“兼業ライバー”として駆け抜けた日々
――えりぶりのおふたりはもうすぐデビュー1周年を迎えられます。まずは活動1周年の記念日を控える今の率直な気持ちをお聞かせください。
五木左京(以下、五木):まずはライバーと営業マンの兼業という特殊なスタイルで、ここまで活動を続けてこられたことに安堵しています。フルタイムで仕事をしながら配信をするというのは、私がデビュー前にイメージしていたライバー像と異なる部分もあったのですが、今はそれにもだいぶ慣れてきましたね。これからもこのスタイルで続けていけそう、という手応えを感じています。綾人くんはいかがでしょう?
一橋綾人(以下、一橋):五木さんの言う通り、兼業ライバーとして活動していくのは「なかなかの大仕事になりそうだな」と感じていましたね。デビューしてからもいろいろと大変なことはあったのですが、今ようやく1周年を迎えられそうということは、一旦なんとかなっているんですかね。
五木:そうだよね。今からいいことを言うんですけど……。
一橋:お、来た来た。
五木:一般企業に勤めているからこそ、今の私に与えられているこの環境は当たり前ではないと思っているんです。にじさんじの先輩方が築き上げてきた土壌がありますし、我々の要求に応えてくれるスタッフさんがいることに今改めて感謝をしたいです。その一方で、デビュー1年が経とうとしている事実にどこか現実味が感じられず、他人事のように受け止めている自分もいますね(笑)。
一橋:そうですね。いつの間にか配信のアーカイブ数もかなり増えていて、こんなに活動を続けてきたのかと驚きました。これからももっといろんなことに挑戦していきたいですね。
五木:兼業しながらよくやってるよ、とお互いを褒め称えましょう!
一橋:お互いが相手に対して「こいつ、よく兼業しながらライバーをやれているな……」って思っているのがえりぶりの特徴ですよね(笑)。
――「えりぶりRADIO」でハーフアニバーサリーの振り返り配信をされていた際には「本当にあっという間だった」というお話をされていましたが、あれから数カ月ほど経った今の感覚はいかがでしょうか?
一橋:自分でもあまり経験したことのない領域に突入していて、「あっという間だったな!」と「まだこれしか経っていないの?」が混在してよくわかんなくなっています。とにかくいろいろあったので感慨深いという気持ちはありますが、これが早いのか遅いのか、自分ではよくわかりませんね。
五木:全文、同意ですね。時空が歪んでいるみたいな感覚です。
えりぶりが目指す「高級な雑さ」
――これまで活動してきた中で、特に印象に残っている出来事はなんでしょうか?
五木:私は「にじさんじ新人ライバー面談」で、初めてスタジオから配信したときのことが印象に残っていますね。営業マンとして、相手に気を遣うのが当たり前の世界で生きてきたので、自分がスタッフさんから演者として気を遣っていただく側になった際に、混乱してしまったんです。「私が水を持って行かなきゃいけないはずなのに、持ってきてもらっちゃったんだけど!?」みたいにパニックになってしまって……。そんなパニック状態のまま、本番を迎えてしまったので、今この話をしてもまた手汗が出てきてしまうぐらいには印象に残っていますね。
一橋:私もいろいろと印象に残っていることはありますが、最近配信した「こたつ配信(コタツ頂上決戦)」は思い出深いです。私がイメージする“にじさんじらしさ”をなんとなく形にできた感覚があったんです。……すみません、今話していて思い出したんですが、特に印象に残ったのは「スーパーエリート塾」でした。
五木:ははは(笑)。やっぱり?
一橋:ふと、思い出してしまいました(笑)。あれはどうしても印象に残ってしまうな……。「スーパーエリート塾」は私が主導した企画ではあったものの、花畑(チャイカ)先輩に翻弄されてしまい、嵐の中にいるような感覚になりました。それが「こたつ配信」ではある程度、自分たちが主導して配信の流れを作っていけるようになってきたんですよね。
五木:綾人くんの思う“にじさんじらしさ”のある配信ってなんですか?
一橋:特定の配信があるわけではないんですが、タイムラインに流れてきたときに「ん、なんだろうこれ?」って立ち止まってクリックしたくなったり、いざ配信を観てみると「なんだこれ!?」って笑えたりするのが“にじさんじらしさ”のある配信ですかね。
五木:うんうん、確かに。
一橋:ちょっと表現が難しいんですけど、「高級な雑さがある」っていうのかな。あとは自分の予想を超えることが起きたときにも”にじさんじらしさ”を感じますし、視聴者として配信を観ていたときに「ライバーのことを身近に感じられる」というのも”にじさんじらしさ”のポイントの1つかもしれません。
五木:確かにそういう意味では「こたつ配信」は“にじさんじらしさ”のある配信だったかもしれない。我々も思っていなかった方向に進んでいったよね。
「皆さんを困惑させ続けたい」それぞれが追求するエンタメの形
――「にじさんじ新人ライバー面談」のプロフィールにおいて、「1年後、どんな自分になっていたい?」という質問に対して、一橋さんは「にじさんじの中にライバーとして自然にいたい」、五木さんは「楽しいことをいっぱいしていたい」と回答されていました。もうすぐデビュー1周年となりますが、今のところデビュー時に抱いていた抱負は実現できそうでしょうか?
