三枝明那とマネージャーの“適度な距離感”
三枝明那
──まず、Hさんのマネージャーの仕事内容をお聞かせください。また、Hさんからみた三枝さんの魅力はどのようなところになりますか?
マネージャー・H(以下、H):基本的な仕事としては、三枝さんの窓口として社内の各部署からの連絡等々のやり取りだったり スケジュール管理を主な仕事としております。僕が入社してからずっと担当させていただいてるので、2年以上のお付き合いということになりますね。
魅力というところで言うと、勝負強さという点を挙げたいです。ほかのライバーさんだったら、大きなイベントが控えている際は緊張や不安の声を聞くことも多くあるんですが、三枝さんは経験が豊富ですし、いろいろと一緒に仕事をやってきた中で、本番で決めるところを決めてくれる勝負強さをすごく感じています。特にライブはすごくいいものを見せてくれるので 、本当にマネジメントをしていて楽しいんです。
──三枝さんから見たHさんはどういったマネージャーさんですか?
三枝明那(以下、三枝):にじさんじに6年以上在籍しているので、マネージャーさんも5、6人目にはなるんですが、Hさんは1番適度な距離感でいてくれてるなっていうふうに感じています。
僕はかなりパーソナルスペースを大事にするタイプの人間だと思うんですけど、そこの踏み込まれたくない領域を感じ取って、快適に過ごせる距離感でいてくれるんです。人と人とのコミュニケーションにおいて、 すごくいい空気感を持って接してくれているので、とにかく仕事がしやすいんです。
H:僕もマネジメントという仕事自体は始めて5、6年目ぐらいになるんですけど、どのくらいの距離感でいてほしいかはライバーさんによってかなり異なってくる部分ですよね。
例えばライバーさんによっては、控室もずっと一緒にいて欲しいという人もいますし、逆に本番で要所だけいてくれればあとは1人でいたいという人もいます。ライバーさんがどういった距離感でいてほしいのかは自分としても、やはり考えているところではあるんですが、三枝さんにそう言っていただけたのは素直にうれしいです。
三枝:一緒に遊びに行ったこともあるくらいですしね!僕もHさんとそういった関係になれたのはうれしいことです。
──プライベートでもお付き合いがあるような関係なんですね。それでは山本さんのお仕事内容や役割を教えていただけますか?
イベントプランナー・山本(以下、山本):イベントプランナーをやっております山本です。プランナーって言うと、いわゆる企画屋みたいな印象が強いかと思うんですが、ANYCOLORのイベントプランナーは企画の立ち上げから進行まで幅広く担当します。演出を考えたり、台本を書いたり、 レッスン現場に行ったり、各種テクニカルチームとの調整もするので、イベントを作るまでに必要なほぼすべての業務を一手に担っています。
三枝さんとも定期的にミーティングをさせていただいて、イベントの概要から演出といった細かいところまで、一緒に考えながら作り上げている最中です。
あのときがむしゃらに取り組んできたことが、今の俺を変えてくれる
「Saegusa Akina 1st Solo LIVE 'Unity'」キービジュアル
──今回のライブは山本さんが企画立ち上げから携わっているそうですが、なぜ三枝さんに白羽の矢を立てたのでしょうか?
山本:ANYCOLORのイベントは大きく分けて2種類ありまして、いわゆる「にじさんじフェス」のような弊社としてやることが決まっている大きなイベントと僕らイベントプランナーが考えた企画を実施するイベントです。今回は後者になるんですが、まず、なぜ僕が三枝さんのライブをやりたいっていう話になったかって言うと、話は2021年にまで遡ります(笑)。
僕は入社して4、5年になるんですけど、2021年のシェリン(・バーガンディ)さんの謎解きイベント(「名探偵シェリン&三枝 最初の事件〜いなくなった文野環をさがせ!〜」)で三枝さんと初めて顔合わせさせていただいたんです。当時は僕もまだまだひよっこではあったんですが、同じく2021年開催の「NIJIROCK NEXT BEAT」を続けて僕が担当することになりまして、その際の三枝さんの歌がすごく印象に残っていたんです。三枝さんが歌ってた「オドループ」が一生忘れられなくて……!
