総合エンタメ番組「LOCK ON FLEEK」始動の背景
――まず、にじさんじの公式番組として「LOCK ON FLEEK(以下、ロクフリ)」が立ち上がった経緯や番組をスタートさせた際に考えていたことを教えてください。
番組プロデューサー M:「ロクフリ」の立ち上げは私がメインで担当したのですが、ゲーム以外のジャンルも幅広く取り上げられる公式番組を立ち上げたいと思ったんです。にじさんじの公式番組として、「ヤシロ&ササキのレバガチャダイパン」が生まれて以降、「ゲームる?ゲームる!」など、毎回異なるゲストをお呼びしてゲームで遊ぶという番組のスタイルは、多くの視聴者さんから親しまれていますよね。
その一方で、にじさんじにはたくさんのライバーさんが所属しているので、ライバーさんによって趣味や好きなこと・得意なことがさまざまで、中にはあまりゲームをプレイしない方やゲームが得意ではない方もいらっしゃいます。そういったライバーさんでも、「エンタメ」という幅広い括りであれば得意なことや好きなことがあるはずなので、ゲーム以外のジャンルも取り扱えるような「エンタメ」に焦点を当てた番組ができないかと考えたんです。
そこから、いろんなライバーさんの持つそれぞれの魅力を、その人にあった形で発信できるように、“総合エンタメ番組”を謳う「ロクフリ」が生まれました。“総合エンタメ番組”と言ってしまえば、「エンタメ」と呼べるものであればなんでも取り扱うことができるので、そういった番組を始めたかったんですよね。
「LOCK ON FLEEK」番組ビジュアル
――たしかに、「ロクフリ」では毎回異なるゲストがさまざまな企画に挑戦していますよね。それでは“総合エンタメ番組”として、幅広いジャンルを扱ううえで、企画を立てる際に意識していることはありますか?
番組ディレクター S:コンシューマーゲームやボードゲームに限らず、とにかく幅広くエンタメをリサーチして、「番組で何を取り上げたら面白いのか?」ということは常に考えています。なんでもやっていいからこそ、「じゃあ、そんな中で何をやるのか?」の判断が大事になってくるんです。
また、「ロクフリ」は基本的に毎回ゲストをお呼びする番組なので、「このゲストならこのゲームがいいのでは?」とゲストとの親和性から企画を考えていくこともありますし、逆にゲストの新たな一面を引き出せそうな企画に挑戦してもらうこともあります。なので、ゲストに合わせて企画の内容を考える、ということは意識していますね。
番組プロデューサー M:そうですね。ゲストと企画の親和性はもちろん考えている部分なのですが、その“親和性”は必ずしもゲストが得意なものや好きなものをやってもらうだけではないと思っています。もちろんゲストの個性に合った企画をまず第一に考えるのですが、逆に「このライバーさんがこういうことをしたら面白くなるのではないか?」という仮説から、企画を考えることも多いですよね。
あとはゲスト同士の組み合わせも、重要になる部分です。もともと相性のいいメンバーをアサインすることもあれば、逆に「この人とこの人が絡んだら、どういった化学反応が生まれるんだろう?」と考えてアサインをすることもあります。
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「ロクフリ」を支えるレイン、ローレン、アルスの才能
――番組を制作するうえで、MCのレインさん、ローレンさん、ナレーターのアルスさんにはどんな魅力を感じていますか? 番組に携わっている皆さんだからこそ語れる、3人の魅力を教えていただきたいです。
番組プロデューサー M:まず、レインさんは圧倒的なコミュニケーション能力をお持ちですよね。「ロクフリ」ではお呼びするゲストが毎回変わりますが、収録に慣れている方、慣れていない方、さまざまなゲストがいらっしゃいます。誰がゲストとして来ても緊張せず楽しく収録に臨むことができる雰囲気を作るというのは、MCとして必要な素質だと思うのですが、レインさんがMCならそういった雰囲気作りについての心配をしなくていいんです。
番組ディレクター S:そうですね。レインさんは誰とでも仲良くなれて、現場を明るくしてくれるので、制作陣の我々としてもすごくありがたいことですね。
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番組プロデューサー K:収録のためにライバーさんがスタジオに来ると、皆さん楽屋に入られます。 我々スタッフは基本的に楽屋には入らないので、どんなお話をしてるのかはわからないのですが、楽屋からいつもレインさんの笑い声が貫通して聞こえてくるんですよ(笑)。
それを聞くと、今日も和やかに収録が始められるなと思うんです。ご本人的にはそんなつもりはないかもしれませんが、収録が始まる前から和やかな雰囲気を作ってくださるのは我々制作陣からすると本当にありがたいことなんですよね。
――レインさんの持ち前の明るい人柄に、皆さんも助けられているんですね。それでは、ローレンさんについてはいかがですか?