五木:これは想像以上に達成できたと思っています。それこそ「こたつ配信」は楽しかったこととして鮮烈に記憶に残っていますし、私が企画させていただいた「筋トレチンチロ」も本当に楽しかったですね。そのうえで、もっと楽しいことができそうという欲望も際限なく湧いてくるんです。せっかく与えていただいたこの環境ですので、まだまだ楽しいことを突き詰めていきたいですね。
あと、私あるいは私たちが真剣に変なことを始めると、リスナーの皆さんが毎回困惑してくれるんですよね。これがいつもうれしいので、これからも皆さんを困惑させ続けたいなと思っています。ご覚悟ください!
一橋:私の「にじさんじの中にライバーとして自然にいたい」はどうなんだろうな〜。なんとなく受け入れられてるような感じもしますが、まだどことなく一橋綾人というライバーの真面目なイメージを覆せていない部分もあると思っていますね。
ちょっと変なことをするたびに「いよいよ一橋先生もにじさんじに染まってきたか」とファンの方が言ってくださるんです。最初に言われたときはすごくうれしかったんですけど、未だに言われているんですよね。かれこれ1年近くにじさんじに染まり続けているので、「お、いつものことやっているな!」と認知いただけるようになれば、この目標は今よりも達成に近づくかもしれませんね。
――ここまでお話を聞いて1つ気になったのですが、おふたりが変なことをしたいのはなぜでしょうか?
五木:単純に自分たちが面白いと思うことをやろうとすると、結果的に“変なこと”になるんですよね。
一橋:そうですね。その“変なこと”というのは、私が先ほど言っていた“にじさんじらしさ”のようなものと同じだと思っているので、これからも2人で追求していきたいです。あと、今五木さんの話を聞いて思ったのは、ひょっとしたら“変なこと”や“にじさんじらしさ”というのは、「自分たちが楽しそうにしている」ということも重要な要素なのかもしれませんね。
そういう配信というのはライバーたちがニヤニヤしながら配信しているのが、想像できるんですよね。「俺ら今何してるんだ?」「でも、俺らが楽しいからいっか!」みたいな(笑)。
価値観のアップデートとライバーとしての「ブレーキ」
――デビュー当時から今までを振り返って、ご自身で成長した・変化したと感じるのはどんなところでしょうか?
五木:まだ発展途上という前提ではあるんですが、自分のものごとの考え方が少しずつ時代に追い付いてきたと感じています。私が今勤めている株式会社HAPPY LOVE IT(以下、はぴらび)も、立ち上げ当初はどうしても泥臭い進め方や少し古い価値観が残っていた部分がありました。もちろんはぴらびは企業として進化を続けていますが、それでも今エンタメの世界で求められている基準には遅れを取っていると感じることもあったんです。その泥臭さを否定するつもりはないのですが、活動を続ける中で価値観を少しずつアップデートできたのは成長だと感じますね。
あと自己肯定感が少し高まりました! 未だに「私がにじさんじライバーとして活動していいんですか?」と思ってしまう瞬間もあるのですが、応援してくださる皆様方の存在が希望になって、自分を肯定できることが多くなってきました。
一橋:五木さんは周りから求められる基準に合わせつつも、心の奥では「泥臭くてなんぼやで!」というド根性があるのかなと思っていますね。私は五木さんのそういうところを好ましく思っていますし、「五木さんらしくていいな!」と感じますよ。
五木:ありがとうございます(笑)。
――では、一橋さんはご自身で成長した・変化したと感じるのはどんなところでしょうか?
