にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow! 名古屋公演レポート
会場が暗転し、観客が期待を抱いた面持ちでステージに注目する中、ついに6名が現れる。幕開けを飾ったのはにじさんじの7周年記念楽曲「Arc goes oN」。歌詞に合わせ、1名ずつゆっくりと前を向いていき、ステージにはスポットライトの光が差し込む。渡会が歌い切ると同時に全員が普段の衣装から共通衣装へと変身。会場は大きな歓声に包まれ、ペンライトの光が一斉に波打った。続く「main dishが足りてない」ではステージに長机や椅子が現れ、6名が食卓に並びながらパフォーマンスを展開していった。
オープニングの熱気が冷めやらぬ中、先斗が元気よく「ついに始まったぞ、名古屋公演!」と声を上げる。会場から大きな歓声と拍手が巻き起こり、そのまま流れるように自己紹介へ。共通衣装がお披露目となった先斗、小清水がお気に入りポイントについて問われ、小清水は「全部でしょ!」とうれしそうに語り、先斗は「私は髪に付いてるパールです!」と客席にヘアスタイルをアピールした。
ここからは6名それぞれの色が舞台を染めていく。先斗の「宵々古今」ではバックダンサーを従え、凛とした歌声とキレのあるダンスで観客を和の世界へ誘う。その余韻を引き継ぐように「魔性の女A」が始まると緑仙、葉加瀬、先斗が艷やかなダンスを披露。客席からの視線を釘付けにしながら、ステージの上を妖艶に舞った。
続いてステージに現れた長尾と小清水は「ロウワー」を歌い上げる。椅子に腰掛けた2名は抑制の効いた動きの中でも、サビに向かって確かに感情を高めていくと、観客の誰もが息を呑んだ。先斗と渡会の「サラマンダー」ではポップに弾けるリズムで、笑顔と歓声が客席を埋め尽くし、小清水透はベンチに座りながら「未来図」を歌い上げる。歌唱と繊細なステージングが組み合わさり、これまでの流れからは一転して、温かみを感じさせる一幕となった。長尾、渡会、小清水はハイテンションなナンバー「Glory Steady Go」を響かせ、客席をまた1つにする。息ぴったりの掛け合いで、爽快に前半パートを終えた。
MCでは緑仙、葉加瀬、先斗の「魔性の女A」チームが登場し、練習の思い出などを振り返っていく。フリートークもそこそこに緑仙が「みんなと歌いたいけど、その中でも君と歌うのを楽しみにしていましたよ。クールな人〜!」と呼び込むと、息を整えた渡会が再びステージに現れる。中盤戦は、緑仙、渡会雲雀の「聖者の行進」でスタート。厳かな雰囲気を持つアップテンポナンバーに2名の声が溶け合うような渾身のパフォーマンスを披露した。緑仙のソロパート楽曲「ダリア」では、赤いスポットライトに照らされた緑仙の感情を滲ませた圧巻のパフォーマンスに観客の誰もが圧倒されたようだった。
葉加瀬と小清水は、近未来感のある「メルティランドナイトメア」を軽やかに歌いこなし、甘美かつ幻想的な世界を繰り広げる。2名が曲の最後に手を合わせ、笑みを交わした瞬間に照明がフェードアウトしてステージを闇が包む。再びステージに明かりが灯ると、長尾景が「懺悔参り」を熱唱。低音の効いた声がホールの奥まで響き渡り、サビでは華麗な剣舞でステージを縦横無尽に駆け回る。続く、葉加瀬と先斗による「ノンブレス・オブリージュ」では、葉加瀬が演技を交えながら苦し気に声を振り絞るように歌い上げ、一方の先斗は静かに歌声を重ねる対比が観客を引き込み、ステージ上の空気を支配した。
疾走感のある中盤を終え、長尾、小清水、渡会の「Glory Steady Go」チームがMCとしてフリートークを繰り広げる。長尾が「初ライブどう?」と小清水に問いかけると「めっちゃ緊張してたけど、始まったら楽しさが勝っちゃって……!」とライブに対する率直な思いを明かす。
渡会を残し、長尾と小清水がステージを後にすると、渡会の「サムライハート(Some Like It Hot!!)」が炸裂。伸びやかな歌声を会場いっぱいに響かせると、コール&レスポンスも交えながら、ソロステージをやり遂げた。葉加瀬、長尾、渡会による「ファイアダンス」では、文字通り火花が散るような熱量で会場を1つにする。続く、緑仙、先斗、小清水は「呪って呪って」でジャジーでスウィング感のある軽快なビートに乗せて、アイドルらしい愛らしさと毒っ気を同居させたパフォーマンスを披露した。
