Kuzuha One-Man Live “Bloody Alexandrite”レポート
宝石、洋館、玉座。“Bloody Alexandrite”の世界観を構築する断片が垣間見える映像ののち、ステージに現れた扉が開くと、そこには葛葉の姿が。彼はスタンドマイクにもたれかかるようにしながら艶やかに「ギミモ」を歌い始め、ワンマンライブの口火を切った。1曲歌い終えた葛葉は「Kuzuha One-Man Live “Bloody Alexandrite”、始まるぞ!」と堂々と開会宣言し、「debauchery」の演奏へとつなぐ。「debauchery」は、葛葉が2022年にリリースしたミニアルバム「Sweet Bite」に収録されたナンバー。懐かしい選曲に客席からは盛大な歓声が上がり、葛葉はそれを受けて熱のこもった歌声をオーディエンスに返す。曲のアウトロでは葛葉が「お前も来いよ」と囁き、ファンを熱狂させた。
冒頭からノンストップで歌い続けた葛葉は「こんな飛ばす?ってみんなびっくりしたんじゃない?」と、オーディエンスに問いかけた。さらに彼は「今回は初の全編音楽ライブということで、詰めに詰め込んだ」と本公演の期待感を煽り、最初のゲストを呼び込む。葛葉が「もちさーん!」と声をかけると、前日のKアリーナ横浜でワンマンを開催した剣持刀也が登場。同じステージで共演したばかりの葛葉が「昨日ぶりっすね」と話しかけると、剣持は「なんで立ってんだ! 昨日体力を削り切ったはずなのに」と、前日のMCを受けたトークで盛り上がる。トークがひと段落し、2名が歌い始めた楽曲は「おしゃかしゃま」。葛葉のハスキーで力強いボーカルに、剣持の艶のある豊かな歌声が重なり、長く活動をともにする2名ならではの盤石なコラボが展開された。
一瞬の暗転ののちステージに現れたのは、葛葉、不破湊、ローレン・イロアス、イブラヒムの”せめ4”。ローレンはベースを、イブラヒムと不破はギターを手に、インターネットカルチャーに広く愛されているフリー音源「シャイニングスター」のカバーで豪華なコラボを展開した。演奏後「ナイス〜!」と声をかけ合う4名はアピールカメラの前に立ち、共通衣装でのレアな4ショットをカメラに収めた。
「ゲストのみんなに勇気をもらった」と語る葛葉は「振り落とされんなよ!」と叫び、過去のオリジナル曲をノンストップで歌い上げるメドレーを展開。シングル「Black Crack」の収録曲と、ミニアルバム「Sweet Bite」の収録曲で構成されたこのメドレーでアーティストとしてのキャリアを振り返った葛葉は、2021年に発表した自身初のオリジナル曲「コントレイル」をフルコーラスで熱唱。ファンにとって懐かしい曲ばかり詰め込まれたコーナーを歌い切った葛葉は、「見つけてくれてありがとう」と口にし、ゆっくりと後ろを向いてステージ奥へと消えていった。
ライブがひと段落し、会場内が静寂に包まれると、スクリーンには赤い光を宿した宝石の映像が映し出される。宝石の光が次第に強くなり会場内に赤い稲妻が走ると、あたり一帯は異様な空気に包まれた。ステージ上には葛葉を「サーシャ坊ちゃま(※1)」と呼ぶ執事・ヴェルビスが現れ、オーディエンスが魔界に招待されたことを丁寧に説明し始める。執事の指示に従い、デジタル招待状にアクセスしてみると、葛葉による手書きの招待状の中身が書き換わり、「魔界へようこそ」という歓迎の言葉に変わった。
※1→葛葉の魔界での名前・アレクサンドル・ラグーザの愛称が「サーシャ」。
執事が姿を消すと、ステージ中央には赤黒い翼に包まれた玉座が鎮座する。その翼が広げられると、普段のジャージ姿とは大きく様変わりをした葛葉の姿があった。頭上には赤く灯るシャンデリア、足元には炎が燻る異様なシチュエーションの中で葛葉は「悪魔の踊り方」を妖艶に歌い、魔界に訪れたオーディエンスを迎え入れた。1曲歌い終えた葛葉はゆっくりと歩き始め、階段を下る。どこか聞き覚えのあるBGMとカメラワークに察しのいいファンは気付いたのか少しのどよめきが起こり、ステージ中央で葛葉は「お初にお目にかかる」と口を開いた。これは2018年11月に行われた新衣装お披露目の冒頭を再現したもので、葛葉はオーディエンスを「紳士淑女の皆様」と呼び、「アレクサンドル・ラグーザ」と挨拶。客人であるオーディエンスをおもてなしするべく、現実とは少し趣向の異なる演目で楽しませることを約束した。
魔界を舞台に葛葉は「ビターチョコデコレーション」「ロウワー」といったダークな楽曲のカバーを展開。厳かな衣装にキレのあるダンスをはじめとした、威厳を保ったパフォーマンスでオーディエンスを圧倒した。
魔界に招かれたのは、オーディエンスだけではない。ライブ中盤にはサプライズゲストとして乾伸一郎が登場し、オーディエンスを驚かせた。旧知の仲である乾の出演に葛葉は思わず「乾殿〜!」と大はしゃぎ。先ほどまでの厳かな雰囲気から一転し、葛葉はいつもの調子で無邪気に笑いながら気心の知れた相手とのトークを楽しんだ。乾と一緒にイベントで歌うことが夢の1つだったと明かした葛葉は、乾とともに「灰色と青」をデュエット。“時の移ろい”を憂うこの曲を2名は向き合って熱唱し、お互いの絆を確かめあった。
