ROF-MAO 2nd LIVE - Limitlessレポート
1曲目に選ばれたのは、ROF-MAO 1st LIVE - New street, New worldのトリを飾った「New street, New world」。バンドが演奏を始めたかと思いきや、イントロのみで一旦ストップ。会場が暗闇と静寂に包まれると、ステージ上にはピンスポットライトに照らされた加賀美ハヤト、剣持刀也、不破湊、甲斐田晴が現れる。「駆け抜けたい! 駆け抜けたい! これしか無いに決まってんだ ちゃんと聞いてくれよ 本気の言葉」とサビの1フレーズをアカペラで歌い上げ、会場はファンからの悲鳴のような歓声で満ちる。これまで数々のライブやイベントで歌い込んできた渾身の1曲で2ndライブの幕を力強く開いた。
なお本公演では、無線制御ブレスレットライトを使用しての演出を実施。客席ごとにライトが配布され、本番中には曲の盛り上がりやメンバー間でのパートの入れ替わりに合わせて光の色が変わり、客席にきらびやかな一体感をもたらした。
加賀美の「カモン!」というシャウトから立て続けに「情熱的ボーイ」をドロップ。曲中にはMVで登場した赤い怪獣がステージ上に現れ、МV同様に強大な力を得たROF-MAOメンバーが怪獣を討ち果たす場面が再現された。会場外と同じく、真夏のような熱気に包まれる会場。その後、叩きつけるような重いビートと切り裂くようなギターリフが鳴り響き、ミドルテンポの「ガム」を差し挟んで観客を徐々にクールダウンさせていく。
続いて投下されたのは、ライブではおなじみの疾走感溢れるナンバー「一撃」。「お前らうれしそうだな!」「だってこの曲好きだもんな⁉」というROF-MAOの声に、観客は大音量の歓声で応える。ROF-MAOの楽曲の中で屈指のドライブ感を持ち、聴く人を前へ前へと進ませる魅力を持つ歌詞によって、ステージに向かって腕を振るファンの姿もどんどんエネルギッシュになっていく。曲が終わると加賀美は「みなさんの2万発の一撃、非常に効きました!」と満面の笑みを浮かべる。自己紹介もそこそこに、4人はブレスレットライトの演出について話し始め、それぞれ会場全体を思い思いの色に染めて楽しんでいた。
序盤から全力疾走の勢いで駆け抜けるROF-MAOにネット配信のコメント欄からは「飛ばしている」との声が。加賀美は「飛ばすのはこれからですよ! これからやる曲はライブだったらどうなるんだろうとずっと楽しみにしていました。声上げる準備できてますか!」と語りかけ「勝利の歌〜最強無敵ナンバーワン〜」のパフォーマンスを始める。ライブ初披露のこの楽曲だが、パワフルなビートとがむしゃらに“最強”を目指す情熱的な歌詞がステージ映え抜群。ミラーボールに火花、縦横に走る色とりどりの照明など演出もやりたい放題で、観客はまたもや熱狂の渦に飲まれていく。
続いての曲は、2ndライブ用にアレンジされたROF-MAOミュージックのスペシャルメドレー。4人の多層的なハーモニーが耳に心地いい「Follow Your Heart」、エモーショナルなギター&テクノサウンドがキャッチーな「ラックハック」、タイトルそのまま真夏のライブにピッタリな「HANABI」のほか「Do or Die」「Let's Get The Party Started!」「Challengers」と畳みかける。メドレー終盤、加賀美が「お手を拝借!」と叫び、ROF-MAOファンにはおなじみのリズムでハンドクラップを求め「前進宣言」へと突入。熱いシャウトが観客の胸を打ち、「We go on the stage! We go on the stage!」のリズムに合わせて拳を振り上げ、そのまま「ウィーアーポップスター」になだれ込んでいった。
怒涛の8曲メドレーを終え、ひと息入れるROF-MAO。甲斐田は「無事終わってよかった……」とホッとした表情を浮かべ、「熱く走り続けてきましたけども、空気を“リフレッシュ”していきましょう!」と呼びかけ、「Refresh.exe」を披露する。歌詞も曲調もリラックスムード満点のこの曲。サビでは4人が爽やかなユニゾンを響かせ、会場の空気を一気に穏やかな雰囲気に切り替えていった。続く「感情BONDING」では、4人が囁くようなラップを披露し、体の奥に響くような重厚感のあるビートでKアリーナをダンスフロアに変貌させる。
