「くろのわーるが武道館でなんかやる」レポート
開演5分前。会場に流れた影ナレーションの声は文野環。「本日はふみのわーるとして初のライブ『ふみのわーるがなんかやる』にお越しくださりありがとうございます」という挨拶に、会場がざわめきと笑い声に包まれる。会場アナウンスが終盤に差し掛かると、文野は「勝手に武道館に忍び込んで何やってるんですか?」と叶、葛葉に追い出されてしまい、「また『くろなん』呼んでねー」と名残り惜しそうに去っていった。
開演を待つファンのもとに叶と葛葉が登場すると場内から歓声が上がる。2名がいるのは普段の「くろなん」と同じく、机と椅子のみが置かれた部屋。「今日、広いよ」「いや、武道館なのにこの空間なんだ」とトークを始め、武道館をいつものゆるい空気で包んでいく。そして、おなじみのタイトルコール「くろのわーるがなんかやる」を合図に、これまでの名場面を集めたオープニング映像が映し出された。
映像が終わり、再び登場した2名は「普段は真顔で(コメント欄に)『草』って打ってると思いますけど、今日は声出して笑ってください!」と伝え、「コーレスで笑ってみてもらう?」と提案。叶が「笑ってー」と呼びかけたあと、葛葉は「泣いてー」と呼びかけ観客を翻弄する、独特なコール&レスポンスでファンとの交流を楽しんだ。
この日、多くのファンがイベントグッズの「BIGうちわ」を手にしており、叶と葛葉は「すごーい!」「きれーい!」とうちわが揺れる光景に声を弾ませる。葛葉がうちわにも印刷されている「ノミの心臓」というセリフを披露すると、会場から歓声が上がった。
最初のコーナーは、ボイスチェンジされた3名のライバーの正体を当てる「ボイチェンライバーを当てろ!」。3分の制限時間内で叶と葛葉がボイチェンされたライバーに質問を投げかけ、その答えから彼らが誰なのかを探っていく。
1人目のボイチェンライバーは、「こんにちわー! Yo! Yo! 」とラッパー口調で登場。尊敬するライバーを聞かれ「葛葉さんっすかね」と答えると、2名はひらめいた様子で「義理の兄弟は?」「銃刀法に違反してます?」「同期は何人?」と質問を重ねていく。ここで叶が「祓魔師?」と切り込むと、しばらくの沈黙のあと「祓魔師です」と認めたボイチェンライバー。だいぶ早い段階から確信を得ていたであろう叶と葛葉が「あなたは長尾景さんですか?」と尋ねると、見事正解。少ない質問であっさり当てられ、「早いよー」と悔しそうな長尾に対し、話し方でわかったという叶と葛葉は「次はもうちょっとカモフラージュして」とアドバイスした。
次のライバーが登場するも、ボイスチェンジャーでは隠しきれない特徴的な声と話し方に思わず笑ってしまう2名。気を取り直して質問を始めたが、ボイスチェンジャーを貫通してしまうライバーの個性に会場も笑いの渦に包まれた。「凶暴な獣の声を出してみて」など、答えを確信しているかのような質問を投げかけ、最終的に叶と葛葉が予想したのはルンルン。「なんでわかったんですか?」とキュートな声で正体を明かしたルンルンに、「この慎ましやかな話し方で、この声はルソルソ(ルンルン)さんしかいない」と葛葉が断言し、観客からは「かわいい!」と歓声が上がった。
ほっこりムードが流れる中、最後のボイチェンライバーは大きなため息をつきながらか細い声で「はじめまして」と挨拶。叶が「椎名(唯華)を想定していこう」と提案するが、いまいち特徴が掴みきれないボイチェンライバーに、「モノマネの仕方に笹木(咲)みたいなチープさがあるぞ」と混乱してしまう。その後の質問でも答えが見出せない中、笑い声を聞いた途端に「わかった!」と葛葉が叫ぶと、叶も「(卯月)コウっぽかった」と予想。その推測通り、その正体は卯月コウで叶と葛葉を惑わせるためにほかのライバーのモノマネをしていたという。卯月は、「くろなん」の武道館での開催を祝福し、「2階席ー!」「武道館ー!」というコール&レスポンスで会場を盛り上げて去っていった。