一橋:ライバー活動をするにあたって、最初はあらゆるタイミングで慎重にブレーキを踏んで立ち止まっていたのですが、最近はだんだんとそのブレーキを緩めていけているんです。もちろん医学に関して発信をする際にはブレーキが必要なのですが、そういった情報を発信しているにじさんじライバーだからといって、ただ単にブレーキを踏み続けていると、徐々に周りと隔絶されていってしまうと思うんですよね。
学術的な領域とにじさんじのライバーという個性を交わせることで、その双方が接点を持つきっかけになればいいなと思っているので、ブレーキを踏むだけじゃなくて絶妙なところで緩めることも意識していかなきゃいけないと思っています。
五木:時々私がブレーキ踏もうとすると「いや、行けますけどね!」って突破してくることがありますよね。「そこは行けるんだ」ってびっくりします(笑)。
一橋:そうですね。それで五木さんをだいぶ振り回してしまっているところもありますが……。
五木:いや、それが楽しいんですよ。綾人くんがどんどんブレーキを緩めているというのは私も感じていましたし、その緩め方がすごく絶妙なんですよね。綾人くんはバランス感覚に秀でているライバーだと思っているので、“ある意味”尊敬していますね。
一橋:ある意味、ある意味ね。
五木:いや! 本当の意味でそう思っていますよ。
専門知識をエンタメへ昇華させるために
――えりぶりのおふたりは“スーパーエリート”として、精神科医とセールスマン、それぞれのご職業を活かした活動を続けてこられました。今までのにじさんじにはないような、新たな地平を切り開いていますが、配信や動画制作をする際に意識していることや、これまで大変だったエピソードなどがあればお教えください。
五木:“営業”をエンタメとして伝えるのってめちゃくちゃ難しいんですよね。営業スタイルはそれぞれの会社や個人によって十人十色ですし、営業のノウハウ自体も私以上に優れた方々がすでにたくさん発信されているんです。
だからこそ私は営業だけに限らず、私自身が役に立ったビジネスマナーや豆知識に関するシリーズをShorts動画にして投稿しているのですが、これが想像していた以上に皆さんに面白がっていただけるのでやってよかったなと思っています。
「スーパーエリートセールスマン」と呼んでいただいていますけども、私自身は別にそこまで「エリート」を意識しているわけではないんですよね。社会人の皆さんの痛みがわかるからこそ「社会って大変だけど、捨てたもんでもないよね?」と言えるようなコンテンツを、等身大の視点を持って作っていきたいんです。
一橋:兎にも角にも私がずっと気にしているのは、精神医学などの情報を発信した際に、それが「自分が想定していた通りに伝わるのか?」「自分が想定していた範囲に伝わっているのか?」という部分でしたね。精神医学を若い世代の方々に伝えられる機会はすごく重要なのですが、インターネットで情報発信した際の受け止められ方というのは予測できないものなんです。だからこそ、まずは私のほうである程度、情報の質や広がり方をコントロールできるようにならないといけないんですよね。
正しい知識があらゆる人たちに伝わってほしいという気持ちももちろんあるのですが、変に切り取られてしまった際などに誤った情報が伝わってしまってもいけません。私の伝えたいメッセージを100%正しい形で伝えることはどうしても不可能である以上、どういう情報発信がベストなのか、というのは常に意識していますね。
また、正しい情報発信をするために、精神医学に関する動画を制作する際には、ほかの専門家の先生にも監修という形でご協力していただくようにしています。これは自分のことを信用しすぎないことが大切だと思っているからで、自分が何か失敗してしまったとしても、カバーできる仕組みのもとで情報発信していきたいからです。今のところ、ベストな環境でコンテンツを作らせていただけているのでとてもありがたいですね。
五木:いや、びっくりしましたよ。最初に動画を作ると聞いたときに「監修が入っています」って言われて。でも、そのおかげで担保されたものがあるんだなって思いますね。
“お互いを踊らせ合う”えりぶりの信頼の形
――これまでおふたりは「えりぶりRADIO」をはじめ、同期ユニットとして積極的に活動されてきました。ここからの質問では同期としてともにライバー1年目を過ごしたお互いへのお気持ちなどを伺ってまいります。
五木:今更ですが私たちのことを初めて知る方もいるかもしれないので、なぜ「えりぶり」という同期ユニット名が生まれたのか、名付け親である綾人くんから改めて聞かせてもらえませんか?
一橋:デビュー前に我々が配信の練習をしていたのですが、そこで何気なく出たワードだったんですよね。私が「その言い方はちょっと“えりぶってる”(エリートぶっている)よね?」と言ったことから「えりぶり」が我々とスタッフの皆さんの中のバズワードになってしまって(笑)。その後、同期として我々2人をまとめる名前が必要になった際に、そのバズワードがそのまま同期ユニット名になったんです。
五木:いや〜、伝説の瞬間ですよね。いい名前です。
一橋:私自身も「いや、“スーパーエリート”という肩書きは少し荷が重いんじゃないでしょうかね!?」という気持ちがある状態でデビューしたので、「えりぶり」はエリート要素もいい感じに残しつつ、言葉のニュアンスを柔らかくできたのでいい名前なのかなと思いましたね。
五木:私たちがデビューしたときに、皆さんに「なんか怖い人たちが入ってきた」と思われなかったのは、本当にこの名前のおかげかもしれないですよね。素晴らしい名前をありがとう。
一橋:偶然生んでしまったんですけど、生まれたものはしょうがない。
――素敵な同期ユニット名ですよね。では改めてお伺いしますが、これまで約1年間ともに活動されてきた今、お互いに対してどういった印象をお持ちでしょうか?
