本番まであと少し、練習のピークでもあえてのマイペース
――ROF-MAO 2nd LIVE - Limitlessの開催が間近に迫ってまいりましたが、おふたりは今どのようなお気持ちでしょうか?
加賀美ハヤト(以下、加賀美):5月にはにじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin' in the Rainbow!の仙台公演に出演させていただいて、それ以外にもいろんなイベントがあったんですが、気付いたらもう1カ月前ですね……。でも「焦っている」とかそういう気持ちはまだなくて、ただただ「(本番まで)日が近いな」って(笑)。
不破湊(以下、不破):(笑)
加賀美:シンプルに日が近い(笑)。そうは言ってもまだ1カ月近くありますから。今から肩の力を入れちゃうと、当日バキバキになっちゃうかもしれないと思っているんですよね。今できる準備に集中するために、「あと1カ月なんだぞ!」と自分を奮い立たせるようなことはあえてしていないんです。
不破:俺も6月は2時だとかでライブをさせていただいて、一段落したので「次のライブいつだっけ?」と改めて確認したらもう1カ月後でしたね。シンプルに「早いな」と思いました。

2時だとか 1stワンマンレポート 豊洲PITを揺らした“狂騒”「俺らといろんな景色を見てくれないか?」
加賀美:ははは(笑)。ね、早いよね。
不破:漠然と「もっと先だな」と思っていたんですけど、もう始まるんだなって。
加賀美:そうそう。なんかふと俯瞰で見て初めて、本番までの日数が意外とないことに気付くんですよね。アニメとかマンガでよくある、カレンダーにバツ印がどんどん付けられていって日数が進む感じ。
――ちなみに本番に向けて練習も重ねられているかと思うんですが、練習のピークはいつ頃なんでしょうか?
不破:まさしく今ですね……!
加賀美:最近マジでめちゃくちゃROF-MAOメンバーと会ってますよね(笑)。面白いぐらい会ってる。
不破:そうですよね。ライブ直前とかは余裕を持って練習を詰め込み過ぎないようにすることが多いので、今が練習のピークだなと肌で感じています。
――ライバーさんたちは今はあえてマイペースで、とのことですが、Nさんたちスタッフの皆さんはいかがですか?
プロデューサー N:いよいよ本番ですから、スタッフ一同気合い入れてさまざまな準備を進めています。加賀美さんと不破さんはいい意味で焦っていないとおっしゃっていましたが、ROF-MAOの皆さんはこれまでたくさんのイベントを経験されてきたので、自然体でいてくださるんです。そこがスタッフとしてすごく助かっていますね。
「やるからには絶対にナメられたくない!」加賀美ハヤトが抱いていた“強迫観念”
――2ndライブのお話に移る前に、昨年開催されたROF-MAO 1st LIVE New street, New worldの振り返りをしていければと思います。タイトル通り、ROF-MAOにとって初めての大きなライブでしたが、この公演について何かテーマはありましたか?
不破:“全部出す”、ですね。
加賀美:本当にそれに尽きます。とにかく「大阪城ホールをROF-MAO一色にしよう」「“ROF-MAO”を全部を見せよう」というのが、言葉としては一番近かったですね。私たちROF-MAOメンバーはもちろん、スタッフチームもそういうマインドで作っていたイベントだったと思っています。
プロデューサー N:それはその通りでしたね。実は1stライブのとき、スタッフチームとしては「とにかくライバーの皆さんに出ていただくステージのサイズをできるだけ大きくしよう」ということを考えていたんです。これはROF-MAO1stライブの前日にライブをしたChroNoiRにも当てはまることなんですが、大阪城ホールでの公演は当時のにじさんじとして過去最大規模のライブイベントだったんです。そのためステージのインパクトにはこだわっていまして、2階建てというコンセプトになりました。
結果として、ライバーさんのパフォーマンスをお見せできるスペースが広くなり、できることも増え、我々も「やれることはすべてやろう!」というマインドでしたね。
ROF-MAO 大阪城ホール LIVEレポート【舞台裏公開】
――甲斐田(晴)さんは1stライブを「ROF-MAOの武器を可能な限り投入したフルコースのようなライブ」と振り返っていらっしゃいました。
加賀美:確かにそれに近いですね。あと明確なテーマというわけではないんですが、当時いい意味での“強迫観念”がありましたね。
――と言いますと?
加賀美:「やるからには絶対にナメられたくない!」みたいな(笑)。イベントを開催するにあたって「VTuberのイベントってこんなもんか」と思われちゃったら終わりじゃないですか。
――メンバー・スタッフともども気合十分だったわけですね。難しい質問かもしれないですが、今振り返ってみて大阪城ホールでのイベントを自己採点するなら何点をつけますか?
加賀美:今振り返っても100点満点で119点ぐらいつけられると思います。
不破:高いな(笑)。じゃあ俺は95点で。
プロデューサー N:(笑)
プロデューサーから見たROF-MAOは「誰がどんな立ち位置を担っても輝くユニット」
――では、今伺った1stライブの振り返りを踏まえて2ndライブについて詳しくお聞きしていきます。加賀美さんと不破さんは2ndライブにおいて個人的に抱いている目標などはありますか?
