音楽活動をユニットの軸に、デビュー当初のVΔLZの目標
――弦月さん、長尾さん、甲斐田さんは2020年に同期ユニット・VΔLZとしてデビューされ、今年ライバー活動5周年を迎えました。デビュー当初はいろんな思いがあったかと思いますが、「こういうライバーになりたい」「にじさんじでこういうことをしてみたい」などその頃考えていたことは覚えていらっしゃいますか?
甲斐田晴(以下、甲斐田):VΔLZの3人は、同期間の共通項みたいなものが比較的多いんです。だからVΔLZというユニット単位で活動することも多くなるだろうな、という意識は始めからありました。加えて3人とも、歌や楽器が得意で“音楽が好き”という共通点があったので、音楽的な活動にチャレンジしていきたい、という気持ちが根本にあった気がしますね。
長尾景(以下、長尾):そうだね。「ライブやりたいね」っていうのはけっこう最初から言ってたよね。
甲斐田:だからVΔLZとしての将来像は音楽をやるユニットにできたらいいよねっていうところが始めにありまして。生歌の配信をわりと頻繁にやっていたり、時々セッション配信をしたりしていて、そういうところに「チャレンジしていきたい」っていう気持ちが強く出てたのかなと思います。
2020年4月のVΔLZデビュー時。
――VΔLZとしては実際にライブも何度か開催されていて、当初思い描いていたユニットとしての目標は達成された部分もあるのかなと思いました。では、いちライバーとしての目標ややってみたいことは何かありましたか?
長尾:俺も音楽活動をしつつ、にじさんじって面白いライバーさんがたくさんいるのでみんなといろいろな企画にチャレンジしたいなと思っていました。その点はこの5年でかなり達成されてきたと思いますけど、まだまだやりたいことはたくさんあるので、これからもがんばっていきたいなって思っているところです。
――長尾さんは実際に「スプラトゥーン」の大会(「にじスプラDREAM MATCH」「塗りまくれ!にじさんじイカ祭り2024」)を主催されていましたしね。
長尾:そうですね、俺は一番最初の配信で「スプラトゥーン2」をやったんですけど、その頃から「にじさんじ全体を巻き込むスプラの企画をやりたい」と言っていたので。だからそうやって大会として開催できたことは俺個人の中でもすごく大きい出来事になっています。
【#にじイカ祭り2024】説明&抽選会【長尾景/笹木咲/にじさんじ】
――「塗りまくれ!にじさんじイカ祭り2024」にはたくさんのライバーさんが参加されていて、練習期間も含め皆さん楽しんでいらっしゃったと思います。では弦月さんはいかがですか?
弦月藤士郎(以下、弦月):デビューした頃はにじさんじには曲を作る活動をメインにしている人があんまりいなかったかなと思っていて。だから作曲活動という面から、にじさんじ全体を盛り上げていけたらなって思ってました。
――確かに弦月さんは、ライバーさんたちへの楽曲提供をかなり精力的にされていますよね。
弦月:よくお話する方だと、その場のノリで「作りますよ」ってお受けすることが多かったです。お仕事として依頼いただくことももちろんありましたけど。自分としてはこういうことがすごくやりたかったのでうれしかったですね。またみんなに貢献していきたいなって思ってます。
――楽しみにしております! 甲斐田さんには先ほど、VΔLZ全体のお話をしていただきましたが、個人としてはどうですか?