番組プロデューサー M:ローレンさんはバラエティに対する勘の鋭さが素晴らしいですね。普段からローレンさんの配信を観て感じている方も多いと思いますが、実際に番組が始まってからもその能力の高さには驚かされています。自分で展開を作ることもできて、ゲストにツッコミを入れたり、自分がオチになったりすることもできる。番組として、あらゆるバラエティ的な展開を作っていくにあたって、ローレンさんは非常に頼れる存在だと常々感じています。
この部分に関しては、レインさんとの役割分担のバランスも素晴らしくて、レインさんがゲストさんと雰囲気を作ってくれているときに、ローレンさんは「この企画はどうしたら面白くなるのかな?」といったことを考えてくれているイメージがありますね。
また、「ロクフリ」では立ち上げ当初からにじさんじライバー以外のゲストもお呼びしたいと思っていて、実際にストリーマーのk4senさんやMOTHER3さんなどにもゲストとして遊びに来ていただきました。これはローレンさんとストリーマーさんとの関係性があってからこそ実現できたことなんです。「ロクフリ」というにじさんじの公式番組を、さらにいろんな人に届けていくために、レインさんとローレンさんがそれぞれの強みを生かしながら番組の顔になってくれているというのは、とてもありがたいことですね。
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番組ディレクター S:Mさんも話していたことですが、ローレンさんはどんな企画でも絶対に1箇所は見どころを作ってくれるんです。僕が印象に残っているのは、「チャンバラ合戦」や「童心に帰ろう」の回なんですが、その回ではローレンさんが本気で企画に挑戦した結果、ゲストに勝ってしまうという展開になりました(笑)。ディレクターとしても、MCであるローレンさんがそうやって見どころを作ってくれるのは、とてもありがたいことなんです。そこはローレンさんの魅力だと思いますね。
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――ローレンさんのバラエティスキルの高さには、共感するファンの方も多いと思います。最後にナレーターのアルスさんについてはいかがですか?
番組プロデューサー M:レインさんとローレンさんにMCを務めていただくことが決まったときに、ナレーションをどなたにお願いするべきか考えていたんです。その際に「レインさんとローレンさんにナレーションの立場から突っ込んだり、いじったりできる方がいいな」と思ったんです。そこでアルスさんの顔が浮かんだんですよね。
「ロクフリ」でのナレーター依頼を受け取ったアルスさんは、「まさかぼくにナレーターのお仕事が来るなんて!?」とすごく驚いたみたいなんですが、私は「アルスさんなら絶対にうまくいくだろう」という確信がありました。
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番組プロデューサー M:ナレーションはハキハキとしゃべることも大事かもしれませんが、それ以上に誰がしゃべっているのかがわかる、声の魅力・個性を持っていることの方が大事だと思うんです。なのでアルスさんには、絶対にいいナレーションをしてもらえるだろうと思ってました。
番組ディレクター S:言語化がすごく難しいんですけど、“アルスさんのまま”でナレーションを成立させられるということも魅力だと思います。アルスさんのナレーション自体が1つのコンテンツになりうる力を持っていると言いますか。「ロクフリ」では、アルスさんにナレーション原稿を読んでいただいた際に、イントネーションがアルスさん独自のものになっていたとしても、録り直しはせずにそのまま公開していることが多いんです。
番組プロデューサー K:アルスさんにやってもらう意味のあるナレーションになっていますよね。ナレーターを始めたてのときよりも、どんどんニュアンスの出し方がよくなっていて、回を増すごとにナレーションがうまくなっています。そんなアルスさんを見て、我々も「ギャルっぽくやってもらえますか?」みたいに遊びを取り入れたオーダーをさせていただくんですが、それでも魅力的なナレーションにしてくれるんです。これからもこういった遊びは、どんどん入れていきたいと思っていますね。
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番組ディレクター S:あと、アルスさんは尺に対するかなり正確な感覚をお持ちです。オペレーターさんが、「最初から最後まで何秒でお願いします」とお願いすると、バシッとその尺に収まるように読み上げてくれるんですよ。オペレーターさんとも「(ナレーション録りの)天才ですね」という会話をよくしています。
番組プロデューサー M:我々がその天才を発掘できたんだと思うと、とても誇らしいですね(笑)。
手探りで挑んだ、大規模ゲームイベントへの挑戦
――さて、ここからはLOCK ON FLEEK GAME FESTAについて、イベントチームにもお話を伺っていきます。まず、本イベントはどのような経緯で企画が立ち上がったのでしょうか?