不破:演出とか総合的な見どころについてはみんなでいろいろ考えていて、「当日のお楽しみ」と言いたいところなんですけど、個人的にはメンバー間の連携がよりよくなったので、そこに注目してほしいですね。付き合いも長くなっているので、深みが出るといいなと思ってます。
プロデューサー N:リハーサルを見ていると、1stライブのときよりもお互いのパフォーマンスにアドバイスをし合う場面が増えていて、そこがスタッフとしては印象的ですね。
加賀美:そうだったのか。これはちょっとうれしいことですね。
不破:確かにそこは変わってる気がする。
加賀美:さっき1stライブに120点じゃなくて119点を付けた理由なんですが……。1stライブを見返したときに、なんと言いますか……「私はしゃべる立場」というイメージが固定されちゃったように感じたからなんです。それと、1stライブのハイライトがいくつかあったとしたら、私に関連する場面を取り上げていただくことが多くて。
これは、ステージに上がったときのタレント性という点で私が一番目立っていた、という意味では決してないんです。ステージ上での輝きは4人とも等しく放っている中で、イベントとしてアイコニックな場面が少し私に偏ってしまったなということです。ですからそこがメンバー間でもう少し均等になったらよりよかった、と感じたので119点にしました。
――なるほど。
加賀美:そういう気持ちがあったので、これまで以上にメンバーに「こうするとどうかな?」と意見をさせていただく機会が増えたんじゃないかと感じています。
プロデューサー N:「ろふまお塾」など、ROF-MAOとしての活動の中で当時加賀美さんが司会のようなことを担当していただくことが多くて、その流れを1stライブのステージに持っていってしまった部分があったなと感じています。でも最近だと「ろふまお塾」で不破さんがトークを回す回がすごく面白かったりもしますよね。
加賀美:そうですよね、すごく面白いですよね!
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プロデューサー N:ですから、ROF-MAOは誰がどんな立ち位置を担っても輝くユニットになってきているなと感じています。
――前回のインタビューでは『MOMENTUM』制作に携わったスタッフが「音楽面での皆さんの表現力が上がってきている」と話していましたが、アーティストとしてだけでなく、タレントとしても日々レベルアップされているんだなと思いました。ちなみに加賀美さん個人は2ndライブでの目標はありますか?
加賀美:これはかなりうがった見方なのですが、1stライブの満足感は「ROF-MAOの全部を詰め込んだ内容にする」という、私たちもファンの皆様もお互いに安心できる内容だったからお届けできたものだと思っているんです。「ROF-MAOはこういうものだ」という親しみがあって、“外さない”選択肢ですから。そのうえで2ndライブの目標をお話しするとしたら、2ndライブはある意味で皆様が予想してなかったであろうものをお見せしたいと思っています。「ROF-MAOのライブでこういう体験もしていいんだ」と思っていただけるような。
こういう言い方をすると「なんだかものすごく変わったことをするんじゃないか?」と変な期待値の上げ方をしてしまうかもしれないんですが……。「こういうものが見られるだろう」と事前に期待していたものとはちょっと違う体験をお届けできたらいいなと思っています。
――なるほど。Nさん、スタッフとしての目線から何か補足はありますでしょうか?
プロデューサー N:今加賀美さんがおっしゃっていたように、スタッフ間でも「1stライブと同じアプローチでは昨年を超えられないよね」という思いがあり、ステージやライブというものに対する考え方を少し変えてみませんか?とメンバーの皆さんにご提案させていただきました。
1stライブではステージの大きさがテーマでしたが、そこにこだわり続けると表現がステージという型に縛られてしまいます。そこで、今回は従来のVTuberライブの型にできるだけとらわれずにROF-MAOの音楽に向き合い、彼らの音楽を空間全体で分かち合えるようなライブ作りを目指しています。ステージへの考え方を変えたことで、1stライブとはまた違ったROF-MAOの個性をお見せできると考えています。
「2ndライブをやるならこれしかない」練りに練ったセットリストで挑む
――ちなみに、ライブそのものがどういう段取りで準備が進められるのか、演出プランがどのように決められていくのかをこの機会にお聞きしたいんですが、ROF-MAOの場合はどのようになっているんでしょうか?
プロデューサー N:「次はこれぐらいの時期にライブをしませんか?」という大きい枠組みのご提案は、我々スタッフからライバーの皆さんにしています。候補になっている会場ごとの特色や、「新しくこういう演出ができるようになりました」というご紹介、ライブのコンセプトなどはスタッフ側からお話しすることが多いです。
ROF-MAO 2nd LIVE - Limitlessキービジュアル
――だいたいの開催時期やコンセプトが決まったあとは、具体的にセットリストや演出について話を詰めていく段取りかと思いますが、ライブの中でやりたいことについてはライバーさんたちにもご意見を募るんでしょうか?
プロデューサー N:そうですね、スタッフ側から提案することはもちろんですが、特にROF-MAOの場合はメンバーの皆さんからご意見をいただくことも多いです。
――加賀美さんと不破さんはそういうときに積極的に意見を出すほうですか?
