甲斐田と長尾のある姿勢が弦月に影響を与えた
――せっかくの5周年という節目の機会なので、皆さんそれぞれ、メンバーに「このタイミングだからこそ言いたい」というメッセージをいただきたいなと思います。 甲斐田さん、いかがでしょうか。
甲斐田晴(以下、甲斐田):弦月にはとにかく楽しくやってほしいなっていうのがやっぱり一番ですよね。たぶん「うまくいかねえ!」って感じる瞬間もあると思うんですけど、失敗って必ずしもマイナスじゃないよ、と言いたい。弦月って失敗したらめっちゃ気にするじゃん。
弦月藤士郎(以下、弦月):ひとことだけくれるんだと思ったらけっこう語りかけてくる(笑)。
甲斐田:ミスを本当に悪いものだと捉えてるところがあると思うんだけど、その完璧主義なところが最近はすごくマイルドになってきてる気がしてて。だから失敗を楽しみながら、やりたいと思ったことをいっぱいやってる弦月が見たいなって思ってます。
長尾に対してはそうですね、画面ですかね。配信画面のレイアウトの……。そういうビジュアル面の基礎的な点で、そろそろ学んでもいいんじゃないかって思うところがすごくありますよね!
長尾景(以下、長尾):そんな!(笑)。俺への“エモ”は!? それ表でも言ってるだろ! わざわざインタビューで言う必要はあるのか!
【切り抜き】画面の構成が終わってないか?【長尾景/にじさんじ】
甲斐田:でも僕にない部分を非常に持ってる人だなと思う。例えばダンスとか。僕は体を使うことがからっきしなので、その方面で何か新しいところをもっと見てみたいと思っていますし、「次のライブがもしあれば一体何をしてくれるんだろうな」と期待してます。さらに最近は音楽に関する造詣を深めようという動きも感じていて、リズム感やピッチへの意識のようなものがどんどん磨かれているので、もっと進化した歌を聴かせてくれそうだなって。
長尾:ベースもやってるしね。
甲斐田:感覚としては例えばゲームとかでモンスターが「次はどんな進化をするんだろうな」って楽しみにしてるのに近いかも。今後何に力を入れたいと思うかで、その進化の分岐も変わると思うんだよね。「長尾は次に何をやってみたいって思うんだろう」っていうわくわくみたいなものはずっとあるから、何か面白いことをしてください。期待していまーす!
長尾:くぅー!(笑)
――では長尾さんはどうでしょう。
長尾:難しいな……。 甲斐田と似た感じになるけど、弦月には「やりたいことをやろうぜ」っていつも思ってる。「こういうことをしたいけど、自分1人じゃできない」っていうことがあったら、周りに頼る力を身につけたら多分最強になるだろうなって。弦月を助けてくれる人は絶対たくさんいるはず。それは弦月がこの5年間、周りに対していろんなものを与えてきたから。だから、人に頼ることを悪いことだと思い過ぎ!
弦月:(笑)
長尾:だから「これやりたい!」っていう思いはもちろん表に出してほしいし、実際何かあると思うから、自分の「やりたい」を実現するために誰かを頼るっていうことを躊躇しないようになればいいと思う。頼ることは悪ではないし、弦月が5年間でやってきたことを思えばみんな絶対助けてくれるよ。
甲斐田:そうだね。
長尾:甲斐田にはね……。うーん、まずは休むことだよね。
甲斐田:休んでますけどね、最近は(笑)。
長尾:そう、休めてるよね。それをちょっと継続してほしいですね。あとは何だろうな……。別に改善してほしいことは特になくて、うーん。
甲斐田:じゃあ探すなよ(笑)。
長尾:いろいろ神経質なところは、ね? 別に直してくれてもいいと思いますけどね!?
