさせていただくようなコミュニケーションを取らせていただいていて。
サードウェーブが「にじさんじフェス2025」に出展した際のGALLERIAブース。
CX本部長 M:それから私がクリエイティブエクスペリエンス事業本部という、にじさんじのコンテンツを発信していく現場を支える部門を担当することになりまして、そこでまず最初に思ったのが「機材のスペックが求められるレベルに追い付いていない」ということでした。日々、思考錯誤をしながらファンの皆様へ新しい体験を届けていきたいと考えている中で、どうしても機材周りで足りない部分が散見されるなと……。
そこで解決する手立てが何かないかと考えていたときに、「GALLERIAさん、よろしければ機材の改善にご協力いただけませんか?」という形でお声がけさせていただいたところ、心よく機材をお貸し出しいただけることになったんです。弊社としては本当に助け舟を出していただいたような、すごくありがたいことでした。逆に、サードウェーブさんには我々にどういったことをご期待いただいて、機材をお貸し出しいただけることになったのか、この機会にぜひお伺いしてみたいです。
サードウェーブ 西村:Mさんからそのようなお話を聞いたときに、「GALLERIAの採用実績として、公表させていただくことはできますか?」という話をさせていただいたんですよ。そこをご了承いただけたので、「じゃあ、ぜひ貸し出しますよ!」と……ただこれだけなんです(笑)。
にじさんじのファンの皆様も、ANYCOLORさんのスタジオでは非常に高度な3D技術が駆使されていることをご存知の方も多いと思います。当然それをカバーするには“強いパソコン”が必要になるということも想像できるかと思うのですが、「そのスタジオを支えているのがGALLERIAだ!」ということを公表させていただけるのであれば、たぶん何台でもお貸し出しできるんじゃないかと思います(笑)。スタジオでGALLERIAの製品が活躍していて、「ライバーの皆さんの配信を支えています」ということを皆様に知っていただけるのは、我々にとっても本当に強みになるんです。
CX本部長 M:ありがとうございます。我々としても、今までさまざまなお取り組みを一緒にやらせていただいた実績もありますし、西村さんをはじめサードウェーブのご担当者さんと日々コミュニケーションを取らせていただく中で、もしかしたらご協力いただけるではないかと思い、お声がけさせていただきました。
何よりサードウェーブさんに対しては、圧倒的な安心感があるんです。PCは精密機器ですので、スタジオで運用する中でどうしても不具合が発生してしまうことがあると思うのですが、そういった際に親身になってサポートいただけるのではないかと思っていました。
サードウェーブ 西村:ありがとうございます。“圧倒的な安心感”というお言葉をいただけるのは大変光栄に思いますね。
スタジオにもたらされた技術革新と現場の変化
――GALLERIAから提供された機材は、どのような用途で活用されるのでしょうか? 実際に機材を導入するとスタジオでの配信にはどのような変化・改善が見込まれるのでしょうか?