不破:社長はけっこうコメントしてくれていると思うんですが、ライブについてはスタッフさんが考えたものをすごく熱心に提案してくださるので、俺は逆にその提案に乗っかることが多いなと思ってますね。マジで熱量がすごいんで。 「よし、そこまで言うなら!」という感覚に近いです。
加賀美:そういうときもけっこうありますよね。でも今回、セットリストはかなり練らせていただいたと思っています。たぶん今までのイベントの中で一番たくさんセットリストのバージョンがあったような気がしていますね。
――いつものライブですと、セットリストはどのように決めていくんでしょうか?
プロデューサー N:最初のセットリスト案を決めたあと、曲と曲の繋ぎを考えて「こことここは入れ替えよう」とか「繋いでみたらちょっと違ったので変えよう」というような話をしています。今回は特にスタッフとライバーの皆さんでかなり相談を重ねました。
加賀美:できあがったセトリを見ると「もうこれしかないんじゃないか」感はあります。
不破:うん。2ndライブをやるならこれだな、っていう感じです。
予想を上回る2ndライブであの日の自分たちを超える!
――詳しい演出などについては当日のお楽しみ……ということになると思いますが、皆さんから現時点でのアピールポイントをお聞かせいただけますでしょうか。
不破:“新しさ”ですかね。具体的にどこ、と説明するのが難しいですが、全体的に1stライブとの差別化を意識しています。
プロデューサー N:先ほども触れたように、「今までとはちょっと違う方法で1stライブを超えよう」というのは我々スタッフ側の提案によるところが大きいんです。加賀美さんのお言葉を借りると「ナメられたくない」という思いになってしまうんですが、ライブを通じて、ROF-MAOはもちろん、にじさんじのエンタメの素晴らしさをもっと多くの方に知っていただきたいと思っているので、スタッフとしてはやっぱり予想を上回るものを作りたいんです。VTuberをまだ知らない人が見ても「かっこいいアーティストのライブだね」と評価してもらえるぐらいの内容を目指して、いろいろと試行錯誤を続けています。
また、VTuberのライブ会場は今後もどんどん規模が大きくなっていくんだろうな、という期待はありつつ、会場のサイズが大きくなることで、お客さんとライバーの心の距離まで離れてはいけないとも思っているんです。だからこそ会場の規模で驚いていただくだけではなく、空間全体でライバーのパフォーマンスを楽しんでもらえる演出にこだわりたいですね。
加賀美:2ndライブでお見せしようとしている“ROF-MAOの新しい側面”って『MOMENTUM』に収録されてる音源と密接に結びついてるかなと感じていて。というのも、『MOMENTUM』の曲を初めて聴いたとき、今までの活動の中で自分が「これが『ROF-MAO味』の曲なんだな」と思ってたものからは外れた曲が多かったので、ちょっとびっくりしたんですよ。ファンの皆様の期待を裏切るかどうか本当にギリギリのラインを攻めたかもしれないと少し思っていました。
直近で発表した音源がそういうものである以上、ライブの世界観への影響も無視できないわけなんですが、逆にこのライブ自体がある意味で新曲のようなものですね。だから思考停止に他ならないかもしれませんけど、見どころは「このライブの空気自体」なのかもしれないなと思ってますね。
『MOMENTUM』初回限定盤Aジャケット
プロデューサー N:なるほど……。2ndライブ自体が新曲という表現が自分の中ですごくしっくり来ました。
不破:『MOMENTUM』の曲はけっこう攻めてるよね、って俺たちの中でまことしやかに噂になってましたよ。
加賀美・プロデューサー N:(笑)
不破:今までのROF-MAOの曲ってストレートな表現のものが多かったので、『MOMENTUM』は切り口自体が新しいアルバムになってたなと思ってますね。やっぱり新しい曲を出したらライブでやりたいじゃないですか。だから新しい曲をやることを前提にセトリだとか演出だとかを考えていくと、結果的に『MOMENTUM』の雰囲気を背負ったライブになると思うので、2ndライブでは総合的に変わった部分を見ていただきたいですね。シンプルに雰囲気が違う。
加賀美:そう、雰囲気が違う。
――見どころはすべて、ということになりますのでファンの皆さんは一瞬も目が離せないものになりそうですね。それでは最後に、当日に向けての意気込みをお願いいたします。
加賀美:ライブを重ねるごとに会場の規模が大きくなっている、という事実はしっかり心に刻んで本番のステージまで気持ちを作っていきたいなと思っています。ちゃんと7月20日にピークを合わせて、あの日の119点を超えたいなと思っておりますので、よろしくお願いします! 240点取りに行きます!
――ありがとうございます。不破さんはいかがですか?
不破:130点を取る。
加賀美:私と不破さんで評価ポイントが違うのかもしれない。
不破:(笑)。でも正直、1stライブの出来がよすぎたので「ハードルが高いな」と思ったりしているんですが、やっぱりあの日を超えたいですね。楽しみにしていてください。