リアルヒーローショーを経て念願の音楽ライブが結実
――本日はイベントプランナーのTさんとイベントディレクターのYさんにお越しいただいております。おふたりは、MECHATU-A 1st LIVE “Over Drive!”を制作するうえでどのような業務を担当していらっしゃるんでしょうか。
イベントディレクター Y:僕は今回Kアリーナ横浜で開催される3公演(※1)すべてのイベントディレクターという立場なのですが、主な役割は、にじさんじのライブとして自信を持ってお客様にお届けできるクオリティにするためのディレクションです。Tさんたちプランナーの方々と併走しつつ、「にじさんじのライブらしくするためには、こうしたほうがいいと思う」といった提案をしています。あとは各公演の予算管理も僕の仕事ですね。
※1→Kアリーナ横浜では、10月10日にMECHATU-A 1st LIVE “Over Drive!”が行われるほか、10月11日に剣持刀也リアルソロライブ【虚空狂宴】、10月12日にKuzuha One-Man Live "Bloody Alexandrite"が開催される。
イベントプランナー T:文字通りイベントのプランニングがメイン業務です。今回はディレクターであるYさんにいろんなことを任せていただいており、ライブ中の演出を考えることのほか、ライバーさんたちや外部のクリエイターさんとのやり取りなど、ライブの中身に関することをなんでも担当しています。
――TさんがMECHATU-Aライブのプランナーとしてライバーさんたちや各所スタッフと内容を固め、YさんがKアリーナ横浜で行われる3公演の統括ディレクターとして監督する、というイメージですかね。
イベントディレクター Y:そうですね。ファンの皆さんに応援していただいているおかげで、にじさんじのイベント規模は年々大きくなり、それに伴ってイベントプランナーという肩書のメンバーも増えたんですよ。そうやって環境が変わっていく中であっても、「“にじさんじのイベント”として、どの公演もお客様にご満足いただけるようにする」というのが絶対に果たすべき我々の責務だと思っています。そのため、全体を俯瞰して見ながら管理する人間も必要になってきたんです。
各公演ごとにライバーさんのやりたいことも会場の規模も違いますが、すべてのライブが、ファンの皆さんはもちろんのこと、出演されるライバーさん、我々スタッフも含め公演に携わる全員にとって大切なイベントであるという点に変わりはありません。だから、どの公演も素敵な思い出にしていただけるような内容にするためにがんばっています。
――なるほど。ではYさんにはKアリーナ横浜で行われる3公演の統括の立場から、Tさんには“Over Drive!”の制作現場により近い目線から、いろいろなお話が伺えそうです。次に、今回のライブを開催することとなったきっかけをお教えいただけますか。
イベントプランナー T:まず自分の目線でお話しすると、以前からMECHATU-Aのライブ企画を社内で提案していたんですよ。にじさんじでは多くの魅力的な企画が常に動いており、その中でMECHATU-Aの皆さんにとって最もよいタイミングを検討していたんです。そしてKアリーナ横浜での開催が決定し、自分がプランニングを担当することになりました。
イベントディレクター Y:そもそもTさんは「MECHATU-A スペシャルヒーローショー in にじフェス2025」と「にじさんじグリーティングストリート」など、リアルヒーローが登場する企画の担当者でもあるんです。特に「MECHATU-A スペシャルヒーローショー」はMECHATU-Aの皆さんが「にじフェス」という場で初めて揃った企画なのですが、非常に好評でした。会場でのあの熱気も、“Over Drive!”開催につながる大きなピースの1つだったと思います。
リアルヒーロー企画に対するお客様からの反響以外にも、普段の配信活動はもちろん、2025年7月に配信した3Dライブも大きな話題になるなど、日々ファンの皆様から多くの声援をMECHATU-Aの皆さんにいただいている様子を目にする中で、初ライブとしてKアリーナ横浜のステージに立っていただくのはどうか、という流れが生まれたんです。ユニットにとって初めてのリアルライブをKアリーナ横浜のような大きな会場で実施することは、弊社としてはあまり前例のない取り組みではあります。ですが、ライバーさんたちがこれまで積み重ねてきた努力と、それを見守ってくださっているファンの方々のご期待にお応えしたいという思いで開催が決まった、という経緯でした。
――"Over Drive!”の開催が告知された配信では喜びのコメントが非常に多く寄せられ、ファンの皆さんもリアルライブを心待ちにされていたことを感じました。TさんはMECHATU-Aというユニットのどんな部分に魅力を感じて、ライブのご提案をされたんでしょうか?