3Dスタジオ チーフマネージャー T(以下、3Dスタジオマネージャー T):スタジオには全部で3つの3Dスタジオがあるのですが、すべてにGALLERIA製品を導入しており、配信や収録の際に使用しています。そのほかにも様々なスタジオで幅広く利用させていただいていますね。
CX本部長 M:いわば我々の技術的な部分の根幹ですよね。
3Dスタジオマネージャー T:そうですね。年々、高画質・高機能化が進むソフトウェアを快適に動作させるには、高い処理能力を持つPCが不可欠なんです。例えば弊社の3Dアプリは年々開発が進み、高機能化しているのですが、全体的な処理が少しずつ重くなってきてしまっています。
その中でライバーさんのご要望をできるだけ多く実現するために、常に動作を軽くするための工夫をしているのですが、その分オペレーターの作業が複雑になってしまう、といった側面もあり、頭を抱えていました。大人数が参加する配信を頻繁に行う私たちにとって、高性能なPCは業務に欠かせないんです。そんな中で、今回サードウェーブさんにご提供いただいた機材はどれも高い性能を備えており、まさに即戦力として活用できるものばかりですね。
――なるほど。具体的にどういった部分がどの程度改善されたのか、気になります。
3Dスタジオマネージャー T:以前まではエフェクトやギミックなど、演出の多い3Dライブを行う際にフレームレートが落ちてしまうという問題があったんです。ソフトウェア側でどんどん新しい技術を取り入れていく中で、ハードウェア側のスペックが追いつかなくなってしまっていました。
今回、GALLERIA製品を導入したことで、フレームレートが1.5倍から2倍程度に向上しました。これによって私たちスタッフはもちろん視聴者様にもご満足いただける高品質なコンテンツをお届けできるようになりましたね。
CX本部長 M:我々の悪い癖でもあるかもしれないんですが、やりたいことやできることがどんどん増えていくので、PCに負荷をかけていってしまうんですよね(笑)。
サードウェーブ 西村:一口にPCと言っても、GPUのパワーやメモリーの容量等、さまざまなパーツで構成されているのですが、弊社ではそれぞれのパーツごとの製造も行っているので、「ここの部分をもっとこうしたい」等のご要望もいただければ、対応できることもあるかもしれませんね。
――すでにスタジオに導入されているということですが、実際に運用しているスタジオメンバーから何か反応などはありましたか?
3Dスタジオマネージャー T:今回、高性能なPCを導入したことで、そういった悩みから解放される場面も増え、現場からは喜びの声が上がっています。僕自身も実際の配信で使用させていただいたのですが、よりきれいな動きになっていると実感できましたね。
GALLERIA製品を使って配信された「加賀美ハヤト新3D 衣装お披露目LIVE」【#加賀美ハヤト新3D 衣装お披露目LIVE】ACTⅡ: IGNITE【にじさんじ/加賀美ハヤト】
両社が語る、それぞれが持つ強み
――ANYCOLORから見た、GALLERIA製品の強みはどこにあると思いますか? 逆に、サードウェーブから見たにじさんじの魅力はどこにあると思われますか?
ビジネスマーケティング2部 プランナー T(以下、プランナー T):クライアントとして接している中で感じるのは、「にじさんじやVTuberの特性をよく理解していただいている」という部分ですね。それこそ2019年からさまざまな形で関わらせていただいているということも大きいと思いますが、「こういうプロモーションはいかがですか?」という我々からの提案に、同意していただけることが多いんです。
私は葛葉コラボモデルPCの営業担当をしているのですが、情報解禁時のCMを「葛葉さんのキャラクターを活かした形で発表するのはどうでしょう?」と提案させていただいたんですね。葛葉さんらしさが出せるようなインタビュー形式の台本を用意させていただいたのですが、内心は「少しラフすぎる」というような理由で断られてしまう可能性があるんじゃないかと思っていたんです。しかし、「あ、いいですね!」と了承をいただけまして、非常に弊社のことを理解してくれている企業さんだなと感じました。
葛葉×GALLERIA コラボモデルPC発売決定!
CX本部長 M:そうですね。私も「にじさんじの強みを理解していただけている」というのは、すごく感じています。もちろん、企業同士の付き合いとして守るべきラインはあるので、そこを踏み越えないようにはしたいのですが、どうしても営業案件となると内容が固くなりすぎてしまうこともあるんです。サードウェーブさんとの案件では、そういったことがほとんどないのが、すごくありがたいですね。
サードウェーブ 西村:私自身もにじさんじのいち視聴者として楽しませていただいているので、その部分の温度感については弊社の人間の中でも理解があるほうだと思いますね(笑)。初めてコラボさせていただく企業さんや私たちがあまり知識のない業界の方とご一緒する際は、いろいろと確認が必要になるのですが、ANYCOLORさんの場合はこれまでの関係性もあるため私たちも判断がしやすいんです。ある程度は頭の中でどういう結果になりそうか、想像することができるので即決できるんです。
――長年のパートナーシップが生んだ関係性ですね。それでは西村さんはにじさんじのどのような部分を魅力に感じているか、お伺いできますでしょうか?
