ANYCOLORの技術力とコンテンツに憧れて
──今回は、新卒で入社された皆さんにANYCOLORで働くうえで感じる仕事のやりがいや魅力を伺っていきます。まず、学生時代や入社前に学んでいたこと、取り組んでいたことを教えてください。
サウンドエンジニア 花井(以下、花井):学生時代からサウンドエンジニアになりたいと思っていたので、専門学校に入り勉強をしていました。在学中もフリーのスタッフという立ち位置でスタジオに入って、今しているような作業をはじめ、さまざまな音周りの仕事をしていました。
モーションキャプチャーアシスタント 砂田(以下、砂田):私は四年制の大学で3DCGを学んでいました。キャラクターや背景のモデリング、3DCGを使ったアニメーションのグループ制作や個人制作をしていて、学校や展示会などで発表したりしていました。
映像エンジニア 佐藤(以下、佐藤):僕はタレントやクリエイターの育成などを学べる専門学校に入り、動画編集や企画の制作進行などを勉強していました。
──なるほど。では、皆さんがANYCOLORへの入社を希望された理由はなんでしょうか?
佐藤:高校生のとき、にじさんじを初めて知ってどっぷりハマったんです。面白いことをやっている人がたくさんいていいな、と。卒業する頃には明確に「こういう会社で人を楽しませる仕事がしたい」と思うようになり、ANYCOLORへの就職が第一目標になりました。そして就職活動中に2023年卒の新卒募集を見て応募し、ご縁あって入社できました。本当にうれしかったです!
砂田:私はもともとVTuberを知らなかったのですが、大学で3DCGを学んでいるときに、にじさんじがきっかけでVTuberを知りました。最初はコンテンツが面白くてにじさんじの動画を見ていたのですが、次第にVTuberの仕組みに興味が湧くようになって。個人的にモーションキャプチャーの機材を購入し、自作のモデルを動かしていたんです。自分でやるようになって改めてANYCOLORのすごさを知り、コンテンツはもちろん、新しい技術を生み出し続ける高い技術力を持ったANYCOLORに憧れ、応募しました。
花井:僕も砂田さんと同じでVTuberの知識があまりなく、もともとはレーベルが輩出するアーティストのレコーディングやミックスをやってみたかったんです。ただ、趣味であるゲームの配信を見ていると必ず行き着くのがにじさんじ所属のライバーさんの動画や配信でした。
その話を同じ学校の友人にしたところ、戌亥とこさんのファーストライブ(2020年開催の「Inui Toko 1st Solo Live 'who i am'」)のBlu-rayを見せてくれたんです。配信という活動がメインの人たちでもこんなに大きな規模のライブができることと、ライバーさんが自分たちの前でライブをしてくれることに感銘を受け、VTuberに興味を持ちました。その後に就活が始まったのですが、たまたま僕の年からANYCOLORでは初めてサウンドの募集が出ていて、「これは巡り合わせだ!」と思い応募しました。
「楽しかった」も「大変だった」も、その先にあるものは……
──入社から現在までどのようなお仕事に携わってきたか教えていただけますか。
佐藤:メインはLive2Dの映像エンジニアとして、2Dの営業案件や公式番組、ライバーさんが企画した配信の映像オペレートをしています。たまに3Dの配信や収録の映像周りを受け持つこともありますが、メインは2D配信です。最近でいうと、2024年6月に配信された緑仙さんのスマブラ杯(エンジョイ‼にじさんじスマブラ杯)から麻雀杯(新春!にじさんじ麻雀杯2025)まで、スタジオで行った2Dのゲーム大会配信すべての映像オペレートを担当させていただきました。
作業中の佐藤さん。
花井:僕のメイン業務は「歌ってみた」の収録です。ほかには、「にじさんじのB級バラエティ(仮)」の予告編のMAエンジニアリング(番組音声のミックス作業)を担当したり、ライバーさんのボーカル音源のエディットをしたりもしています。
砂田:私はモーションキャプチャーアシスタントとして、キャリブレーション(カメラの調整)やライバーさんのマーカー付け(動きの計測ポイントに反射マーカーを付けること)、モーションキャプチャーの事前準備、配信や収録のエリア内の3Dフロアアシスタントがメインです。入社してもうすぐ1年になりますが、最近ではYouTube Shorts収録などの比較的規模が小さな業務の中でモーションキャプチャーオペレーターとしての業務もするようになりました。
──メイン業務のほかにもいろいろなお仕事をされているんですね。これまで携わったお仕事の中で特に印象に残っているものはなんですか?