イベントプランナー T:自分が最初に注目したのは「にじさんじのTOYBOX!」という番組に、MECHATU-Aの方々が出演されていた頃で、話も面白くて歌声も素晴らしいライバーさんばかりだったので「すごい方々がデビューしたんだなあ」と思ったんです。イベントの制作担当としてすごくライブ向きの方々だなと感じたことと、いずれ大きなステージで活躍する姿をファンの方にも見ていただきたい、という気持ちでライブの企画を考え始めた……という記憶です。
――ライバーさんたちのデビュー当時から企画の構想があったということは、TさんにとってMECHATU-Aの音楽ライブは念願だったわけですね。
イベントプランナー T:そうですね。気が付けば、ライブの企画を考え始めた頃から、けっこうな年月を経てきたんだなと感じます。いよいよライバーさんたちの練習も本格化し、公演の内容もかなり固まってきたので、ライバーさんたちがステージに上がっている姿がリアルに想像できる段階になっています。まだ本番まで2カ月(※2)あるのですが、すでに緊張していますね……(笑)。
※2→取材は2026年8月に実施した。
――長年温めてきた企画を実現させるために努力を続けてきたTさんの姿は、Yさんも目にしてきたと思われますが、同じチームメンバーとしてどんなお気持ちですか?
イベントディレクター Y:「ようやくここまでたどり着いたんだな」と思います。実はリアルヒーロー企画で使用するスーツを作るときなどに「どういうデザインにしようか」とTさんの相談に乗ったこともあったんです。その頃を思うと感慨深いですね。あとはしっかりと形にしてお客様にお届けする、ということに集中するのみです。事前の下準備はもちろん気合いを入れて進めていますが、照明や特殊効果などもしっかり考えてお見せすることでライブとして初めて完成すると思っているので、そこは僕もイベントディレクターとしてしっかりと仕上げをさせていただくつもりでいます。
「ヒーロー」を見つめて組み上がったセットリスト
――ライブ開催に向けたおふたりの思いを伺ったところで、いよいよライブの注目ポイントなどをお聞きしていきたいと思います。その前に、ライブのタイトルとなっている"Over Drive!”にはどんな意味が込められているのか教えていただけますでしょうか。
イベントプランナー T:今回はライブと並行してMECHATU-Aのミニアルバムの企画も動いていたので、アルバム制作チームと「OriensのOとDyticaのDをタイトルに使いたいですね」と話し合い、アルバムとライブのタイトルはリンクさせようと考えたんです。ライブのタイトルに使用した「Over drive」は本来「最高速度」とか「フル回転」という意味の言葉なんですが、「Maxの状態」を表現できる言葉でもあるなと考えて採用しました。アルバムタイトルの「On-Deck!」には「出動準備」という意味も込められているので、ヒーローとして出動する準備を整えて、ステージの上でギアをフルに入れてMaxの状態の自分を見せる、というイメージですね。
ライブの根底となるコンセプトとしては、“ヒーローライブ”を掲げました。にじさんじライバーだけど、それ以前に平和を守るヒーローである、という皆さんの特徴に着目した公演イメージをライバーさんたちにご共有したんです。皆さんがそのコンセプトをかなり前向きに受け止めてくださり、そのうえで「音楽ライブであることも大事にしながら、自分たちだからこそできるライブにしたい」とお話しされていたことが印象に残っていますね。皆さんのその気持ちは、ライブの選曲や演出の随所に表れていると思います。
――なるほど。演出や選曲の方向性について、もう少し具体的にお聞きしてもよろしいでしょうか?
イベントプランナー T:先ほど申し上げた「にじさんじライバーであると同時に、ヒーローである」という軸を強く感じられるものになると思っています。ステージデザインや演出は当日のお楽しみということにさせていただきたいのですが、このコンセプトが十分に反映されたものに仕上がる予定です。選曲については、それぞれが抱いている「理想のヒーロー像」や「ヒーローから皆さんへ届けたいもの」など、ライバーさんごとにさまざまなバックボーンを読み取れる要素が込められているな、と感じますね。一言で“ヒーロー”と言っても、8名8色のいろんなヒーロー像が見えるセットリストになっているので、そこはぜひ注目してください!