続いてのコーナーには、過去に「ひっかけクイズ」の企画で番組に出演したことがあり、叶・葛葉と親交が深いk4senとSHAKAがオンラインゲストとして登場。ゲスト2名がキメ顔を見せると、会場から大歓声が沸き起こり、「キャーじゃないよ!」と葛葉が思わずツッコミを入れてしまうほどの熱気に包まれる。SHAKAは「初武道館、SHAKAです」とクールに挨拶し、一方のk4senは「タイトルコールいくぞー! なんかやる The k4sen!」と叫び会場を沸かせた。
4名が行う企画は、叶と葛葉がゲストのポストをそれぞれ代行して考案する「1時間でポストをバズらせろ!生ポスト代行」。「くろなん」でも話題となった企画の1つで、1時間のうちどちらのポストがよりいいね数を稼げるかを競い、イベントの最後に結果が発表される。今回は叶がSHAKAのポストを、葛葉がk4senのポストを担当するが、自身の“担当者”を知ったk4senは虚空を見つめて苦悩の表情を見せる。
叶が考えたポスト内容は、葛葉がSHAKAを煽る際に用いるフレーズを引用した「オレの? 足の爪の? 垢を?」というもの。思わず苦笑したSHAKAが「嫌やわー…」とつぶやくも、叶は「SHAKAさんをバズらせなきゃいけないから」と気合いを見せる。次に発表された葛葉のポスト内容は「10万いいねで(魔界ノ)りりむちゃんのコスプレします」というまさかの罰ゲーム付き。k4senは「ふざけんなよ! 12時から待機してこれ!?(笑)」と戸惑いながらも、SHAKAと同時にポストを投稿した。果たして勝つのはどちらなのかーー。
ANYCOLORの代表取締役CEO・田角陸に関するクイズ企画「田角陸王」では、剣持刀也と「くろなん」初出演の月ノ美兎が登場。このコーナーは、にじさんじ元1期生・えるがインタビュアーを務めた映像から出題される問題に回答し、一番正解数が多かった人に「田角陸王」の称号が贈られるというものだ。
第1問の「好きな食べ物」という問題に各自がさまざまな答えを予想する中、正解は「カレー」で全員がハズレてしまう。その後、「人生で一番プレイしたゲームは?」「カラオケの十八番は?」という問題が続いたが、第3問の段階でも正解者はなし。最終問題の「『くろなん』で一番好きな回は?」でも全員が不正解となり、全員0ポイントという予想外の展開となった。「誰も田角陸のことを知らない」という月ノの発言に、剣持と葛葉も「誰、この人?」とそもそも田角社長の存在を知らないふりをしてごまかそうとする中、最終的にはじゃんけんで勝者を決めることになり、叶が「田角陸王」の称号を獲得した。
1問も正解できなかったが、「くろなん」を思う存分楽しんだ様子の月ノと剣持。叶が「来てくれた2名に感謝の言葉を言おう」と観客に提案し、全員で「ありがとうございました」と声を合わせると、剣持は「特別授業をしに来た先生みたい」と笑い、月ノは「がんばらないでね〜」という言葉を残して去っていった。
再びステージに登場した叶と葛葉は机と椅子がなくなった部屋に立ち、「実はこのパートで何をするか知らなくて」と少々困惑ぎみ。その後VTRが映し出されると、「U! S! A! M! I!」という元気な声とともに、ジムトレーナー兼ヒーローの宇佐美リトが現れる。
続いての企画は、宇佐美が運動不足の葛葉のために考案した筋トレメニューに挑戦する「USAMI's ブートキャンプ」。葛葉は「なんで俺だけに捧げてんの?」と納得がいかない様子ながらもスタンバイ。コーチ役の叶は「葛葉さんがヘトヘトになっちゃうと思うのでぜひ応援をお願いします」と観客に呼びかける。