葉加瀬の「群青」では透明感と力強さを合わせ持つ歌声で、会場を優しく包み込んでいく。曲の終盤では昨年末に披露した新衣装に変身するというサプライズ演出があり、客席からは驚き歓声が上がった。そしてライブ終盤に差し迫ったクライマックス、「クラクション・ラヴ ~ONIISAN MOTTO GANBATTE~」では緑仙、長尾が最後まで全力で客を煽り、笑いと熱狂を残して最後のMCへと向かっていく。
やりたい放題の緑仙と長尾のパフォーマンスを見て、先斗は「名古屋公演こんな感じで締めたらあかん!」、小清水は「うちらの初ライブが……」とライブが終盤に差し迫っていることを明かす。最後の立ち位置に6名が揃うと、緑仙が「我々の本気を見せましょう。それでは最後の曲です、聴いてください」と話し、次の楽曲「仮死化」へとつなげていく。本編ラストのこの曲ではそれぞれが目いっぱいに曲に感情を込め、歌詞の1つひとつが鮮烈に響くようなステージングで締めくくられた。儚さの中に芯の強さを滲ませながら観客の心をそっと撫でていき、会場を温かな夢の中へと誘っていくようだった。
鳴り止まない拍手に応え、アンコール1曲目として披露されたのは「Budding!」。6名が一体となって歌い、観客も最後の声を振り絞って歓声をあげる。「アンコールありがとうございまーす!」と6名がステージに現れると、長尾が「そしたら、感想を言っていきますか!」と切り出し、それぞれが名古屋公演を振り返っていく。
渡会は「こうやってみんなに会いに来られる機会ができてうれしかった!」、緑仙は「僕の大好きな歌でこの6名とつながれたのが素敵だなって思っています。僕のこの気持ちが皆さんにも届いているとうれしいです」、先斗は「練習が始まってから今日まですごく楽しくて……またこの景色を見られるようにこれからもがんばっていこうと思いました」、葉加瀬は「みんなすごく温かくて、私の気持ちもとっても温かくなりました。また会えるようにがんばります」、長尾は「でっかくなって来たよね、にじさんじも。皆さんが背中を押してくれたおかげだと思う。これからも応援してくれたらうれしいです!」、小清水は「一瞬でしたね……メンバーの皆さんがすごく優しくダンスを教えてくれて。みんなも応援してくれてありがとう! ライブ楽しかった!」とそれぞれが感想を伝えていった。
先斗が「次で本当に最後の曲になります。でも最後だからこそみんな盛り上がっていけるよね!?」と客席に問いかけると、最後に届けられたのは「Virtual to LIVE」。イントロが鳴り響くと同時に客席のペンライトは虹色に輝き、会場は一体となる。曲中ではメンバーそれぞれがフォーメーションを組み換えながら、息の合ったダンスを披露。フィナーレのフレーズを全員で力強く歌い上げ、ステージと客席の垣根を超えた多幸感に包まれながら、にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin' in the Rainbow!名古屋公演は鮮やかに締めくくられた。
にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!名古屋公演 愛知県芸術劇場 大ホール(愛知) セットリスト
1. Arc goes oN
2. main dishが足りてない/宮守文学(カバー)
3. 宵々古今/REOL(カバー)先斗寧
4. 魔性の女A/紫今(カバー)緑仙、葉加瀬冬雪、先斗寧
5. ロウワー/ぬゆり(カバー)長尾景、小清水透
6. サラマンダー/DECO*27(カバー)先斗寧、渡会雲雀
7. 未来図/マルシィ(カバー)小清水透
8. Glory Steady Go/ワンダーランズ×ショウタイム(カバー)長尾景、渡会雲雀、小清水透
9. 聖者の行進/キタニタツヤ(カバー)緑仙、渡会雲雀
10. ダリア/ちゃんみな(カバー)緑仙
11. メルティランドナイトメア/はるまきごはん(カバー)葉加瀬冬雪、小清水透
12. 懺悔参り/羽生まゐご(カバー)長尾景
13. ノンブレス・オブリージュ/ピノキオピー(カバー)葉加瀬冬雪、先斗寧
14. サムライハート(Some Like It Hot!!)/SPYAIR(カバー)渡会雲雀
15. ファイアダンス/Vivid BAD SQUAD(カバー)葉加瀬冬雪、長尾景、渡会雲雀
16. 呪って呪って/=LOVE(カバー)緑仙、先斗寧、小清水透
17. 群青/YOASOBI(カバー)葉加瀬冬雪
18. クラクション・ラヴ ~ONIISAN MOTTO GANBATTE~/風味堂(カバー)緑仙、長尾景
19. 仮死化/Vivid BAD SQUAD × MEIKO(カバー)