佐藤:特に楽しかったのは、SHIOHIGAREEEz(鏑木ろこ、ソフィア・ヴァレンタイン、倉持めるとのユニット)のカラオケ配信です。最近の2Dのカラオケって、ライバーさんが歌っているところに我々がカメラワークを付けたり、演出したりするのですが、自分が仕込んだ演出をライバーさんと視聴者さんに喜んでいただけたのがうれしかったし、手応えを感じました。仕事をしていて、ライバーさんや視聴者さんに喜んでもらえるのが自分にとっても一番の喜びなのでとても印象に残っています。
花井:僕は倉持めるとさんの「UNDEAD」の歌ってみた動画です。まだ入社1年目なのでずっとアシスタントをしていたのですが、11月に新スタジオになってからメインのエンジニアとして動く機会をいただくことができて、その際に倉持さんから「UNDEAD」を録りたいと提案がありました。
もともと収録は3時間の予定でしたが、そもそも「UNDEAD」は声をたくさん録る大変な曲なのでディレクターさんに相談したところ、「(3時間では)録りきるのは難しいですね」と(笑)。倉持さんにも相談して時間を延ばしていただき、話し合いながらこだわって録りきることができました。事前準備も普段以上に時間をかけて行いました。
――いつもより長めに準備時間を取られたとのことなんですが、通常はどれぐらいかかるんでしょうか?
花井:歌収録の場合、エンジニアの事前準備は通常2〜3時間ほどで終わるんですが、「UNDEAD」は収録が大変な曲ということもあったのでかなり時間をかけました。ディレクターさんと各パートで何を録るか詰めたり、普段作らない資料を作ったりと入念に仕込んで録ったので、めちゃくちゃいいものができあがりました。アップロードされた動画を見たときはぐっときたし、「やってよかった!」と思いましたね。
UNDEAD / 倉持めると Cover
──かなり念入りに準備して制作されたんですね。砂田さんはいかがですか?
砂田:私は新スタジオができたとき、3Dフロアアシスタントとして参加した「にじさんじ大感謝祭」が一番記憶に残っています。新スタでの初めての収録だったのですが、旧スタジオより部屋の規模も大きくなったし、ライバーさんや関わるスタッフの人数も入社してから見たことがないくらい多かったので。実際の配信では、スタッフとライバーさんはもちろん、コメントをしてくれる視聴者さんも「今後このスタジオでどんなことができるんだ」とワクワクしてくださっているのが感じられて楽しかったです。
佐藤:僕は参加していなかったのですが、お話を聞く限り、スタジオスタッフ総動員レベルの人員が関わっていたそうですね。
砂田:そうなんです。2Dの部屋が3つ、3Dの部屋が2つあり、全体で連携をとらなければいけないのも大変でした。インカムで「次行きます!」って密に連絡を取り合ったりしていたんですが、現場は混線していました(笑)。
新スタジオ設立記念!総勢50名のライバーによる大型特番! #にじさんじ大感謝祭
──大変だったんですね。佐藤さんと花井さんも、もし大変だったお仕事があれば教えていただきたいです。
佐藤:僕は「にじさんじ甲子園」ですね。長時間ずっとオペレートし続けるのが大変で、ドラフト会議を含めスタジオでの計5日に渡る配信をやり終えたときは、「大変だった……」という気持ちと同時に「やりきった!」という達成感がありました。
花井:僕はIdiosの「Idios 2nd Anniversary Live」です。入社してから一番大きかった案件でした。入社前にもライブへ携わる機会がありましたが、入社してからそこまで似たような重たい案件はなく「なんて働きやすい会社なんだ」と思っていたところでの稼働だったので、「ちゃんと重いのきた!」と懐かしく感じました(笑)。
先輩からの教えによって少しずつ一人前に! 趣味が活きる場面も
──ANYCOLORで働き始めてから、できないことや苦手なこともあったと思いますが、お仕事をする中で成長を感じた瞬間はありましたか?
砂田:オペレーター業務ではこれまで、何かあればすぐサポートできるよう先輩が付きっきりで教えてくださっていたのですが、先日初めてYouTube Shorts収録を1人で担当することになったんです。めちゃくちゃ緊張したのですが、トラブルがあっても「前にこういうことがあって、そのときにこう教えてもらったな」と思い出して対処できたり、自分の頭で考えて行動できました。
リアルタイムでライバーさんから受けた調整の依頼に応えて「めっちゃよくなった! ありがとうございます」と言ってもらえたときは、一人前に少し近付けたかなとうれしくなりましたね。
キャリブレーション(カメラの調整)中の砂田さん。
花井:僕はレコーディング中のオペレート速度がすごく上がりました。先輩が付きっきりで教えてくださり、都度修正していただく中で日々スピードが上がっていると思います。まだまだですが、このままがんばれば1人でレコーディングできるようになれそうだなと感じています。
また、MA(映像の音量調整など)もしているのですが、学生時代にしていた仕事の中でもあまり得意ではなく、授業もサボり気味だったんです。でも内定をいただいてからは必要な業務だと感じて、学校の先生に「すみませんでした」と頭を下げました(笑)。内定後の在学期間中に改めて勉強しなおしたり、入社後は先輩に指導していただいたりしながら技術を身に付けています。先日、いつも先輩が担当されている「にじさんじのB級バラエティ(仮)」本編の中で「グルメなチキンレース ゴチそうになりたい!」の一部を任せていただき、チームとして自分の実力を認めてくださっているんだな、成長しているなと感じました。
──先輩たちの教えが着実に身に付いて仕事に活きているということですね。佐藤さんはどうでしょうか?