ライブも折り返し地点だが、ROF-MAOは間髪入れずダンサブルなアッパーチューン「Bring it on」を投下し、まだまだ観客の心を離さない構えを見せる。一気にテンポが上がる中盤のパラパラパートに差し掛かると、「え、え!?」「嘘!?」と動揺する4人。なんとステージ左右の上部にメンバーの着ぐるみとROF-MALが現れ、華麗なパラパラを披露。着ぐるみとROF-MALたちは観客の視線を釘付けにしたままクールに去っていった。
七福神の1柱・布袋にROF-MAOを託して表現した「布袋尊」では、ハイテンポかつ情報量の多い歌詞をテクニカルに歌いこなす4人。続けて「AGATTA」が始まると、4人の手にはライブグッズのタオルが握られ、観客とともにタオルを激しく振り回して一体感をより高めていく。その後「Hands Up」で4人揃ってエモーショナルなシャウトを響かせ、観客は彼らの骨太なユニゾンに聴き入っていた。
その後バンドメンバー紹介を交えて「知っている手紙」を歌い上げたあと、本編ラストの1曲であり、ROF-MAO楽曲の中でも珍しい王道バラード「今日みたいに」へと続く。サビはメンバーそれぞれのソロとなっており、4人は観客との別れを惜しむように「今日みたいに あなたといたい」「今日をずっと忘れたくない」と声を張り上げる。客席のライトが清らかな朝日のように真っ白に光る中、曲の終わりにはメンバーが観客に向かって深く頭を下げてステージを去った。
名残を惜しむファンたちからのアンコールの声が響き渡ると、突如「木10!ろふまお塾」の収録スタジオが会場スクリーンに映し出される。ライブ本番から遡ること数か月前、これまでの仕事ぶりが評価された「ろふまお塾」スタッフは、セットリストにスタッフ厳選の2曲を追加する権利を得たと語る。スタッフは番組から生まれた不破と甲斐田のオリジナル曲「古傷マーモット」「哲学ニンゲン」を推すが、2人はなんとも嫌そうな顔を浮かべる。そこで2人が「スタッフの用意したバラエティ企画3種に挑み、1つでも成功したら歌唱回避」という賭けに挑むことに。
加賀美と手押し相撲で戦う「10秒わたくし倒し」では不破が加賀美の巧妙な作戦にハマり敗北、10秒間で剣持の爆笑を引き出す「10秒大爆笑」では甲斐田が剣持の氷のような無表情を崩せず敗れ去る。最後の「10秒筆絵伝言」では、甲斐田が不破の独特な絵柄からお題を読み解けずあえなく失敗。2人ともライブ本番での歌唱が決定した。そしていよいよ迎えた本番、「古傷マーモット」では甲斐田のソウルフルなシャウトをメンバー3人がじっと見守り、「哲学ニンゲン」では不破が途中で座り込みそうになるも、メンバーと観客のコーラスの力を借りて約8分もの長尺を見事歌い切る。1stライブでは加賀美がオリジナルソング「前向きフェニックス」を歌い、剣持が「もちもちハリネズミ」を聴かされるという、ライブの恒例行事となりかけていたこの流れもメンバー全員が経験したこととなり、ホッとした表情を浮かべていた。
ライブの終幕に向けさらにギアを上げ、「I wanna! You wanna!」を披露する4人。ROF-MAO楽曲の中でも鉄板のパーティソングが中盤に差し掛かり、加賀美が「皆さんお待ちかねのやついきますか!」と語りかけ会場と一緒に「1、2! 1、2、3、4!」とカウントすると、始まったのは「I wanna! You wanna!」のCメロではなく、YOASOBI「アイドル」のカバー。2024年のエイプリルフール企画として「ROF-MAO without 剣持刀也」のユニット名で「アイドル」をカバーしていた加賀美、不破、甲斐田は、一糸乱れぬダンスとともにキュートで少しダークなアイドルソングを歌い上げる。昨年同様何も聞かされていない剣持は、甘い歌声を響かせる3人の前に立ちはだかり「ダイカガミ2は⁉」「聞いてない!」「やめろー!」と猛反発。ステージ上の3人が光に包まれたあと共通衣装に衣替えすると、割れんばかりの歓声が巻き起こる。加賀美らとともに共通衣装に着替えさせられた剣持は「一味だと思われる!」と絶叫した。