「NIJIROCK NEXT BEAT」キービジュアル
山本:それから少し月日は流れるんですが、今年に何か1つライブを打ちたいと考えていたところ、ちょうど会場に空きがあることが分かりました。会社に「企画書を上げるので、企画を考えさせてください」という話をしたときに、一番最初に頭に浮かんだのが三枝さんだったんです。
純粋にファンの方々が三枝さんの歌を聴く機会がもっと増えてほしいし、もっと広げなきゃって思ったんです。三枝さんの歌の魅力がまだ世の中に伝わりきってないという感覚があって、それはすごくもったいないことだと。
三枝:山本さん、今僕の視聴者に手を合わせられてますよ!
山本:三枝さんの魅力ってやっぱり一番は歌だと思っていて。それをもっとちゃんと広げたいなと思ったのが、今回のイベントを企画した一番大きな理由です。
──三枝さんは今の山本さんのお話を聞いていかがでしたか?
三枝:今の話は僕も一番最初に聞かせていただきました。僕自身、「ここに来てなんで僕やねん」っていう疑問はずっとあったので、最初は山本さんのことを問い詰めちゃいましたね(笑)。
ライバー活動って刹那的な部分があって、みんな“どうしようもなく今を生きてる”わけですよ。やっぱり長期的な目線で活動するっていうこと自体が難しい業界じゃないですか。そんな中で2021年には本当にたくさんのイベントに出させていただいていました。イベントが終わっても、また次のイベントがあるので、ありがたいことにすごい未来が見える活動をさせてもらってた時期だったんです。本当に1つひとつ全力でやってはいたんですが、逆にこれが全部終わったらどうなるんだろうなっていう漠然とした不安を感じていました。
2022年頃はどんどん次に目指すものが少なくなっていく中で、たくさん新しいライバーがにじさんじに入ってきて、みんながすごく魅力的に見えるわけですよ。自分に自信をなくすわけじゃないですけど、なかなかモチベーションを保つのが難しかった。
そんな中、山本さんにイベントの立ち上げの話を聞いたときには、あのときがむしゃらに取り組んできたことが、今の俺をこんなふうに変えてくれるんだっていうところをすごく感じたというか。努力って言うとなんかきれいごとみたいなんですけど、自分が今までがんばってきたことがこういう形で今につながるんだっていう実感がありました。
それってつまり、今の仕事をがんばることの意味にもつながる話ですよね。今回のライブの後は何も決まってないわけですけど、これまでの僕だったらこのイベントが終わった後は燃え尽きて、「この先俺は何をモチベーションにがんばればいいんだろう」って考えてたと思うんです。
でも、山本さんにライブを開催する理由をお聞きしたことによって、ここで終わりじゃない、また次にあの道が切り開けるかもしれない、と思えるようになったんです。山本さんが見出してくれたことに対する裏切りにならないように、来年も継続して活動をがんばりたいです。
「今までの活動の総括になってくる」それぞれが「Unity」にかける想い
──おふたりの熱いお話が聞くことができました。今、皆さんがチーム一丸となってライブ制作に励んでいる最中だと思います。ライブ当日に向けて思っていることを教えて下さい。
山本:まず今回のプロジェクトを立ち上げたときに、アルバムも一緒に作りましょうという話をさせていただきました。「UniVerse」は三枝さんの希望をそのまま形にしたようなアルバムにすることができたので、あとはもう三枝さんの歌の魅力を100%届けることができるようにすることが僕らのミッションです。
このライブで大事にしたいのは、もちろん三枝さんもそうなんですが、お客様の満足度ですね。見てくださったファンの方々がもっと三枝さんを好きになっていただけるようなライブにするっていうのは、絶対僕らの仕事としてやらないといけないことだと思っています。最終的にこれからの三枝さんの活動にもつながっていくようなライブにしようというところを今一番に考えていますね。
三枝明那 1st Mini Album『UniVerse』&Saegusa Akina 1st Solo LIVE 'Unity' ティザー動画
──三枝さんにとって今回の1stライブはどのような存在になりそうですか?
三枝:やっぱり今までの活動の総括になってくるのかなと思っています。今までの活動をみんなと振り返りながら、みんなにもこれからの僕の今後の可能性を感じてほしい。
本当に活動初期から応援してくれている方が多いので、ずっと付いて来てくれた人たちに成長した姿を見てほしいし、それを自分も実感してここからまた歩いて行きたいっていう気持ちです。
──Hさんはマネージャーというお立場から、1stライブで三枝さんに期待することはありますか? どんな三枝さんが見たいですか?