サードウェーブ 西村:先ほども申し上げました通り、我々としては「いかにGALLERIA製品を使っていただける方の層を広げていくか?」ということを目標に掲げていますので、その中でANYCOLORさんにGALLERIA製品を使っていただいたり、プロモーション協力いただけたりというのは、非常にありがたいことだと考えております。
そのうえで、にじさんじに関して言うと、横の幅がすごく広いですよね。ライバーさんごとにファン層や配信の内容が多岐にわたっていますし、PCゲームだけではなくコンソールゲームやカードゲームなどさまざまなゲーム配信も行っています。そのような幅の広さで言うと、VTuber事務所の中でも突出しているのではないか、と思っています。
葛葉の“長年の夢”が結実 こだわり抜いたコラボPC誕生の裏側
――葛葉モデルのコラボPCはどのようなコンセプトで企画されましたか? 開発やデザインの過程で印象的だったエピソードがあれば教えてください。
CX本部長 M:こちらは弊社がお声がけさせていただいたことからスタートした企画になりますね。私たちもずっとにじさんじライバーを起用いただいたコラボPCを作りたいと思っていましたし、葛葉さんも長年の夢として「コラボPCを作りたい」という思いがあったそうです。それを一番理想に近い形で実現できるのはどの会社さんなのかと考えたときに、GALLERIAさんが一番に候補に挙がったんです。
サードウェーブ 西村:お話をいただいたときは正直驚きました(笑)。「KZHCUP」ではこれまで複数回にわたり協賛をさせていただいたんですけど、私たちも葛葉さんの影響力の大きさは十分に存じ上げていますので……そこでコラボPCの制作にGALLERIAを選んでいただいたというのは、非常に光栄なことですね。
GALLERIA×葛葉コラボモデルPC
――葛葉モデルの開発はどのような流れで進んでいったのでしょうか?
プランナー T:私の方で葛葉さんからの要望をヒアリングをしつつ、サードウェーブさんにもどういったデザインが可能なのかご相談させていただきました。私は普段からコラボグッズの案件でさまざまな企業さんとお取り組みさせていただいているのですが、コラボPCを担当するのは初めてだったのでかなり頭を悩ませましたね。単価としてもかなり値が張るものですし、「ファンの皆さんに喜んでもらうにはどうしたらいいか?」というところを考え始めました。
CX本部長 M:我々もPCの製造に関しては未知の領域でしたので、まずは「どんなことができますか?」というところから話を進めていきましたよね。そこで葛葉さんの要望も踏まえつつ、最大限に応えていただいたのが葛葉モデルのコラボPCになります。
サードウェーブ 西村:そうですね。あと、タイミング的にも非常にありがたかったのが、今回葛葉モデルに使用しているガラスケースが、もともと新しい規格として開発を進めていたモデルになるんです。この新しいガラスケースを葛葉さんとのコラボというタイミングで、世に発表できることを我々も非常にうれしく思っております。
――そういった偶然も重なって生まれたのが、葛葉モデルPCなんですね。それではデザインなどでこだわったポイントを教えてください。
プランナー T:デザイン面では、部屋に置きたくなるカッコよさという点を意識しましたね。色数を落として、モノトーンを基調にしたことで、ライティングを点けたときによりイラストとロゴが映えるようにしました。
サードウェーブ 西村:白と黒、ワンポイントのレッドだけでこの迫力ですもんね。Tさんから入稿データをいただいた際に、工場で試し刷りをしてみたんですが、電源をつけていないガラス板の状態でも、「これはカッコいいね!」と弊社側の担当者と話していました。
CX本部長 M:色数を抑えたことで、スタイリッシュでカッコいいデザインになりましたよね。あとご本人からあったこだわりとして、「イラストを本田ロアロさんに描いてもらいたい」というのもありましたよね。特別な機会なので、我々としてもぜひ葛葉さんの“ママ”さんである本田さんに描いていただきたいと思いました。
また、ちょうど葛葉さんがご自身のロゴを作りたいと考えていたタイミングで、コラボPCの制作が決まったんです。「せっかくなら一番最初にロゴを使うのはコラボPCにしませんか?」という形で、PCにロゴを使用することが決まりました。弊社としても葛葉さんとしてもこだわりの詰まった1台です。
GALLERIA×葛葉コラボモデルPC
――西村さんはANYCOLOR側からの要望を実現するうえで、苦労されたことなどはありましたか?