「いつ(ダンスを)仕上げましたか?」と詰問する剣持に、加賀美、不破、甲斐田はアイドルのカバー動画同様剣持に内緒で練習を重ねたと明かす。Tシャツ姿に着替えた4人は途中で終わったままになっていた「I wanna! You wanna!」のCメロ以降を仕切り直し、そのまま告知パートへと移る。「ろふまお塾」の告知コーナーでは、4人が初の海外ロケに挑んだことが明らかに。予告映像には4人の悲痛な叫び声やモザイクまみれだが過酷なロケを想像させる場面の数々が収録され、ファンの期待感を上げていた。
最後のМCで甲斐田は、ROF-MAO結成からじき4年が経つという事実に「思ったより長くやってると思いました。でもまだまだやりたいこともあれば、続いていくこともあります」と述べ、「今回現地に来たかったけどこれなかったネットチケットの人、また来たいっていう現地の人もいると思うんですよ。また来たいよな! ライブ見たいよな!また次絶対やろうぜお前ら!」と会場と配信で視聴しているファンに語りかけた。
不破は今回の会場がKアリーナに決まった際、「デカすぎる。そんなにデカくていいのか?」と感じたという。しかし残念ながらチケットが入手できなかったファンが多数いるという事実に触れ、「僕的にはめちゃくちゃデカいところで(ライブを)やりたい欲があるわけではないけど、そういう声を聞くともうちょっとデカいところでやりたくなってきます。まだまだ駆け抜けていきたいと思っているので、応援のほどよろしくお願いします」と語った。
剣持は甲斐田の言う通り結成4年という活動期間を振り返り「決して短くない時間ですが、このおかげでメドレーを作れたり、全部歌えないからやりたい曲を選べる……なんていう贅沢なところまで来ました」と感慨をにじませる。「僕は神奈川県民なのでKアリーナができたときに『いいな! 行ってみたいな!』と思ってたら、初めて来たのは演者としてでした。こんな経験はなかなか積めません。まだ先の世界は見えないけど、楽しみながらやっていきたいと思います」と明るく述べる。
「(今の状況を)音楽をやる人の話にあてはめてみましょうか」と切り出した加賀美は「結成3年で大阪城ホール、その翌年にKアリーナという予定を組む、普段配信が主の人間のグループ……存在しません」と語り、剣持、不破、甲斐田を笑わせる。続けて「ライブのタイトルが『Limitless』になったとき、ちょっと強気だなと思ったんです。声を張って言うのに勇気がいるタイトルなんですけど、今この場に立って我々の限界を取り払ってくれたのは目の前の皆さんとコメントの皆さんでした。よろしければ引き続き、この奇跡を、限界の先を我々と過ごしていただければと思います」と呼びかけ、4人揃って“ラスト1曲”として「フルカウント」を歌い上げた。
ライブが終わり、観客が帰り支度を始めようとすると影アナウンスに加賀美が登場。事務的な連絡かと思いきや、ブレスレットライトの制御を取り払い好みの色に変えていいこと、そして正真正銘のラスト1曲を披露することが告げられ「DiVE !N」の演奏が始まる。最終盤に最大の盛り上がりを生み出した4人のパフォーマンスに、観客は色とりどりのライトと大歓声で応え、最後はROF-MAOと観客が揃ってジャンプをしてライブの幕を引いた。
ROF-MAO 2nd LIVE - Limitless Kアリーナ横浜(神奈川)セットリスト
1. New street, New world
2. 情熱的ボーイ
3. ガム
4. 一撃
5. 勝利の歌〜最強無敵ナンバーワン〜
6. 2ndライブSpecialメドレー(「Follow Your Heart」「ラックハック」「HANABI」「Do or Die」「Let's Get The Party Started!」「Challengers」「前進宣言」「ウィーアーポップスター」)