甲斐田:僕はライバーデビューする前、才能のある人間が周りにたくさんいる環境にいたので、誰よりも抜きん出て一番になれるって思えるものがないと思っていたんです。自分は何かで一番を取れるはずっていう、漠然とした自信みたいなものが砕かれる瞬間が何度もあって。だから何かの分野で10の力を発揮できる人が1番になるのだとしたら、僕は5から8ぐらいの能力をいろんな分野で出せる人間になりたいという思いが、デビュー前からありました。
そもそもVTuberの世界にはゲームも上手ければ歌もトークも上手い、みたいな方が無限にいらっしゃるなと当時から感じていたので、僕もいろんなことをできるようになりたいと強く思っていたんです。ゲームや雑談配信もやりたいし、そしてやっぱり歌は大好きだったので音楽も続けていきたい。でも自分はいわゆる爆発的に“バズる”という状態を引き起こせる人間ではないと思っていたので、自分のことを好きになってくれるリスナーさんがいろんな動線から増えるようにできることはがむしゃらに全部やろう、と最初の1年は考えていました。
今後を見据えて腹を割って……「ブリキの魂」を生んだVΔLZの転換期
――デビューから5年の月日を重ねてきた皆さんですが、これまでのにじさんじライバーとしての生活の中で、記憶に残ってる場面はなんでしょうか。
長尾:VΔLZ全体の話だと、ライブができたことはもちろんうれしかったけど、俺はあれが一番かもしれない。弦月の3Dお披露目でさ、みんなで横に並ぶことができたのはかなりうれしい場面だったなって。
甲斐田:それは間違いないね。
長尾:初めてだったからさ。俺たちが3Dで並んでる場面をファンのみんなに見てもらうっていうのは。
甲斐田:確かに1つの達成感があったかもしれない。3Dになるってことがまず、デビューしたときの目標として大きな柱になっていたから、1つ上のステップを踏めたっていう感覚があったね。
弦月:確かに。
長尾:それもあるし、3Dお披露目ってやっぱり今後リアルライブをやるうえでのスタートラインじゃん。だから、俺たちはあの3Dお披露目でまた1歩進んだなって感覚があったね。
弦月:できることが1個増えたから、そこからもっと幅を広げていけるな、みたいなね?
甲斐田:なんだか3人の共通目標を達成した瞬間だった気がするな。
【#弦月藤士郎3D】桜魔の国よりお披露目しますか。【弦月藤士郎/にじさんじ】
弦月:僕は「一唱入魂」の舞台に3人で立てたことはもちろんうれしかったんだけど、一番最初にライブ(VΔLZ 1st LIVE「一唱入魂」)やりませんかってお話をもらったときが一番うれしかったかも。3人で一緒にライブができますよって言われたときに泣いちゃった。すごくうれしくて、なんか「僕も、もうちょっとがんばらなきゃな」って思って。
――その「がんばらなきゃ」というのは、ライブの練習や当日までの盛り上がりを作っていこう、ということですか?
弦月:自分の中でこれまでよりもさらにアクセルを踏まないと、というか、自分ができることを精いっぱいやらなきゃいけないなって思いましたね。「3人でライブをしませんか」ってお話をいただいたこと自体がめちゃくちゃうれしくて。「(ライブの)お話もらった!ね!」みたいな、あのときの高揚感をすごく覚えてますね。
VΔLZ 1st LIVE『一唱入魂』OP Movie
甲斐田:当時の弦月が「2人(長尾と甲斐田)は活動をすごくがんばってるけど、自分は目標を達成できてないんだ」みたいなことをポロッて言ってた気がしてて。
弦月:うん。
甲斐田:だから多分、VΔLZ全員でがんばりたいことももちろんあるけど、弦月個人が掲げている目標を達成するためにがんばりたいってことなのかなって僕は思ってたけど、どう?
弦月:そうかもしれないね。ライブを重ねるごとにその気持ちは強くなってるかも。でも、ライブっていう1つの到達点ができることってありがたいなと思ったから、めちゃくちゃうれしかったよ。
――弦月さんもその当時個人的な目標があったとおっしゃっていますが、皆さんがその頃個人的に何を目標としていたかお聞きしてもいいでしょうか?
甲斐田:音楽活動の面で言うのであれば、「オリジナル曲を出したい」とか「アルバムを作る」といった自分のクリエイティブ部分をちゃんと発信していくことでした。だからアーティストとしてアルバムや個人曲を出すという目標に向かってがんばってましたね。あとはシンプルにリスナーさんを増やすとか自分を知ってもらえる場を増やすとか……これは終わりのない目標であるものの、その頃自分の中ではかなりがんばっていたと思っています。今思えばもっとできることがあったと思うんですが。
【アニメーションMV】透明な心臓が泣いていた / 甲斐田晴【オリジナル曲】
――なるほど。長尾さんが当時抱いていた目標はどんなものでしたか?
