11月2日の福岡公演から始まったツアーも、いよいよ最終日。オープニングムービーが上映されたあと、ペンライトの光で“緑一色”に染まる会場に、詰襟のレーベル衣装姿の緑仙が現れる。ツアーファイナルの幕開けに緑仙が選んだのは、11月13日にリリースされたばかりの最新ミニアルバム「ゴチソウサマノススメ」に収録された「終着駅から」。電車の車内をイメージした映像をバックに、緑仙は会場に集った観客に感謝を伝えるかのように「大切な貴方へ」と手を差し伸べる。続けて、同じく「ゴチソウサマノススメ」収録の「猫の手を貸すよ」を披露。人間と暮らす猫の視点から紡がれたこの曲を歌い終わり、緑仙は「猫のみんな、ありがとう」と笑顔を浮かべた。
そして「友達の歌を歌います!」と切り出した緑仙が歌い始めたのは、樋口楓のオリジナル楽曲「MARBLE」。ライバーとしてもソロアーティストとしても先輩である樋口への敬意を込め、「大好きな楓ちゃんの歌の力を借りて、仙台公演も走り切っていきます!」と宣言して歌い上げた。そしてそのまま、鼓膜に叩きつけるようなヘビーなビートが特徴の「独善食」へとつなげていった。
ここで本日初めてのМCパートへ。「今日のためにとっておいた自己紹介やってもいいでしょうか。新緑の『緑』に、ベガルタ仙台の『仙』と書いて緑仙です!」とおなじみの口上で挨拶し、会場は大歓声に包まれた。
緑仙は次の曲について「練習を含めて『いけたっけ?』と思うぐらい難しい曲。会場みんなで作り上げていきたいので、みんなを信じて歌いたいと思います」と会場に声援を求め、RADWIMPS「おしゃかしゃま」のカバーを投下する。曲全体がハイテンポであり、詰め込まれた歌詞の文字量も膨大なこの1曲。集中を切らすことなく歌い上げた緑仙を、観客は盛大な拍手でたたえた。
いったん舞台袖に引いた緑仙は拡声器を手に現れ、“うまくいかない日常”を曲に落とし込んだ「なんでですか?」を歌い始める。「どうせ何回言っても無駄ですわ」「期待した僕が悪いんですか?」と、諦念の空気が漂う曲の世界観で会場を包み込み、続けざまに披露した「Reject it now!」で“うまくいかない日常”のうさを一気に晴らすようにパワフルなパフォーマンスを見せた。
ポルカドットスティングレイ・雫とのコラボで生まれたキラーチューン「天誅」で、ネオン輝く夜の街をステージ上に表現してみせる緑仙。通常衣装に着替えたあと、ステージ上の椅子に腰かけ、20歳の誕生日を記念して2022年に発表された「エンダー」を歌い始める。ときに椅子の上で足を組むなど、リラックスした姿勢で伸びやかな声で響かせた。その後、「藍ヨリ青ク」「ジョークス」を歌い上げ、МC後からノンストップで7曲を立て続けに披露した緑仙。客席に向け「体力大丈夫ですか!? 僕は元気です!」と語りかけ、曲中にジャンプするなどツアーファイナルでも衰えないスタミナで観客を圧倒した。
再びのМCパートでは、「僕は歌で気持ちを伝えるってちらほら言ってますけど、『どうせお前たちいなくなるんだろ?』って思う、かわいくない僕もいて。こんなに長く活動してきて、それについてきてくれる人にすらこう思ってしまう自分が、かわいくて愛しくてめちゃめちゃ嫌い」と正直な思いを吐露する緑仙。しかし続けて、「でも(その気持ちも)歌にして、みんながサイリウム振ったり、涙してくれたり考えてくれたりするのがすごく好き。この曲も、長く一緒にいられるといなって気持ちを込めて歌います」と宣言し、“声”と“記憶”をキーワードにセンチメンタルな世界観を形作る「タイト」を歌い始める。