甲斐田:(笑)
長尾:でもやっぱり甲斐田って推進力がすごい。俺とは違うベクトルの景色をたくさん見せてくれるし、それを共有してくれようとする意識がすごくあるから、例えばライブで言ったら煽りの仕方とか、「こうしたらいいと思うよ」って教えてくれるじゃん。でもたまにさ、甲斐田って優しいからそうやって言うのを躊躇することがあるよね。「ちょっと偉そうに聞こえるかもしれないけど」って。いらんいらんいらん! 俺は欲しいよ、そういう意見が。君から学べることはたくさんあるから、そんな遠慮とかいらんからなんでも言ってくれって思ってる。俺はなんでも受け入れるぞ。
甲斐田:ありがとうございます(笑)
長尾: だから俺もいろんな景色を見せられるように、これからもがんばっていくし甲斐田もいろんな景色を俺に見せてほしいなって思ってます。
――熱いコメントでしたね……! それでは、お次に弦月さん、お願いします。
弦月:……この歳になっても僕のことを叱ってくれるのって、2人しかいないんだよね。
甲斐田・長尾:(爆笑)
弦月:それこそ長尾が「甲斐田はいろんなものが見えてるからこそ、たくさん意見を言ってくれる」って言ってましたけど、僕も同感で。 例えば何か「こういうのやったらいいんじゃないかな」って提案したときに、「ここはいいね、でもここはこうかもね」というふうに懸念点や改善点をちゃんと挙げてくれるんですよ。だからすごくありがたいなと感じています。よかったものに対して、どういう点がよかったって言葉にすることはすごく難しいことだと思うんですが、甲斐田も長尾もそれをちゃんとやってくれるんですよ。2人が「〇〇よかった」とか「ROF-MAOのあの企画めっちゃよかったね」みたいな会話をしている様子をちょいちょい目にしますね。
逆に「あれはよくないよ」ときちんと諭してくれることもあります。悪いことがあったときにちゃんと「悪い」って言ってくれる人って、なかなかいないと思うんですけど、2人がしっかり伝えてくれるから、僕はちゃんとした人間になれてるのかなと思ってます。本当にちゃんとできているのかはまだわかんないですけど! 昔に比べたらだいぶしっかりできるようになってきたのは、2人のおかげなのかなと。
――2人からの正直なフィードバックが弦月さんの力になっているんですね。
弦月:はい。あと、話は少し変わるんですけど、甲斐田って「すげえ!」って思ったときにめっちゃ顔に出るんですよ。
甲斐田:(笑)
弦月:笑うんですよ、この人。ニコー!って。それこそ『三華の樂』で長尾が客席を煽りまくって会場全体を巻き込んでいく様子を見たときに、ステージ袖で甲斐田と目が合って。ニコー!って笑いながら「あいつやってるぞ」ってすごくうれしそうな顔したんですよ。だから僕にも何かできることがあるんだったら、あの顔をもっと見られるようになりたいなって思いました。だからこれからもね、ちゃんといろんなことを教えてね。
甲斐田:褒めてあげるよ、もうたくさん褒めてあげる!
長尾:(笑)
弦月:最終的には注意されることを極力なくして、いいところだけを見せられたらなって思います。あと僕、甲斐田にはマクロの視点で相談ができて、長尾はミクロな相談ができると思ってて。全体を見て意見を欲しいときは甲斐田で、具体的に「こういうことしたいと思っているけど、この部分はどう思う」って聞くのは長尾の方がいいなと思っているんです。
――おふたりとも物事を見る視点が違うので、相談したいことの規模感によってどちらかが得意な方に相談ができる、ということでしょうか。
弦月:そうですそうです。2人とももちろんちゃんとした回答をくれるんですけど、それぞれ見方が違うからこそ、いろんな視点で相談できるのはいつもありがたいなって思ってます。それこそ2人が褒めてくれなきゃ僕はここまで自分の作品がいいものだって思えなかったかもしれない。もちろんファンの皆さんやスタッフさんもたくさん褒めてくださってすごくうれしいんですが、近い距離にいる人間の言葉って自分の中で問題を解決するうえで一番大事だと思うんですよ。
さっきも言った通り2人が「よかったよ」って言ってくれることは、僕に対してすごく良い影響を与えてくれるんです。長尾が「こういうところがいいから、もっとやりなよ」って言ってくれるし、甲斐田が「ここをこうした方がもっとよくなる」って言ってくれるから、2人のおかげで自己肯定感が上がったと思っています。
VΔLZの“始まりの1曲”がついにリリース、制作の裏側を聞いた
――皆さんはデビュー5周年記念ということでデビュー時に発表された「浮世の演舞」を、先日「浮世の演舞 [Re:vision]」としてアップデートして発表しました。これまで配信リリースされていなかった楽曲ですが、このタイミングで改めてリリースすると決めた理由をお教えいただけますか?