イベントプランナー N:イベント部では、イベントプランナーが持ち寄った企画を精査して、実施するイベントを決める企画コンペを定期的に開催しているのですが、そこで企画書を書いたのが一番最初のきっかけですね。
以前からにじさんじでゲームイベントをやりたいと思っていたのですが、いろいろと話が進んでいく過程で、ちょうど番組スタッフの皆さんからも「『ロクフリ』でイベントをやりたい」というお話をいただいたんです。そこから「ロクフリ」でゲームイベントを開催する方向に舵を切っていきました。
LOCK ON FLEEK GAME FESTA 概要
――なぜ、Nさんはにじさんじでゲームイベントをやりたいと思ったのでしょうか?
イベントプランナー N:最初にMさんがお話しされていた、「ロクフリ」を立ち上げた理由と通じてくる部分もあると思うのですが、まずにじさんじのイベント施策は、基本的に音楽ライブの形式であることが多いんです。ファンミーティングや「くろのわーるが武道館でなんかやる」など音楽ライブではないイベントも最近増えてきてはいるのですが、音楽ライブがメインではないイベントだと、定期的に開催しているのは「にじフェス」ぐらいだったんですよね。
にじさんじには歌やダンスといった活動を主としていないライバーさんもいらっしゃいます。普段イベントに出る機会が多くないライバーさんにも、リアルイベントをやることはすごく楽しいことだと知ってほしかったし、目の前にお客さんがいる中で一緒に盛り上がることができる機会を作りたいと思ったのが、ゲームイベントをやりたかった理由ですね。
また、にじさんじのイベントは音楽ライブにしか行ったことがない、というファンの方も多いと思うので、自分の好きなライバーが真剣にゲームで戦っている姿をオフラインの会場で応援する、という経験をしていただきたくて、今回のイベントを企画しました。
――たしかににじさんじのゲームイベントは、これまであまり多くはなかったですよね。では、LOCK ON FLEEK GAME FESTAはゲームやバラエティが中心のイベントですが、音楽イベントとは違うご苦労などがあればお聞きしたいです。また、イベントを作るうえで、一番こだわっている部分・注力している部分を教えてください。
イベントプランナー N:これまでにじさんじでは、ここまで大規模なゲームイベントを開催したことがなかったので、最初はいろいろと手探りの状態から始まりました。イベントを作り上げていく際にご協力いただく外部のイベント会社さんもいつもの音楽ライブとは違って、番組チームに紹介いただいた会社さんに入っていただいています。
あとはゲームイベントに初めて来るお客さんもいらっしゃると思うので、そういった方に楽しんでいただくために、どうしたらいいか?という部分も考えながら進めていますね。この部分はUさんがすごく気にしてくださってる部分だと思うので、Uさんからのお話もお聞きしたいです。
イベントプランナー U:そうですね。まず、各ゲームの内容やルールのような具体的な部分は番組チームの皆さんがいろいろと考えて提案してくださるので、そこはおんぶに抱っこでお任せしています。そのうえでイベントチームとして「ロクフリ」の番組らしさを出しつつ、ゲームイベントとしてどう成立させるのか、というところに注力していますね。
先程も話にあがりましたが、にじさんじのイベントは音楽ライブが主流なので、3Dチーム・スタジオチームの皆さんもあんまりやったことのないチャレンジが多いんです。そんな中、「こういうことがしたいんですけどできますかね?」という相談をさせていただいて、オフラインイベントでも実現できるように、いろいろと画策しています。
LOCK ON FLEEK GAME FESTA オフライン参加ライバーとチーム構成。
番組プロデューサー K:ライバーさんや番組チームがイベントでやりたいことについて、UさんやNさんにご相談させていただくのですが、「それが実際のオフラインイベントで実現できるのか?」という部分に関して、すごく頼りにさせてもらっています。
ゲーム大会をするにしても、オンラインとオフラインでは規模感や関わってくるスタッフの数もまったく違いますし、そういった関係各所との連携をイベントチームにご担当いただけるのは本当にありがたいことなんです。
番組プロデューサー M:今回のイベントを実現するための1つの足がかりになったのが、「にじさんじフェス2025」で開催した「EX Gamers Event“Odd Play-Off”」の中で「ストリートファイター6」をプレイしたことじゃないですか?