ですが、担当者目線で見ていても「息つく間もないセットリストだな」と……(笑)。ファンの皆さんは、ぜひ我々と一緒にゼーゼー言いながらライバーさんたちを応援していただき、音楽を楽しんでいただければうれしいですね。
――多くのライブだと、セットリストはテンポの激しい曲とゆったりした曲を取り交ぜながら組むイメージがあるのですが、全部激しい曲なので「息つく間もない」ということですか……?
イベントプランナー T:いえ、曲調の緩急はちゃんとついているのですが、テンションは右肩上がりだと思っています。今回のライブには、ひと息付くゾーンなんてありません。覚悟をしておいていただけますと幸いです。
イベントディレクター Y:確かにMECHATU-Aのライブもそうですが、近頃のにじさんじのライブは内容がだんだん盛りだくさんになってきていますよね。ライブの1つひとつがどれも貴重な機会ですから、ライバーさんや我々スタッフがお見せしたいものを、約2時間ぐらいの公演の中に全部詰め込むことになります。それは確かにボリューミーになるよな……と。
でもだからこそ、ライバーさんがやりたいこと・ファンの方々にお見せしたい姿を盛り込みつつも、プランナーそれぞれが考えるライブの楽しみ方や「自分たちが提案する最高のライブはこれだ!」という思惑がにじみ出てきているな、と。ディレクターの視点では、ここ数年のライブはそこに注目するのも面白いなと思っていますね。
――これはKアリーナ公演全体を統括するYさんにお聞きしたいのですが、今回の会場は客席とステージが比較的近く、スタンド席の勾配が高め、とユニークな作りですよね。2025年にも「ROF-MAO 2nd LIVE - Limitless」などで使用した会場ですが、Kアリーナ横浜だからこそトライできる演出のようなものは、今回の3公演で何かあるんでしょうか?
イベントディレクター Y:具体的にどのライブの何が、という部分は各公演当日のお楽しみにさせていただきたいのですが、Kアリーナ横浜という大きな会場だからこそやってみたい、と思って取り入れた演出はあります。ROF-MAO 2nd LIVE - Limitlessやにじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin' in the Rainbow! 横浜公演の際に得た知見や、「こうしたらいいかも」というアイデアを、今回の公演ではさまざまな形で反映しているんです。各公演に出演いただくライバーさんたちともこの会場でライブをするにあたってどんな演出をしたいか、というご相談を重ねましたから、「このライブでしか見られない景色」もたくさんありますし、昨年のKアリーナ横浜公演とはひと味違うものをお届けできると思っています。
後にも先にも、MECHATU-Aにしかできないライブを目指す
――ファンの皆さんも当日を心待ちになさっていることと思いますが、おふたりから本番の見どころや、「こんな準備をしておくともっと楽しめそう!」というアドバイスをぜひお聞きしたいです。
イベントプランナー T:自分からお伝えしたい見どころは、ライバーさんが演出を担当した曲ですね。これはライブの開催告知を行った配信でも出た話なのですが、Oriensのユニット曲「Promised Future」とDyticaのユニット曲「月下美人」は、ライバーさんたちが演出を考案してくださっているので、そこを味わっていただけたらうれしいな、と。ライバーさんたちが考えに考えた演出を心ゆくまで楽しんでください。
当日までのアドバイスとしては、アルバムの曲をたくさん聴いておいていただけたら、より楽しんでいただけると思います。なぜなら、皆さんにも声を出していただきたい場面があるので……。 例えば「これはコール&レスポンスがあるかもな」と思う曲を予想して、練習をしてみてくださるとうれしいです。ライバーの皆さんも「これはライブで一緒に声を出せたら楽しそう!」とお話しされている曲があるので、ファンの皆さんもぜひ当日に向けて喉の調子を整えつつ、曲をたくさん聴きながら本番まで少々お待ちください。あと、ある曲は少しだけ特別な演出を取り入れており、ライバーさんたちも練習をがんばってくださっているので、期待してお待ちください!
イベントディレクター Y:僕としては、MECHATU-Aとして8名全員がステージに揃っているからこそお見せできる光景、が見どころだと思っています。直近の公演だとUncharted Spheresやにじさんじ 8th Anniversary LIVE 「CONCERTO」Day2にもMECHATU-Aの一部メンバーの方にご出演いただきましたが、そのときとはまた違った印象になりそうです。全員が揃っているからこそお届けできるものがたくさんあるはずなので、そこはぜひご期待ください!