弦月:やっぱり3人で作った初めての曲だったけど、まだリリースできていないと気になっていた部分がありましたね。ファンの皆さんからもライブを重ねるごとに「ちゃんと聴きたい」「リリースしてくれたら」と、ずっと言ってもらっていたので。3人の曲なので、こうしてきちんと発表することはVΔLZとして必要不可欠なものかなと思ったんです。
【オリジナル曲】浮世の演舞 -Full ver.-/VΔLZ【甲斐田晴/弦月藤士郎/長尾景/にじさんじ】
甲斐田:当時の僕らがリリースするということをまったく考えていなかったというか。もし、5年活動してきた今の僕らが当時に戻って「浮世の演舞」を発表するということになったら、多分スタッフさんにリリースするところまでやるにはどうしたらいいか相談すると思うんですよ。「オリ曲をみんなに聞いてもらいたい」という思いはあったけど、やっぱり新人だったので細部まで想像していなかったんですよね。だから、すごく大切な曲にも関わらず、リリースのタイミングっていうのを作れてなかったのが心残りだったんです。
ライブでは毎回セットリストに入れているし、VΔLZとして重要な場面においては必ず歌う曲で、応援してくださる方々にとっても間違いなく大事な曲になっていると思うので、しっかりお届けしたいという気持ちから今回リリースを決めました。それで、リリースすることが決まった後、「じゃあどうやって発表するか」という話があったんですけど、僕も長尾もこの5年でアップデートされているし、弦月が技術力も上がってさらに自分の作品に対する愛着やプロ意識みたいなものが芽生えた状態でブラッシュアップをしたら、もう一段階上の「浮世の演舞」になるんじゃないかという話になったんです。
5年前はセルフディレクションで自宅で録ったものだったんですよね。 だから音質面ももちろんそうなんですけど、まだ曲に対する理解みたいなものが進んでない段階で収録した曲だったんです。そこから5年が経って変わってくるものもあるだろうということで、今回は僕らがお互いにディレクションしあって録らせていただきました。そうやって完成したこの曲を発表するのは5周年の節目にすごくふさわしいことだなと思ったんです。なので、「浮世の演舞 [Re:vision]」として、よりブラッシュアップされたという意味を込めたいな、と。
――5年前に発表された「浮世の演舞」よりもアップデートされたということで、この5年間の皆さんの成長も感じられる内容になっているのではと思いますので、ファンの皆さんも違った発見があるのではと思います。「浮世の演舞[Re:vision]」を、聴いていただくうえで注目してほしいポイントはどこでしょうか?
長尾: 聴いてもらえたら一発で違いがわかると思うんですけど、2番のつなぎの部分をちょっと遊んでみています。
甲斐田:僕のパートにフェイクを入れたり、弦月のところはウィスパーを入れたり。長尾のパートは張り上げるような声の出し方をしたよね。
長尾:そうね。ああいう遊びとかって、それこそ当時新人として曲を作っていた頃には出てこないアイディアじゃないかと思うんです。ライブはアドリブとかそのときのテンションとかで変わってくるところもあるけど、そういうライブとかの経験を積んだうえで出てきたアレンジのアイディアもあると思うので。そこは俺たちが5年間やってきた積み重ねが出ているポイントなんじゃないかなって思います。
――なるほど。歌を通して、皆さんのアップデートも感じられる内容になっているということですね。5年前の「浮世の演舞」は弦月さんが作曲を担当されていますが、今回のアレンジも引き続き担当されたんでしょうか。
弦月:はい。それこそ今回のオケ音源を作る段階から、1番は最初に出た音源からちょっとブラッシュアップするぐらいで考えていたんですが、2番は絶対に何か遊びを入れたいなと思っていたんです。みんなもたぶん遊びを入れてくれるだろうと思ってその前提でかなりアレンジを入れていたんですけど、2人も同じことを考えてたみたいです。オケを作る段階からかなりスムーズに進んだので、やっぱり「やりたいことが出てくるっていいな」ってすごく思いましたね。
周年ライブ直前の心境は?活動6年目にかける意気込みも
――「浮世の演舞 [Re:vision]」は4月2日に行われる5周年記念3Dライブでもセットリストに入っていますから、ファンの皆さんの反応が楽しみですね(※)。当日のセットリストを見るとソロあり、ユニット曲もありとバラエティに富んでいますが、選曲の方向性がどんなものだったのか伺えますか?