五木:私は綾人くんに出会ったときからずっと面白い人だなと思っているんですが、その印象は薄れるどころかどんどん強くなっていっていますね。本当に誤解を恐れずに言うなら、「この面白人間が思いっきり暴れられるような環境を作ってあげたい」という気持ちが芽生えてきていますね。
あとは先ほども言いましたが、綾人くんは素晴らしいバランス感覚を持っているので、この場を借りて「いつも助けてくれてありがとう」と伝えたいですし、「これからも遠慮なくおんぶに抱っこで行かせてもらうからね」と思っています(笑)。
一橋:(笑)。私はもともと営業マンの方とお会いしたことがあまりなかったので、営業マンの方たちに対して、ちょっと圧があるようなイメージを持っていたんですよね。ですが、実際に五木さんと話してみると、ありえないくらい話しやすかったんです。いつの間にか懐に入られているので、そういったところに親しみを感じていますし、五木さんのすごいところだと思っています。
五木:おお〜。
一橋:本当に偉そうなんですけど、初めて会ったときから五木さんは“対面力”が高いのでにじさんじになじむだろうと思っていました。実際にコラボする際にほかのライバーさんから気に入ってもらっているのを見て、思った通りだと思いました。私はそういう五木さんの姿を「うんうん」と頷きながら後方腕組みで見守っています。
五木:ありがとうございます!(笑)。
――素敵なご関係ですよね。せっかくの機会ですので、一橋さんからも五木さんへ言葉を贈りたいか、お伺いできますでしょうか。
一橋:ここまで関係を重ねてきたからこそ、私が五木さんの隣で好き放題できるということを確信できるようになったので、とても感謝しています。私も五木左京のことを思いっきり踊らせてあげたいですね。
五木:もしかして我々はお互いを踊らせようとしている?
一橋:踊り合うぞ(笑)。あと、実際は五木さんの方が社会人としてちゃんとしているんですよね。私に至らないことがあれば、これからも支えていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。
五木:任せろ!(笑)。
「自分たちが楽しむ」ことの重要性
――これから挑戦してみたいことやファンの方々に見せたい新たな一面があればお教えください。
五木:先ほどお話しさせていただいた内容と矛盾することではあるんですが、もうちょっと営業という職種の深いところまで切り込んだコンテンツを作れるようになりたいと思っているんですよね。企業研究をはじめ、もっとビジネスの領域を取り扱ったコンテンツ制作にもチャレンジしていきたいです。あと、ドラムやバンド活動が好きということを再認識したので、音楽面での発信も増やしたいですね。
えりぶりとしては……引き続き、変なことをやりましょう! これ以上言いようがない(笑)。お互いがやりたいことをぶつけ合い続ければ、自然と面白くなるということは確信しているのでこれからもやり続けていきましょう。
一橋:そうですね。私は本やTRPG、ラーメンなどすでにやりたいことは配信できているので、これからはよりクオリティの高いコンテンツをお届けしていきたいです。特にTRPGに関してはもっと面白いシナリオを作って、皆さんに遊んでいただけたらすごくうれしいですね。あとは、“にじさんじらしさ”のある配信をすることを目指して、主体的に活動していきたいです。
えりぶりとしては五木さんの言う通りで、「またえりぶりが変なことをやっているよ」と皆さんから受け入れられるようになりたいですよね。これからは“変なこと”をより激しくやっていきたいです。
――これからもおふたりの活躍を楽しみにしています。それでは最後にファンの方々に伝えたい感謝の言葉をお教えください。
五木:最後にいいこと言いたいな(笑)。先ほど「楽しむ」というキーワードが出ましたが、「我々は楽しいことをするためにここにいる」と言っても過言ではありません。私個人はまだまだ未熟で小さな力しか持っていませんが、ファンの皆さんが一緒に楽しんでくれることで、大きな熱狂を作り出せると信じています。これからも私ないし私たちが仕掛ける「楽しい」の共犯者として一緒に素敵な景色を見続けられたらうれしいです!
一橋:私は精神科医という独特な立場ではあるのですが、まず第一に配信を観てくれる方に楽しんでいただきたいと思っています。それはこれからも私の第一目標であり続けるので、私と一緒に面白い体験を共有できればいいなと強く願っています。今のところ皆さんには楽しんでいただけているような気がしているので、私としてはうれしい限りなのですが今後ともよろしくお願いいたします。