佐藤:僕が成長したと感じることは2つあって、まずはアドリブ力です。生配信の仕事中、最初の頃はライバーさんの思い付きや台本の流れと違う展開になったときにうまく対応できなかったんです。「打ち合わせとちがう……!」と思ったら頭がフリーズしちゃって先輩に助けてもらっていたのですが、経験を積んで、アドリブで面白いことを形にできるようになりました。
もう1つが新しいものへの適応力です。所属しているチームではどんどん新しいシステムを組み込んでいて、それに適応したうえでいいものを作らなければいけないのですが、新しいものに触れるのってけっこうカロリーを使うんですよね。ですが、いろんなものに触れる経験をしたことで抵抗感がなくなり、「面白いことができるならどんどんやっていこう」と思えるようになりました。
──まさに経験で培ったものですね! 以前、スタジオ部の方々が、「ライバーさんのリクエストに柔軟に応えるには趣味や新しい知識が活きることがある」とおっしゃっていました。皆さんがお仕事をする中で、自分の趣味が活きたと感じたことはありますか?
砂田:佐藤さんがご担当されたお仕事の話なんですけど、夜見れなさんが配信された「#3Dクリスマス会っぽい」でのポケモンカードの演出がすごかったです。佐藤さんご自身もポケカがお好きだからか、2Dを3Dに組み込んだ新しい演出で「面白い!」と思いながら中で見ていました。
佐藤:3Dで「Pokémon Trading Card Game Pocket」の配信をしていたのですが、「画面上でこう映ったほうがライバーさんも視聴者さんもわかりやすいし面白いだろうな」と考えてシステムを組みました。実際にウケがよく、花畑チャイカさんがそれで遊んでくれたりもしたので趣味が活きたなと実感しました。
🎅 #3Dクリスマス会っぽい 🎅 クリスマス会場はココです。【夜見れな / 加賀美ハヤト / 椎名唯華 / 花畑チャイカ / にじさんじ】 「Pokémon Trading Card Game Pocket」のバトルコーナーは2:16:30より。
徹底的なサポートがあるから臆することなくチャレンジできる
──では、ANYCOLORで働く魅力やこの会社だからこそできた経験はありますか?
佐藤:会社全体で「いいコンテンツを世に出していこう」という思いがあるし、実際にいいコンテンツに触れ続けられることですね。業界の最先端にいる会社なので、技術面でも面白いことや新しいことに触れられる環境が揃っているなと感じています。
花井:僕は自分のやりたいことをやらせていただけることに魅力を感じています。音の業界は“専門色”が強く、ひとくちにエンジニアといっても、レコーディングエンジニアやミックスエンジニアなどさまざまな種類があります。ただ、業界に入るとどれか1つに特化した人が多いんです。そんな中、うちは基本的に音周りはなんでもやるスタイルなので、僕はレコーディングを担当しながらミックスもMAもやらせていただいています。
業務の幅を広げてキャリアアップもできるし、スキルが着実に上がっていることも感じられる。もちろん、専業でやりたいならその希望が通る環境でもあるので、仕事の幅が広くて自由度があることが魅力だと感じています。
作業中の花井さん。
砂田:私も業務の枠にとらわれず、やりたいことをやらせてもらえるのが魅力だと思います。興味があることや挑戦してみたいことを上長に伝えると、次の週にはできるような状態になることもあるくらいです。そのときは「まだできないです……」と不安になったのですが、先輩が付きっきりで教えてくださったおかげでチャレンジできています。新卒だからこそやらせていただいているのかもしれませんが、そういったチャンスが巡ってくる環境はなかなかないので、すごくいいなと思います。
──徹底的なサポートがあるからこそ、安心してチャレンジできるんですね!
砂田:もう1つチャレンジさせてもらえたことがあって、2024年12月に武蔵野の森総合スポーツプラザで開催されたさんばかの皆さん、三枝明那さん、不破湊さんのライブで3Dの背景デザインと舞台デザインを任せていただきました。ライブ会場の担当をされている方が新卒採用の面接担当だったんですけど、私が大学時代にデザインを学んでいたと覚えていて、「やってみない?」とチャンスを与えてくださったんです! メインの業務以外のことに挑戦させてもらえることも魅力だと思います。
──ライブの舞台デザインということで非常に責任が重い仕事だったと思いますが、それぐらい砂田さんのスキルが買われていた、ということじゃないかなと思います。続いて、スタジオ部の雰囲気や働きやすさはいかがでしょうか?