アンコール
1. Budding!
2. Virtual to LIVE
ライブを終えたライバーたちからコメントが到着
緑仙
僕はにじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!のときにも出演させていただいたんですけど、その際は反省点や後悔がたくさんあったんです。ダンスやボイトレを始めたきっかけのライブでもあったので、まずそこから数年経ってまたライブに呼んでいただけたことが感慨深いです。
しかも気付いたら僕が1番年長になっていて、当時とは責任感も違いますし、引っ張っていかなきゃいけない人間たちもいる中でのライブだったんですけど……(笑)。前回のライブからできることがたくさん増えた中で挑めたので、本当によかったです。
あとその当時と圧倒的に違うのはライブを楽しむことができるようになったことですね。これからも楽しいライブをにじさんじで一緒に作っていけたらなと思います。ちょっと長くなっちゃいましたけど、緑仙でした! みんなもたくさん喋ってね?(笑)
葉加瀬冬雪
(笑)。私は「SYMPHONIA」ぶりの共通衣装ライブだったんですけど、そのときは自分が共通衣装のお披露目だったこともあってめちゃくちゃ緊張していたんです。今回のライブは前回と比べると、少しだけ落ち着いて楽しむことができました。ちゃんとみんなの顔を見ながらライブができたのでたくさん元気をもらえたし、自分のパフォーマンスでも細部までこだわりを詰め込むことができました!
私はこのメンバーの中だと2番目に先輩だったので、選曲や歌詞割りにも少し関わらせていただいたんですが、みんなの過去の歌ってみたや歌枠を聴いて、「こういう声だったらこういう曲が得意なんじゃないかな」と考えながら、組み立てていきました。演出でも「ダンスをするなら、この人がここで真ん中に来て……」みたいにいろいろ考えるのが楽しくて自分の中でも成長できたライブでした。
あとスタッフさんが親切でやりたいことをすべて叶えてくださったので、最高のライブにできたと思っています。本当にありがとうございました!
長尾景
いや〜、めっちゃ楽しかったな! 俺はライブ自体は1年ぶりぐらいだったんですけど、お客さんの反応もよくって、自分がやりたいこともたくさんやらせてもらえて……何より仲間たちにも恵まれたので本当に楽しかったです。またこのメンバーでステージに立ちたいよ。ありがとうございました!
渡会雲雀
名古屋公演ありがとうございました! 本当に長いこと一緒にやってきたので、このメンバーともめちゃめちゃ仲良くなったし、「みんなで最高のステージを作ろう」っていう1つの目標に向けて突き進んで来られて、その結果が今日出せたことがうれしいです。個人的にも本当にはっちゃけるくらい声を出して歌えて楽しかった。また俺もこのメンバーで立ちたいよ……。
先斗寧
ライブが終わった後で、声がガラガラです。すみません……(笑)。私は初めてのライブだったんですが、これまでがんばってきてよかったなって! ファンの皆さんが応援してくれた結果がこういう素敵なステージにつながったと思っていますし、私自身もこの衣装を着られたことでよりみんなの存在を改めて実感することできました。みんなへの恩返しになっていたらいいな。
小清水透
ライブが終わったばっかりで頭が真っ白なんですけど……(笑)。私もこういうライブは初めてだったんですが、実際にお客さんを目の前にして今すごいことをしているんだって実感できました。普段は家で配信しているだけなので、こんなにたくさんの人に支えられていたんだって感動しました。
正直練習は大変だったし、うまくいくかずっと不安だったんですけど、今やりきって思うのはやってよかったなって。めちゃくちゃ楽しかったです! このメンバーでライブができてうれしいです。