乾をステージから送り出すと、葛葉の呼びかけに応えるように魔界の住人たちが客席に登場 。アリーナ席はもちろん、LEVEL5、LEVEL7の客席にも魔界の住人が現れ、総勢60人のダンサーとともに「仮装狂騒曲」が披露された。ステージ上ではヘーベル石田やケルベロス、キンタロウといった魔物たちも上機嫌に跳ね回り、魔界の宴は狂わしく鳴り響く。
横揺れのダンスナンバー「Close 2 U」が流れ始めると、会場内はどこか“チル”な空気感に包まれる。気が付けば客席で踊っていた魔界の住人たちは姿を消しており、「配信スタート」の歌詞とともに葛葉は普段のジャージ姿に戻っていた。
魔界から突如帰還したオーディエンスに向けて、普段着の葛葉は「いつか機会があれば、みんなを一度は魔界に招待したかった」と心の内を明かし、「やっぱスリッパでKアリはヤバいよな?」と再び衣装チェンジ。白いジャケットが映える衣装に着替えた葛葉は、最新アルバム「Adamantite」の収録曲「わかんないです!」で本編最後のブロックをスタートさせた。オリジナル曲とカバー曲が交互で披露される中、毒気のあるボカロ曲「モニタリング」のカバーではドアスコープを覗き込むような葛葉の目がクローズアップされ、ライブならではの映像演出でオーディエンスを大いに沸かせた。
本編最後の楽曲は、葛葉の「歌ってみた」動画の中でも有数の人気を誇る「ヴァンパイア」。冒頭の一節「あたしヴァンパイア」の一言で会場内は盛大な歓声に包まれ、ジャージ姿から一瞬で魔界での衣装に切り替わるなど、最後までオーディエンスの目と耳を楽しませ、ライブ本編の終幕を盛り上げた。
熱烈なアンコールに応えて再び姿を現した葛葉は「お前らまだまだ元気残ってんじゃねえか! 暴れ足りねえよなあ! 俺もまだ暴れ足りねえよ!」とオーディエンスを煽り、攻撃的でヘヴィな曲調の「Wake up now」でライブを再開。2人のダンサーに囲まれクールにポーズを決める葛葉と、何度も立ち上る火柱の熱気に当てられ、会場内は異様な高揚感に包まれた。さらに葛葉は「スターライト」のカバーで希望を求めて前に進む姿勢を、オリジナル曲「ストレイシープ」で葛藤を抱えながらも突き進んできた強さを高らかに歌い、ライブのフィナーレに向けて盛り上げていく。最後にライブの感想を口にした葛葉は「こんなヘトヘトになるまでなんでやったかって。みんなのためですよ。ただのゲーマーなんですけどね」と笑顔を見せ、「みんなが自慢できるような“ヤツ”でいたい」と自身の心持ちを明かした。アンコールの最後に歌われたのは、葛葉の歩いてきた道を力強く肯定する新曲「王道」。「俺が歩く道 これが王道」と言い切った葛葉は、「全力出し切ったぞ!ありがとうね、マジで。キレイに真っ赤だわ」と客席を見渡して満足げな表情を浮かべた。
アンコールを終えても客電は点灯せず、スクリーンには再び宝石の映像が映し出された。心臓の鼓動のように明滅する宝石と、葛葉の名前を呼び続けるオーディエンス。その声を受けたからか、宝石は次第に赤い光を放ち始めると再びステージに光が灯る。ステージ中央には再び玉座に腰掛けた葛葉の姿、その後方には巨大なケルベロスが顔を出し、再びオーディエンスが魔界に飛ばされたことを物語っていた。最後に魔界で「KING」を熱唱した葛葉は、ダブルアンコールで声を出してくれたオーディエンスに向けて「また呼んでくれてありがとうな」と労いの言葉を贈り、“Bloody Alexandrite”をフィナーレに導いた。
Kuzuha One-Man Live “Bloody Alexandrite”神奈川・Kアリーナ横浜 セットリスト
1.ギミモ
2.debauchery
3.ファイトソング(カバー)
4.Bad Bitter
5.おしゃかしゃま(カバー) / 葛葉、剣持刀也
6.シャイニングスター(カバー) / せめ4(葛葉、不破湊、イブラヒム、ローレン・イロアス)
7.メドレー(Black Crack、Dummy Break、甘噛み、Owl Night、エンドゲーム、Wonder Wanderers、Liberty & Freedom)
8.コントレイル
9.悪魔の踊り方(カバー)
10.ビターチョコデコレーション(カバー)
11.ロウワー(カバー)
12.ずうっといっしょ!(カバー)
13.灰色と青(カバー) / 葛葉、乾伸一郎
14.仮装狂騒曲(カバー)
15.ビバ
16.Close 2 U
17.わかんないです!
18.モニタリング(カバー)
19.テキトーリョク
20.ヴァンパイア(カバー)
アンコール
1.Wake up now
2.スターライト(カバー)
3.ストレイシープ
4.王道
ダブルアンコール
1.KING(カバー)
ライブを終えた葛葉からコメントが到着
――イベントが終わった今の率直なお気持ちをお聞かせください。
葛葉
楽しいとか嬉しいみたいな、言葉には表せないポジティブな気持ち。
良いめの感情。
――イベント本番の中で、一番印象的だった瞬間はどういったものでしたか?
葛葉
みんなが「葛葉」って名前呼んでくれたところ。
――最後にイベントに参加・視聴いただいたファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
葛葉
記憶に残ってくれたら嬉しいな。
還元できましたか?