CX本部長 M:PC本体だけではなく、梱包物の件も我々からわがままを言わせていただいた部分ですよね……?
サードウェーブ 西村:GALLERIAではPCを購入していただいたお客様へ向けて、梱包物にメッセージを記載しているんです。今回は葛葉さんからのコメントもいただいたので、メッセージとして入れさせていただくことになりましたね。
CX本部長 M:葛葉さんもコラボPCを作るにあたって熱い思いを持っていたので、お客様にはちゃんとお伝えしたいと思っていました。そこで無理を言わせていただいて、葛葉さんからのメッセージも一緒に記載いただけることになったんです。
プランナー T:普段のレギュレーションがある中で、いろいろとご提案いただいて無事にファンの皆様にお届けできる形になってうれしいです。
――そうだったんですね。葛葉さんは完成したPCをご覧になったんでしょうか?
プランナー T:実際にガラスケースに印刷されたものをご確認いただき、かなり喜んでいただけました。
CX本部長 M:葛葉さんも「コラボPCを出したい」というのが長年の夢としてあったので、そこの葛葉さんの思いは、PCに同梱されるメッセージにすべて載せていただきました。ご購入いただける方は、ぜひそのメッセージを読んでいただきたいですね!
「“できないこと”をなくしたい」技術進化が拓く、VTuberの可能性
――PCや配信機材の進化で、今後のVTuber業界やコンテンツ制作はどう変化していくと思われますか?
3Dスタジオマネージャー T:近年はさまざまな分野で技術の進歩が目覚ましいため、多くの可能性があると感じていますね。2D配信ではこれまでにない大人数でのコラボができるようになるかもしれませんし、3D配信では自宅や外から高精度な3D配信ができるようになるんじゃないかと今から楽しみにしています。にじさんじライバーを100名集めて配信したいというのは、我々の夢ですね。
CX本部長 M:弊社はマシンのスペック等の進化に関しては期待させていただく側なのですが、ソフトウェアもハードウェアもできることがどんどん増えてほしいなと思いますね。VTuberの特性上、“できないこと”が多いと思われがちじゃないですか? でも、最近では「VTuberでもこんなことできるの?」という体験が増えてきていると思っています。逆にVTuberしかできないこともどんどん増えてきていて、それこそ早着替えのような劇的な衣装チェンジはVTuberだからこそできる強みですよね。我々としてはできないことを減らしていって、VTuberにしかできないことをどんどん増やしていきたいです。
サードウェーブ 西村:ステージイベントや技術的な部分においては、業界の中でもANYCOLORさんが最先端を走っている部分があると思っています。我々作る側の視点としては、いかにANYCOLORさんのやりたいことを叶えられるマシンを開発し続けていくか、ということを考えていきたいですね。
――最後に今後にじさんじとGALLERIAのコラボや取り組みで、考えていることややってみたいことはありますか?
CX本部長 M:いろんなにじさんじライバーのコラボPCを出させていけたらいいなとは思いますね。うちもコラボPC制作に踏み出した以上、葛葉さんだけで終わらせたくないとは考えています。今後ともよろしくお願いいたします。
サードウェーブ 西村:葛葉さんのPCはかなりハイエンドな性能を備えているのですが、もし今後ほかのモデルも製造されるようでしたら、もう少し一般向けのモデルをご提案させていただくことも可能になります。こちらもできる限り、ご要望にはお答えしたいと考えているので、今後ともよろしくお願いいたします。
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