透明感のある心地よいソプラノを響かせた緑仙は「タイト」について「初めて作詞にチャレンジした曲です。みんなにとってはつらかったり呪いのように感じる歌かもしれないんですけど、僕はとても大好きな曲です。でもこれからは歌でみんなを幸せにしたり背中を押していきたいと思っているので、別の“明るい呪い”をかけていきたいなって思っています」とおだやかに語る。「じゃあ呪いの準備してきます」と舞台袖に引いて行った緑仙は、最新のステージ衣装にお色直しして登場。「しあわせクッキー」「友達代表宣言」でガラッと会場の空気を変え、陽だまりのようなあたたかい空気で観客を包み込んだ。
その後共通衣装に着替え、Rain Dropsの「魅惑の華」を歌い始めた緑仙。「この曲のサイリウムはみんなの好きな色で振ってください」と言う緑仙のお願いに応え、会場のペンライトはこれまでの緑一色から赤、白、ピンク、紫など色とりどりのカラーに染まった。ゆるやかなステップを踏みながら「ジガトラ」を披露し、プリンセス・プリンセスの名曲「М」のカバーへと続く。ライブ終盤に向けていっそう力強く声を響かせる緑仙に向け、観客はエールを送るようにペンライトを振り続けた。
ライブ本編最後の曲となった「リコネクト」では、緑仙が自らギターを担当。動画の撮影も可能となったことから、観客はかねてよりギターの練習を続けている緑仙を見守るようにスマートフォンを向けた。ポップなテクノビートと軽やかなギターサウンドが聴衆の気持ちを上げていく「リコネクト」。当初「不安だ……」と言いながらギターを構えた緑仙だったが、堂々とギターボーカルを担った。割れんばかりの拍手を受け、晴れやかな顔で緑仙がステージを去ると、すぐさまアンコールが巻き起こる。
客席からの熱いアンコールに応え、再びステージに現れた緑仙。アンコールステージの曲目は、ベガルタ仙台の応援ソング「WE ARE YOU」「Blowin’ Wind is blowin’」という、“仙台愛”たっぷりのラインナップとなった。緑と黄色のペンライトが会場を彩ると、緑仙は「めちゃくちゃきれい! ありがとう!」とはしゃぐ。このツアーでは「Blowin’ Wind is blowin’」でベガルタ仙台のフラッグを振りながら歌うことが恒例となったが、観客はフラッグに合わせて大きく手を振っていた。「みんなが思い残すことがないように、最後に僕と一緒に歌ってほしいです!」という緑仙のリクエストを受け、会場に盛大なシンガロングが発生した。
そして正真正銘の最後の1曲「イツライ」へ。緑仙はイントロ中に「“明るい呪い”で、思い出でたくさんになってますか? これからも一緒にいてくれますか? その気持ちを僕に届けて、お別れにしましょう! 思い残すことのないように騒ごう!」と高らかに呼びかける。曲中には拳を突き上げて観客を煽り、ジャンプを求める場面も。最後に緑仙は「いつでもインターネットで会える僕だけど、だからこそ僕はまたみんなとステージで、ライブハウスで会いたいです! みんなのことが大好きな緑仙でした。またね!」と声の限り叫び、観客と大きくジャンプをして「緑一色」ツアーの“終着駅”へとたどり着いた。
緑仙 2nd LIVE TOUR「緑一色」仙台PIT(宮城)セットリスト
1. 終着駅から
2. 猫の手を貸すよ
3. MARBLE(カバー)
4. 独善食
5. おしゃかしゃま(カバー)
6. なんでですか?
7. Reject it now!
8. 天誅
9. エンダー
10. 藍ヨリ青ク
11. ジョークス
12. タイト
13. しあわせクッキー
14. 友達代表宣言
15. Rain Drops:魅惑の華
16. ジガトラ
17. M(カバー)
18. リコネクト
アンコール
1. WE ARE YOU
2. Blowin’ Wind is blowin’
3. イツライ
緑仙 2nd LIVE TOUR「緑一色」
にじさんじ ↗