長尾:入った当初にやりたいことがいろいろあったんですけど、実はライバー活動を始めて1年ぐらいでそれらが達成できちゃったんですよ。なんでかっていうと、にじさんじってデカくなるスピードがむちゃくちゃ早いじゃないですか! 俺が想像してたよりもにじさんじがすごいスピードでどんどんデカくなって、やれることの規模もめっちゃ大きくなったんです。だから逆に「俺って何をやりたいんだろう?」って思った時期がありますね。自分がやりたかったことはこの規模感の組織では想像よりも小さいものだったから、「これからどうしようかな」って思ったときがありました。
甲斐田:それってたぶん「一唱入魂」前の、3Dお披露目よりも前の時期だよね?
長尾:そうそう。 そうやって悩んだ時期はあったんですけど、それこそ「一唱入魂」とかVΔLZみんなでいろいろ活動してきて、「これぐらいの規模感のことができるんだ」っていうなんとなくの感覚が掴めてきたから、VΔLZの活動を通して自分がやりたいことのインスピレーションをもらったなって思っていますね。
甲斐田:実は周りで見ている側としても、「明確な目標がなくなってしまったのかな」っていう瞬間を長尾に感じたりしていたかも。ファンの皆さんと交流したり、ライバーとして活動したりする日々そのものはすごく楽しいものだと感じているんだろうけど。
長尾:そうなんだよ。
甲斐田:でもVΔLZの活動が活発になってからなんだかまた生き生きし始めたなって思ったりした。
長尾:そう、だからVΔLZの活動を通じて別の目標をまた1つもらえたなって感じはする。今もやっぱりVΔLZの活動をがんばりたいから、そのために「じゃあ個人でこれがんばろう、あれもがんばろう」って思えるようになったり。これは昔から思っていたことではあったけど、活動を続けることによってより明確になったって感じがしますね。
――VΔLZの活動が活発になることで長尾さんの活動に新たなアイデアが生まれて、ライバーとしての幅が生まれて……といいサイクルが生まれたんだなと思いました。では、弦月さんはいかがですか?
弦月:先ほどお話したみたいに、僕は曲が作れるからライバーさんたちのお手伝いをいろいろとしたいなと思ってにじさんじに入ってきたんですけど、実際に始めて1年ぐらい経った頃に自分の限界を感じてしまい……。それまでお手伝いしてたものも1回打ち切らなきゃいけなかったタイミングがあったんです。
――パンクしてしまった、ということでしょうか。
弦月:なんだか大げさな表現になってしまうかもしれないんですけど、何も手につかなくなっちゃった時期があって。別に何かがあったというわけではなく、いろいろお手伝いさせてもらえたことで、多分満足しちゃっていた部分があったんだと思います。本当はいろいろやらなきゃいけないことが山積みだったはずなんですけど。自分の中で慢心みたいな気持ちが生まれちゃって、曲も作ってるけど全然公開できてなくて……みたいなことが続いていました。だからそうやって、できそうなことがあるのにできてないという状況がなかなか改善できなかったんです。その頃達成できていないと思っていたのはそのことですね。
甲斐田:あの頃の弦月を見ていて、「自分の中で許容できるクオリティのラインがすごく上がったんだろうな」と思ったんですよ。自分でオリジナル曲を作っていく中で、プロの作家さんが作った曲を聴くこともあっただろうし、自分に課すハードルが上がり続けてたんだろうなっていう印象でした。こっちからしたら十分なクオリティなのに弦月自身は許せない、みたいな。
クリエイターって自分の耳や目が肥えて感性が良くなった結果、自分の作ってるものがチープに見えてしまう瞬間があると思うんですけど、それがその頃の弦月にも訪れてたのかなって。周りから見たらすごいものを作ってるのに、自分が許せるクオリティになっていないからほかの作業が手につかない、みたいな感じだったのかなって思っていました。
長尾:その感じは完全になくなってはいないだろうけど、最近薄くなってきたんじゃないかなって思ってるよ。
甲斐田:そうだよね?