イベントディレクターの立場からお話しすると、10月に行われる3公演とも「Kアリーナ横浜という会場にふさわしいステージ、演出にしよう!」と会社を挙げてすごくがんばっている最中なんです。ステージ上で繰り広げられる演出にも注目していただけると、我々としてもとてもありがたいです。ライバーさんのパフォーマンスに対するご感想もいつもうれしく読ませていただいているのですが、時折「この演出がすごかった」「今回のステージのここがよかった!」というお声もあり、とってもうれしくなりますね。
――確かに、ファンの方々からいただくご感想の中には演出に触れてくださっているのも目にしますね。終演後のご感想は、制作に携わった皆さんもよくチェックされているんですか?
イベントディレクター Y:そうですね。どのライブも本当にたくさんのスタッフたちがそれはそれは多くの時間をかけて「ああでもない、こうでもない」と議論を重ねて本番を迎え、新たなステージ・演出がお披露目され、そしてまた次のライブ制作へ……ということを続けているんです。そのため「ここがよかった、あの演出はこうだった」というご感想をいただけると、ダイレクトに今後のライブ演出の改良につながることもあります。
もちろんポジティブではない意見も含めて受け止めて、「今度はこうしたらもっと喜んでいただけるかな」と社内スタッフ一同で話し合いを続けています。月並みな表現になるかもしれませんが、「お客様の声を大事にしたい」という思いはチーム全体として強いので、皆様のお声が今後の公演に与える影響は決して小さくありません。ですからライブをご覧になって感じたことは、ぜひお聞かせいただけるとありがたいです。
――今後のライブ制作にもつながる、ということなので、いろんな視点からのご意見が集まるのではと思います。先ほどTさんが「練習が本格化してきた」とおっしゃっていましたが、現場はどのような雰囲気ですか?
イベントプランナー T:やはり皆さん同時期デビューということもあり、本当に仲がいいなという印象ですね。お互いに遠慮し合って意見が出せない……という場面もあまり見たことがないです。例えば「ここの演出はどうしようか?」と話し合うときに、「ここはこうすればいいんじゃないか?」「ここは○○を目立たせるためにもっとこうしよう」という議論が活発で、皆さんとても楽しそうなんですよ。だから、なんでもフラットに話し合える関係性なんだろうな、と感じました。
イベントディレクター Y:ライブを作るうえで、腹を割って話せる関係ってとても重要ですよね。さまざまな世代のライバーさんにご出演いただくライブの練習や打ち合わせでは、まず皆さんの関係を作るところから始まることも多いので、最初からなんでも言い合える関係で臨めるのは素晴らしいことだと思います。僕も"Over Drive!”の現場には参加していますが、いい意味でのユルさを感じました。
イベントプランナー T:ユニットごとの練習はそれぞれに特徴が出ますね。Dyticaの皆さんはそれぞれマイペースに確認しあいながら、休憩したり話したりされてますし、Oriensの皆さんは時々集まって楽しそうに話していらっしゃいます。皆さんとてもリラックスしつつも練習をがんばっていらっしゃるので、当日も素晴らしいパフォーマンスを披露していただけるはずです。
――これまでのお話から、当日はファンの皆さんのご期待に応えられるものが見られると感じました。それでは最後に、ライブ本番への意気込みをお聞かせください。
イベントディレクター Y:MECHATU-Aのファンの皆さんが、Kアリーナ横浜という大きな会場に集まる機会はなかなかありませんよね。当日はライバーさんたちがこれだけ多くの方に愛されているんだ、と実感できる1日になるはずですし、MECHATU-Aの皆さんもファンの皆様にお会いできることを楽しみにされていると思います。ライバーさんそれぞれが抱くヒーロー像をいっぱいに詰め込んだライブを通じて、MECHATU-Aの皆さんのことをもっと好きになっていただけるとうれしいです。我々も本番に向けて最後の詰めを全力で行っておりますので、当日はぜひ楽しんでください!
イベントプランナー T:Yさんが全部言ってくれましたね……(笑)。
イベントディレクター Y:(笑)
イベントプランナー T:今回はコンセプトも“ヒーローライブ”ですから、後にも先にも、MECHATU-Aの皆さんにしか作り出せない公演になると予想しています。ライブを楽しんでくださる皆さんにとって、人生の中でも大切な思い出の1つとなるような公演をお届けできたら、自分としては本当にうれしいです。最良の形になるようにがんばって準備を進めておりますので、ご参加いただく皆さんもたくさん楽しむ準備をしてくださると幸いです。