7. Refresh.exe
8. 感情BONDING
9. Bring it on
10. 布袋尊
11. AGATTA
12. Hands Up
13. 知っている手紙
14. 今日みたいに
アンコール
1. 古傷マーモット 甲斐田晴
2. 哲学ニンゲン 不破湊
3. I wanna! You wanna!
4. アイドル/YOASOBI(カバー) 加賀美ハヤト、不破湊、甲斐田晴
5. フルカウント
6. DiVE !N
イベントを終えたROF-MAOからコメントが到着
――ライブが終わった今の率直なご感想をお聞かせください。
加賀美ハヤト
ありがたいことに、にじさんじのイベントにけっこうな回数出演させていただいているんですが、本番が終わって着替えて楽屋で席につくこの時間が好きだなって思いました。
不破湊
確かに。スーパー余韻タイムだよね。
加賀美ハヤト
そうですね。ライブっていいなって思う時間の中の1つです。
剣持刀也
僕はなんだろう……。今日寝るときめっちゃ気持ちよさそうだなって思う。
加賀美・不破・甲斐田:あ~。
不破湊
俺は率直に言うと「眠たい」。それしか残ってないぐらい今日はやりきった! 最高のライブができたと思ってます!
甲斐田晴
僕は「ROF-MAOもっとやりてえな」って思いました。
加賀美ハヤト
甲斐田さん……!
不破湊
甲斐田……!
剣持刀也
素晴らしい。
――ライブで特に印象的だったシーンを教えてください。
甲斐田晴
僕はライトで客席がレインボーになったところ。あれはもう忘れられないよね。
剣持刀也
僕は“裏切り”。
加賀美ハヤト
(笑)。私は「今日みたいに」が終わってステージ袖に移動したときですね。皆さん思い思いのアンコールにすごく気持ちが乗っていて……。本当に会場全体に響いてましたよね。
不破湊
あれ本当にすごかった! 俺は甲斐田の「古傷マーモット」かな。椅子に座って観客みたいな視点で見られてよかったよ。
甲斐田晴
喜んでもらえてよかった(笑)。
――最後にライブを見てくれたファンの方へメッセージをお願いします。
甲斐田晴
最後は社長に締めてもらおうかな。
不破湊
そうだね。
加賀美ハヤト
では私から。事前にいろんなインタビューで話していた通り、今回のライブは内容としてはとても挑戦的でした。構成もそうですし、これまでやってなかった曲もたくさん歌って、自分たちも「今何曲目!?」って思うぐらい本当に雪崩みたいに終わるライブだったと思います。自分たちは幸せなライブをさせてもらったと思っているので、観てくださった皆さんもそうであればうれしいです。今回「ROF-MAOのライブのスタイルは無限にあるんだな」と思ったので、皆さんも逆にこれをベストだと思わず、次にライブをする機会があったらどうなるんだろう?と、我々の無限のスタイルを楽しんでほしいです。今後もよろしくお願いします!
剣持・不破・甲斐田 よろしくお願いします!
ANYCOLOR MAGAZINE カバーアート特集『ROF-MAO 2ndライブ』