長尾:自分の作った作品をちゃんと愛せる感じがしてる。
弦月:でも確かに、最近は自分の作品が好き、かも。周りの人からだいぶ褒めてもらうことが最近あって。そして同期のおかげでだいぶ改善されたような気がしてます。
甲斐田:スランプを脱したんだと思うよ。弦月にとっての成長フェーズだったんだろうなって。
――自分の作品に対する見方がまた少し変わったんですね。甲斐田さんはこの5年間を振り返っていかがでしたか?
甲斐田:VΔLZというユニット単位の話をするのであれば明確な転換期がありました。「一度みんなで足並みを揃えよう」と意識が変わった瞬間があったんですよね。お互いにやりたいことの方向性がズレてきて、各々が自分のことに一生懸命になってしまって……っていう時期だったので、それぞれが腹を割ってお互いが考えていることをちゃんと言い合ったんです。青春ドラマで言ったら第8話とか第9話ぐらいの、起承転結の「転」の部分ですね。
長尾:あるある(笑)。
甲斐田:「こういうところは今後こうしたいからがんばってほしい。こっちも悪いところを直したいから思ってることを全部言ってほしい」ということから、今後の明確な目標とか、VΔLZはどうしていくべきなんだということまで話し合ったんです。その結果、それまで積み上げてきたものを大事にしながら、一緒に足並み揃えて気持ちを新たにしていこうという。長尾はよく、ここからのVΔLZを「シーズン2」と表現するんですけど(笑)。
長尾:(笑)。
甲斐田:そうやって自分たちで話し合った結果をマネージャーとかスタッフさんにしっかり伝えた結果すごく親身になって動いてもらえて、これまで長尾、弦月、甲斐田の3名でやっていたことが会社単位の動きになり、いろんなことがうまく噛み合うようになって“チームVΔLZ”が生まれたと感じています。僕たちにとってはすごい転換期だったのでかなり印象に残ってますね。その時期を経て生まれたのが「ブリキの魂」でした。
【MV】#VΔLZ - ブリキの魂
甲斐田:個人の話だと、別のユニットの話になってしまうんですが、やっぱりROF-MAO加入は自分の中でかなり大きい転換期でした。メンバーやスタッフさんたちと接することで「こんなに自分たちの活動・仕事に対してストイックで、なおかつ楽しんでる人間がいるんだ」と実感したり、「自分って根性なかったんだな」って思ったりもしたんですよ。
あとは初めてのオリジナル曲「透明な心臓が泣いていた」をリリースしたときのことも思い出深いです。「自分の音楽って、ちゃんと価値を持って聴かれているんだな」と思えて、音楽活動をするうえでの大きなきっかけになったというか、自分の殻を破って景色が変わった瞬間であったような気がしています。
長尾が覚醒、弦月は“成った” 甲斐田に気付きをもたらした『三華の樂』
――これまではご自身の振り返りでしたが、同期としてお互いを見つめてきた皆さんですから、この5年間で他のメンバーの活動で印象的だったことや感じた変化もあるんじゃないかと思いました。長尾さんはいかがですか?
長尾:甲斐田については、最近ちゃんと健康を維持できるようになったんじゃないかなって俺は感じてるよ。
甲斐田:(笑)。そうだね!
長尾:一時期ヤバかったもん。「絶対そのペースは無理やろ」みたいな働き方をしていたし、実際無理だったんだと思う。かなり心配してたけど、そういうのは最近だいぶなくなったかなと思ってる。弦月にはね、さっきも言ったけど自分を愛することを覚えた気がしてるよ。
甲斐田:それは僕も感じるわ。
長尾:感じるよね? 俺がけっこうポジティブ人間だから、弦月がネガティブになっちゃう理由がよりわかりづらかったっていうのもあったんだろうけど……。今の弦月は「なんで自分が今調子がいいのか、悪いのか」っていう理由付けができてきたのかなって思ってるよ。こう感じるようになったのは、実はかなり最近のことなんですけど。
弦月:そうだね。今年に入ってから自分でもそう思うから、本当に最近の話だね。
甲斐田:弦月に関しては“クリエイター自認”が高まってきてると思う。多分だけど、弦月って自分のことを今まで素人だと思ってた……?