佐藤:スタジオ部はみんな仲がいいんじゃないかなと思います。そんなにバチバチはしていない、かなって(笑)。先輩や同僚がみんな優しくて、全員働きやすい環境を作ってくれています。雰囲気って大事だと思うので、そういうところも働きやすさにつながっているんじゃないかなと。
砂田:そうですよね。それに年齢が近い方が多いので、意見が言いやすく、質問もしやすい環境ですよね。新卒で未経験なのでわからないことが多く、先輩に質問することも多いのですが、どんなに忙しそうでも手を止めて、理解するまで付き合ってくださる優しい先輩方が多いです。
花井:僕もめちゃくちゃ働きやすいです。まず、収録が時間内に終わることが自分にとってはやりやすいですし、ライバーさんにとってもいいなと思っていて。無限に時間が使えてしまうと疲労も溜まりやすく、ダラダラ伸びてしまうし、決断力が鈍るというか、「今のテイクよかったけどこっちのテイクも使いたいしな……」と収録開始直後はスムーズに解決できていたものを悩んだりすることも減ると思います。そういう面でもしっかりと時間を決めて、切り替えながら仕事ができるのはやりやすいです。
また、土日に出社したら代休を取る制度やフレックス制も助かっています。スタジオ業務は毎日同じ時間に始まって同じ時間に終わるわけではないので、「今日は多めに働いたから明日は早めに上がろう」というような調整がきくのもいいですね。
花井さん、砂田さん、佐藤さんの1日のスケジュール。
──メリハリがありつつ、柔軟に働けるのはいいですよね。また、ライバーさんもファンの皆さんにいいものを届けたいという気持ちが強い方々ばかりですから、スタッフの皆さんと「一緒にいいもの作っていこう」という共通の意識のもとで高め合うことができるのかな、と思いました。
花井:そうですね。音の業界ってタレントさんやアーティストさん、制作の方が第一で、お客さんに合わせて動くことが多いんです。機嫌を損ねちゃいけないとか、技術面以外の気にし過ぎなくていいところまで気を使わなければいけなくて。ANYCOLORではライバーさんとスタッフで“一緒にいいものを作っていく仲間”という意識が強いので、そういう部分でもすごく働きやすいです。
──ちなみに社内の人と遊びに行くことはありますか?
砂田:たまに同期と遊びに行きますね! スタジオ部と仕事内容が近い部署の方と遊びに行くこともあります。
花井:先日、会社の先輩と映画を見に行きました。副業をしているのでそっちに時間を使いたいというのもあり、あまり仕事関係の方と遊びに行くことはないので、自分でも珍しいと思いながらご一緒させていただきました(笑)。
佐藤:僕は会社の先輩とカラオケやご飯に行ったりはしますね!
魔法のような新体験ができるANYCOLORで、“好き”を仕事に!
──最後に、ANYCOLORへの入社を考えている就活生の皆さんにメッセージをお願いします!
砂田:私はモーションキャプチャーアシスタントの募集を受けて入社したのですが、ANYCOLORで使っているモーションキャプチャーって、VICONやOptiTrackというたぶん学生中には触れることが少ない高価なシステムなんです。なので未経験で受けることが不安な方もいらっしゃると思いますが、私も未経験でしたし、優しい先輩がマンツーマンで1から教えてくださるし、いろいろなチャンスも降ってくるので安心して受けていただきたいです! 皆さんが入社されたらしっかりサポートできるよう、私も腕を磨いていきます。一緒に働ける日を楽しみにしています!
花井:自分のやりたい仕事をとことん突き詰められる環境であり、広く普及していない技術に敏感に反応している会社です。そういった部分に惹かれる方や技術職として腕を磨きたい方にとても合っていると思います。働く側も「魔法のような新体験」ができるので、そのバリューに惹かれた方にはぜひ来ていただきたいです。
佐藤:そもそも僕が「VTuberって面白い」「にじさんじが好き」という気持ちがあって入社したので、そういった熱量があると仕事をしていくうえでの原動力になると思います。「好きなことを仕事にしないほうがいい」という話もよく聞きますが、僕は実際に好きなことを仕事にして苦に思ったことはないし、面白いことを仕事にできてかなり恵まれていると思います。
ANYCOLORは自分のやりたいことができて、面白いコンテンツを積極的に生み出す探究心のある会社なので、「エンターテインメントが好き」「にじさんじが好き」という方はぜひ門を叩いてほしいです!
文:桜井美穂子 取材・編集:ANYCOLOR MAGAZINE編集部