「EX Gamers Event“Odd Play-Off”」はUさんがメインで担当されていたんですが、そのときのお客さんの盛り上がりや手に汗握る攻防は音楽イベントでは味わえないものだったんじゃないかなとイベントを見ていて思いました。
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イベントプランナー U:そうですね。リアルイベントである「EX Gamers Event“Odd Play-Off”」で「ストリートファイター6」の対戦を実現できたのは、イベントチームとしてもすごく大きなことでした。そこで「こういうふうにやったら、にじさんじのイベントでもこんな見せ方ができるんだ」「イベントでゲームをやったらこれぐらいお客さんが喜んでくれるんだ」という経験を得られました。それは、今回のイベントの礎にもなっていますね。
イベントチームとしては、これまでにじさんじが音楽ライブで培ってきたイベントに対する期待値に、ちゃんとゲームイベントでも到達できるように、見せ方や内容の濃さ、快適に観られるかどうかというところをできる限り高水準のクオリティになるよう、いろいろと準備をしています。
――今回のイベントでは、「Lock on Bullet」というオリジナルゲームも取り入れられていますが、これにはどういう意図や狙いがあったのでしょうか?
イベントプランナー U:これは、Mさんが出してくださったアイデアですね。
番組プロデューサー M:「Lock on Bullet」はオフラインならではの動的な表現と、ライバーさんの個性や関係性を出せるようなゲーム性を両立させるのがチャレンジングな試みになっています。オフラインでゲームイベントをするにあたって、ステージに立つライバーさんたちのイベントならではの活躍が見たい、というファンの方々もたくさんいらっしゃると思います。そういった方により楽しんでもらうために、「Lock on Bullet」というオリジナルゲームの実施を提案させていただきました。「Lock on Bullet」の内容については、こういったオリジナルゲームの制作に長けている専門業者さんにも相談しながら、いろいろとルールを決めていきましたね。
スタッフ陣が語る、イベントに込めた“全力全開”の思い
――担当スタッフとして番組チームとイベントチーム、それぞれの立場から最後にひとこといただけますでしょうか? イベントの注目してほしいところや見どころなどと合わせて教えてください。
番組プロデューサー K:私はこれまでにじさんじのオンラインゲーム大会の制作を担当してきたのですが、ずっとオフラインでもゲーム大会を開催したいと思っていました。そんな中、今回イベント部さんからお話をいただいて、「ロクフリ」でオフラインイベントをすることが決まったのですが、これは私たちにとっても待ちに待った大きな挑戦です。絶対に楽しいイベントになると思うので、是非当日の開催を心待ちにしていてください!
番組ディレクター S:番組のキャッチコピーにもあるように、「全力全開で楽しみ尽くす」ことができるイベントにしたいと思っています。ぜひ、イベントでも「ロクフリ」らしい“総合エンタメ”を楽しんでいただきたいです。
イベントプランナー N:にじさんじが好きなお客さんであれば、絶対に楽しんでいただけるイベントになると思います。会場全体で楽しめるような仕掛けも考えているので、ぜひ心待ちにしていただきながら、会場や配信で楽しんでいただけたらうれしいです!
イベントプランナー U:ファンの皆さんに楽しんでいただけるように、たくさん準備をしているので、どんなイベントになるのか、ワクワクしながらお待ちいただけたらと思います。きっと予想していたことが的中するような場面もあれば、全然予想していなかったようなことも起きるかもしれません。にじさんじの新しいイベントの形として、楽しんでいただけたらうれしいです!
番組プロデューサー M:今回のイベントでは、番組側からもイベントが楽しみになるような発信をしていきたいと思っています。本番が近づくにつれて楽しみが膨らんでいくように盛り上げていくので、ぜひ心待ちにしていてください。“にじさんじのお祭り”のようなイベントにできるよう、たくさんのライバーさんにも参加してもらっています。「ABEMA」では全編無料でリアルタイム視聴もできますし、有料のアーカイブ配信もありますので、たくさん観て楽しみ尽くしてほしいです!