弦月:めちゃくちゃそう思ってたけど……?
甲斐田:多分弦月って曲作りが好きだしモチベーションもあるものの、作った曲は「素人の作ったもの」って思っていたのかなって。だから必要以上に謙虚になってしまう部分があったんじゃないかな。
弦月:元々自分の作品は好きだけど、人に聴いてもらうまでもないかなと思ってたんだよね。でもライブとかを経て「自分が形にできるものがあるんだな」と自覚したのが理由として大きいかなと思う。
――ちなみに弦月さんは甲斐田さんと長尾さんのこれまでの活動で何か感じたことはありましたか?
弦月:僕にとっては2人ともすごい人たちで、お互い別ベクトルの努力をしているなと思ってます。例えば甲斐田はめちゃくちゃハードワークな中で自分のこともやって、なおかつみんなのことも考えてくれていますし、長尾も自分がやりたいことをいっぱい詰め込んで、その中でさらに挑戦したいことを見つけているんですよ。そのすごさ・努力する姿勢は常に更新されているので「この2人はやっぱりすごいなあ」って思います。すごい、しか言ってないんですけど……(笑)。
それを強く実感したのはライブのときですね。ファンのみんなに見えているVΔLZとステージ脇で見てるVΔLZってだいぶ違うと思っていて。例えば『三華の樂』の仙台公演で長尾が歌った「クレマチスの祈り」とか、甲斐田の「何色」を聴いているときに「努力ってこういうことなんだな」って思いました。そもそも僕、「がんばる」っていうことがわかんなくて。
甲斐田:強者みたいなこと言うな?
弦月:ちがうちがう(笑)。でも甲斐田が言ってたみたいに、6、7割ぐらいの力でどうにかなっちゃうことが多かったんです。この歳まで「がんばったから何がどう変わった」と結果に結び付くことがわからなかったんですよ。だからそれぞれ努力を続けてきた2人のパフォーマンスを見て、がんばったから今の甲斐田と長尾はこういう姿をみんなに見せられているんだなと実感したんです。甲斐田と長尾のそれぞれの努力の形があるんだったら、僕も自分の努力の形を見せられたらいいのかなと、2人の横でひしひしと感じていました。
甲斐田:僕からもちょっとお話したいんですけど、『三華の樂』で2人とも大きく成長したんだなと感じた部分はあったんです。まず長尾は客席を煽ることで分泌されるアドレナリンを明らかに自覚したんだろうなと思った。 「これめっちゃ楽しいやん!」ってなってる瞬間を見たんですよ、僕はあのとき。「お前気付いちゃったね……? この蜜の味に」って。
弦月:僕も見たわ、楽しそうだった(笑)。
長尾:うん、楽しかった(笑)。だからこの間の「にじさんじフェス2025」の「歌うまデュエット選手権」もね、バチバチにアゲた。
甲斐田:(笑)。弦月も弦月でオリ曲の「mermaid」を披露したんですが、「自分の足でもう歩けるよ」っていう歌詞を聴いて……非常によかったですね……。
mermaid
弦月:(笑)。さっきまであんなに解説してくれてたのに。
長尾:突然語彙力が(笑)。
甲斐田:(笑)。弦月はすごく器用なんだけど、自分に自信がない部分がちょこちょこ見えていたので、「弦月はもう自分で歩いていけるのか」って。僕はけっこう心配しいなので「弦月大丈夫?」「うまくいってるかな」とこまめに聞いちゃっていたんですけど、弦月は自分のやり方と努力の方法を見つけていたので、そこまでおせっかいになる必要もないんだなっていうのはすごく感じました。将棋で言うと「成ったな(※)」という感じです。
※将棋において、ある種の駒が敵陣に入った際に、本来の動きに加えて新たな動きができるようになること。
長尾:なるほど。
甲斐田:もちろん空間や雰囲気に追い詰められてそうなったというわけではないんですけど、人間って必ず“成る”瞬間が訪れるんだなっていうのを強く感じたライブだったなって思いました。