葛葉は時折「きついな……」と声を漏らしながらも、宇佐美が解説する5つの筋トレをスムーズにこなしていく。観客から「がんばれ、がんばれ、葛葉くん!」と大きなエールをもらった葛葉は、拍手と応援を受けながら5種目の筋トレすべてを一気にトライ。ヘトヘトになりながらもすべての種目をやり切った葛葉に、客席から盛大な拍手が送られた。
ここで再びSHAKAとk4senが登場し、「1時間でポストをバズらせろ!生ポスト代行」の結果発表へ。いいね数を確かめる前に2名の感想を聞くと、k4senは「これって消費者庁に言ったら間に合いますか?」とブーイングし会場の笑いを誘った。そして結果は、叶が担当したSHAKAのポストのいいね数が2万3000越え、葛葉の担当したk4senのポストが13万越えとなり、葛葉の勝利。割れんばかりの拍手と笑い声の中、勝利した葛葉自身も「おめでとう~!」と叫び、「(コスプレが)望まれてるんだって」とコメント。セーラー服やメイドなど複数あるりりむの衣装の内、どのコスプレをするかで盛り上がった。
武道館という大きな舞台でも、いつもと変わらないゆるい空気感で駆け抜けた叶と葛葉。イベントも終盤に差し掛かると、「最初は緊張してた」と明かしつつ、「こんな機会をもらえてうれしい」「楽しかったね」と振り返った。するとここでサプライズVTRが映し出され、ChroNoiRの「ブラッディ・グルービー」を歌いながらYouTuberのHIKAKINが現れる。
HIKAKINは「ChroNoiRはコミュ力の塊。面白いし、声いいし、歌うまいし、カッコいい」と大絶賛し、「VTuberの新たな道を開拓し、これからも全力で突き進んでいってください!」とエールを送ると、叶と葛葉は「めっちゃ褒めてくれた!」「ありがたいです!」と興奮混じりに喜んだ。
最後に叶は「最初は『大丈夫か? 面白いのか?』って言いながら始まったけど、気づいたら今武道館に立ってて。これからも壮大なスケールに負けないくらいゆるくやっていきたい」と意気込みを語り、葛葉も「今日は本当に来てくれてありがとうございます。これからもゆるくやっていきたいので、過度な期待はせずに応援してくれると助かります(笑)」と感謝を述べた。そして、叶が「名残惜しいですが、『くろなん』おなじみの『また来週』という言葉で終わりにしましょう」と観客に呼びかけ、「また来週ー!」の大合唱でイベントは幕を閉じた。
イベントを終えた叶、葛葉からコメントが到着
――武道館という大きな舞台でイベントを終えた今の率直な感想を教えてください。
叶
自分の人生において、武道館でイベントが開催できるとは想像もしていなかったので、すごく貴重な経験をさせていただいたと思っています。歴史に名を残すという目標にまた1つ近付くことができました。
葛葉
ゲームで例えるなら、選ばれし者しか達成できないような難しい実績を解除してトロフィーを獲得した気分です。みんなのおかげで成し遂げることができました。
――特に印象的だったシーンや注目してほしいシーンはどこでしょうか?
叶
全部と言いたいところですが、1つだけ選ぶなら葛葉さんの筋トレですね。会場で感じたあの一体感は、なかなか得られるものではないですし、素敵な体験をみんなと共有できてうれしかったです。
葛葉
俺も筋トレです。「なぜ、みんなに応援されながら武道館で筋トレをしているんだろう?」とマジで不思議な気分でした(笑)。
――イベントに来てくれたファンや「くろなん」の視聴者にメッセージをお願いします。
叶
「くろなん」に関わるすべての人に感謝を!
葛葉
「これでいい」と言ってくれる人たち、ありがとう。「これではダメ」と思う人、もうちょっとがんばるね……叶が(笑)。