※本インタビューは5周年記念3Dライブ開催日の前に実施した。
甲斐田:ベースを組んだのが僕だったと思うんですけど、まず1曲目を「Beyond the Frame」にしたいね、って話してて。「Beyond the Frame」はリリースが『三華の樂』のあとだったから、ライブで披露できなかったんですよ。この曲はライブでやりたかったという願望がすごく強くて、実際ものすごくライブ映えする曲なので、これをトップで始めて生で聴いてもらいたいと話した気がします。
長尾:そうね。
【MV】#VΔLZ - Beyond the Frame
甲斐田:あと我々はデビューが4月なので、新学期とか生活環境がガラッと変わる人も多くいるだろうということで、そういう方々への「がんばれよ!」というメッセージを込めて、「青春応歌」はラストに持ってきたい。そうなると、必然的にその1曲前が「浮世の演舞 [Re:vision]」になるよね、というように逆説的な組み方をしました。それで、それぞれのソロ曲は真ん中に固めようというように。
――ソロパートは甲斐田さんがギター、弦月さんがキーボード、そして長尾さんがベースで演奏も担当されるとのことですが、選曲としてはファンの皆さんに今一番聴いてほしい曲、という意識で選ばれたんですか?
甲斐田:長尾がギリギリ演奏できるラインがこの3曲でした。
長尾:その3曲が今の俺には限界でした。
――そうだったんですね。長尾さん、現在も練習を重ねられていると思いますが、出来栄えはいかがですか?
長尾:けっこういい感じにはできてると思いますけど……。ねえお前ら、ムズいー……この曲。
甲斐田:いかんせん「mermaid」も「パラレルノー細胞」も早いからね。
長尾:そうなのよ。
甲斐田:でもまあ、レッスン通っていただいてますからね!
長尾:本番どうなってるんだろう……成功しててくれ俺! 基礎はできているものの、前回演奏したときと比べてボリュームが全然違うのでけっこう苦労はしているんですけど、やっぱり弾けたときの気持ちよさがヤバいです。
【#ながおさんじゅっさい】誕生日までにベースを弾けるようになって同期とセッションする長尾景【長尾景/にじさんじ】
甲斐田:「面白いことは全部やりたい!」がVΔLZですし、 長尾が今回ベースをやりたいって言ってくれたので、「じゃあやろうぜ!」ということになりました。
弦月:うん。みんなでやりたいね、って。
長尾:実際かなり楽しくやらせてもらってます。やっぱり挑戦することが大好きだから、新しいことを始めるのが楽しいので。
甲斐田:まさか本番で失敗しないと思うんで大丈夫だと思います!
長尾:(笑)。任せてくださいよ!
――本番を楽しみにしております! では最後に、これから始まる活動6年目の意気込みやファンの皆さんへのメッセージをお願いいたします。
弦月:6年目に入るということで、小学1年生が6年生になるくらいには成長した自分をもっと見せていけたらいいなと思っているので、今後もたくさん応援していただけたらなって思います。これまでの5年間で成長した自分を今年はさらにたくさん見せていけたらなと思うので乞うご期待でございます。よろしくお願いします。
長尾:まずは5年間もついてきてくれてありがとうございます。 5年もやったら、やりたいことが尽きるんじゃないかと思ってた頃もあったんですけど、全然尽きないですね。本当に毎年毎年いろんなところから新たな刺激をいただいて、個人としてもVΔLZとしても今後いろんなことをやっていくと思うので、ぜひ我々の活躍に期待しててください。これからも楽しいことをやっていこうねー!
甲斐田:僕自身は初志貫徹というか、今後何かが大きく変わることはないと思うんですけれども、応援してくれているファンの皆さんのおかげで、僕たちができることが本当に増えてきたなと思っています。さっき長尾が「ちゃんと休むようになった」と言っていたんですが、たぶん自分の中で「休んでいるとみんなに忘れられてしまうかもしれない」と恐れる意識が多分あったんじゃないかなと。でも皆さんと5年積み上げてきたもので、皆さんは僕がちょっと歩幅をゆるめたぐらいでは離れてかない人たちなんだという信頼というか、自信につながりました。僕が簡単に投げ出せないくらいのファンからの応援の熱量を日々感じているので、今後も信頼し合って一緒に一歩一歩進んでいけたらいいかなと思っています。6年目もがんばってまいりましょう! よろしくお願いします。
【#VΔLZ 5周年】5th Anniversary 3DLIVE 【弦月藤士郎/長尾景/甲斐田晴/にじさんじ】