慣れた手つきで“世界の境界へ”と足を踏み入れる田角陸
7月某日。うだるような暑さの中、ANYCOLOR株式会社の会議室はどこかひんやりとした空気が漂っていた。会議室に集められたのは、ANYCOLORの『PARALLEL CASE: 2434』企画担当者、ANYCOLOR MAGAZINE編集部員、そしてCEOの田角陸。『PARALLEL CASE: 2434 CASE 01:ましろ爻の記録』がプレイ可能なノートパソコンの前に就いた田角は、本作をプレイする下準備として交錯員ネーム(※)を「りっくん」に設定した。ここで入力した名前は、ゲーム内に登場するSNSのユーザー名として表示される、いわば自らの分身のようなもの。田角は“りっくん”として、『PARALLEL CASE: 2434 CASE 01:ましろ爻の記録』の世界へと飛び込んでいった。
※交錯員ネーム:第四境界が構築するシステム・BPS上で設定できる名前。ここで名前を設定すると、ゲーム内のSNSのアカウント名などにも反映され、より没入感の高いゲーム体験を楽しむことができる。
オープニングムービーを見終わるとPCの画面が乱れ、“もうひとつの世界”より「???」という人物からのメッセージが届く。画像が鮮明でないため、誰からのメッセージなのかは明らかになっていないが、その口調と面影から田角は心当たりがある様子だった。物語の導入がひと段落すると、田角は慣れた手さばきで設定画面を開き「高速モード」を選択する。
田角陸
今日は時間がないので高速モードにしましょう。プライベートでも一気にやってしまいたいときは、高速モードで遊ぶようにしています
第四境界が手がけるARGには、謎解きでのメール・連絡の待ち時間を短縮してスムーズにストーリーを進めるための機能が備わっており、通常はリアルタイムで数分〜数時間待つやり取りや進行を短縮することができる。細かな設定を速やかに済ませ、田角は物語の本編へと歩みを進めた。
物語のあらましはこうだ。ましろ爻、来栖夏芽、シスター・クレアの3名は「にじさんじ廃墟探索部」を結成し、いわくつきのスポットを巡ることになる。廃墟探索の模様は、ゲーム内にある架空のSNS・D4-Birdで逐一共有され、プレイヤーはその様子を見守り、ときに検索を駆使しながらライバーたちにリプライを送る。D4-Birdは双方向のやり取りを重ねながらリアルタイムで更新され、プレイヤーはまるでゲームの登場人物の1人になったかのような高い没入感を体験できる。
画面がD4-Birdに遷移すると、その作り込み細かさに驚かされる。「にじさんじ廃墟探索部」からの投稿を確認できるだけでなく、トレンドにはにじさんじファンならニヤリとしてしまう小ネタが仕込まれていた。田角もいち早くそれらを発見し、
田角陸
あ、すごい。ちゃんと作られてる。にじたうん、トレンドに入ってるんだ
と声を弾ませる。さらに開発中の画面によるバグかと思われた“文字化け”にも素早く着目し、その意味を読み解こうとするなど、作品世界に落ちている手がかりを抜かりなくチェック。そうこうしているうちに物語のチュートリアルとして、怪しげなサイトのURLが共有され、その後にD4-Birdを通じて3人から問題が出題された。ARGコンテンツを遊び慣れている田角は
田角陸
こういうのは問題を見てから細かくチェックしたほうがいい
と、すでに勘どころを心得ている様子。しかし思いのほか制限時間が短いことを知り、少し焦りながらも各問題を順調にクリアしていった。
時間があればメモとスクショを
田角陸
時間があればメモったほうがいいんだよなあ。最初に出てきた情報は最後に絶対必要になるから。SNSで共有される写真も、普段だったらすべてスクショしていますね
CEOとしてのスケジュールが詰まっており、限られた時間しかプレイできない田角は、出てきた情報をなるべく頭に詰め込みながら物語を進めていく。
田角陸
これ、たぶん部屋の構造が大事になってきそうですね。こっちは国語力を問われる問題だよな。ミスしたら恥ずかしいぞ……
と、各問題に真剣に取り組む田角。プレイ時間を気にして企画担当者がそれとなくヒントを出そうとすると、
田角陸
いや、ヒントは大丈夫です
田角は頑なに拒否。彼は自力にこだわり、D4-Birdで寄せられるライバーたちの要望に応えていく。物語が進行していくにつれ、ライバーからは暗がりを写した何枚もの写真が共有される。そのうちの1枚に引っかかりを覚えた田角は目を凝らしながら
田角陸
これ、田角って書いてない?
と、勘繰る。しかしこれが出題されている謎と関係ないと悟ると、すぐに本題に集中。こういった情報の取捨選択も、ARGコンテンツを遊ぶ上でのひとつのコツなのだろう。
無事解決、と思いきやましろ爻から不穏なメッセージ
ゲーム終盤、とあるアクシデントにより、ライバーたちがSNSを更新できないという事態に発展する。“もうひとつの世界”との唯一の連絡手段であるSNSで意思疎通ができなくなるという状況に頭を抱える田角。
田角陸
ヤバいヤバいヤバい。ヒントをもらわないようにしなくちゃ
と、あくまで自力でのクリアにこだわる田角だが、CEOとしての次のスケジュールが目前まで迫っている。企画担当者は遠回しに、ヒントと言えなくない発言を繰り返して、田角を物語の結末へと導いていった。
無事、時間内に最後の謎が解けると田角の口元がゆるむ。しかし、物語のエンディングでましろ爻から不穏なメッセージが届き、その顔つきは再び真剣なものに変わった。物語はまだ終わっていない。そう、ここまでのプレイはあくまでも「EPISODE 01」。続く「EPISODE 02」がまだ残されているのであった……。田角は多少の口惜しさをにじませながら、次の打ち合わせのために会議室をあとにした。