H:三枝さんは自分でいろいろ考えられる人間だと思っているので、今回のイベントについては僕はちょっと一歩距離を置いている、じゃないんですけど……。いつもイベントがあると「あれやったら? これやったら?」って言いたくなっちゃうんですけど、三枝さんは自分の見せたいものがしっかりあって、それを実現するためにいろいろと考えていると思うんです。
初めてのソロライブは1回しかないので、悔いを残してほしくないっていうのが一番に思ってるところです。あとは三枝さんは明るい歌も切ない歌も幅広く表現できるライバーだと思っているので、今回のイベントは見ている僕らをいろんな感情で揺さぶってくれるようなライブになってほしいなと思っています。
三枝明那「この先もできることならずっと2人と…」
「UniVerse」通常版
──三枝明那さんは「武道館でライブをする」ことを目標に掲げられていますが、今回の1stライブはその足がかりになると思います。少し気が早い質問かもしれませんが、1stライブを達成される今、武道館ライブに向けてどのようなことをしていきたいですか?
三枝:武道館をただの箱というふうに認識するのであれば、今回の会場である武蔵野の森総合スポーツプラザのキャパシティと実はそこまで大きく変わらないんです。じゃあなぜ世の中のアーティストが武道館を神聖な場所として捉えるかと言うと、やっぱり自分が今まで残してきたものを武道館という場で表明したいからだと思うんですね。
どうすれば自分が武道館でライブをすることができるのかっていうことを考えたとき、やっぱり一番はあの武道館という場所でその場に集まった人たちに対して、本当に自分が満足の行くパフォーマンスをできるかっていうところに尽きると思うんです。
自分自身が自分の力をしっかり信用できなきゃ立っちゃいけない場所だと思うし、そのために準備や成長を続けていくことが武道館に立つっていうことの意味なのかなと思っています。
【※ライブ最後に重大告知】#三枝明那3DLIVE 5周年記念ファン感謝祭だ!!!【三枝明那 / にじさんじ】
──山本さんとHさんは武道館でライブするということをどう捉えていらっしゃいますか?
山本:今回のプロジェクトを立ち上げたときに「どこがゴールになるのか」というお話を最初にさせてもらっていて、このライブがゴールじゃないよっていうところは伝えさせていただきました。僕も三枝さんが武道館でライブをすることを目標にしていることはもちろん知っていたので、今回のライブで終わるんじゃなくて一緒に武道館まで行こう、というのを今回のプロジェクトの第一目標にさせてもらっています。
僕も最初からその覚悟でこのプロジェクトに臨んでいるのですが、実は武道館もゴールではなくて、その後もずっと駆け抜けていってほしいと考えています。とはいえ、このプロジェクトをやるうえでは武道館を第一のゴールとして設定させていただいたので、そこまではもう全力で一緒に走っていきたいなというのは、僕の中ではずっとありますね。
H:去年くらいに一度、武道館という目標について三枝さんと話し合ったことがあるんです。今でも武道館でライブをやるって言ったら埋められるだけのパワーを持ってるとは思っているんですけど、武道館はただの会場じゃないっていう思いが僕にもあって……武道館でやる理由っていうのが絶対に必要だと思います。
武道館は、またその先に向かって羽ばたいていくようなターニングポイントになる唯一のライブ会場だと思ってるので、まずこの“三枝明那第1章”の終着点として武道館の夢を叶えて、その先の三枝さんを見てみたいです。
──それでは最後の質問になりますが、今の山本さんとHさんのお話を受けて三枝さんが感じたことをお伺いできますでしょうか?
三枝:ライバーって自分自身がプロデューサーとしての役割も担っているので、これまで誰かからプロデュースというものを受けたことがほとんどなかったんですが、山本さんとHさんとはチーム一丸となって三枝明那をプロデュースしてる感覚がすごく強いんです。2人に影響を受けて、自分自身について考える時間が増えましたし、そういうきっかけをくれた2人には本当に感謝しかありません。本当にありがとうございます。
これ読んだ人、ちょっとあれだよね。急にいろいろ知って、びっくりしちゃうんじゃないかな?(笑)
山本:人と仕事するときってやっぱり自分を引っ込めなきゃいけない部分もあると思うんですよ。それは僕ら演出側もそうですし、ライバーさんももちろんそうだと思うんです。だけど、このライブに関してはみんな腹割って話してるというか、互いにぶつけ合えてるなっていうのはすごく感じています。
三枝:これで終わりにしたくないっていう気持ちが強くて、この先もできることならずっと2人と進んでいきたいです。視聴者のみんなには、まずは次のイベントを楽しみにしていてほしいです。
(Music Video) うぇいびー / 三枝明那
Saegusa Akina 1st Solo LIVE "Unity" | 三枝明那 1st ソロライブ