“無人島”ですべてが決まった──
──番組を始める際に目指したコンセプトや方向性を教えてください。
番組プロデューサー・中村(以下、中村):実は私は「ろふまお塾」が始まってから入社して、その後担当になったのでディレクターから聞いてみたいですね。Dさんは最初からですよね?
番組制作ディレクター・D(以下、D):そうですね。具体的にこういうビジョンを持って始めた、というよりも、僕はまず最初に番組ディレクターとして「無人島で撮ってください」というお題が与えられたんですよ。そこからもうがむしゃらにやったんですけど、基本的に目指したものは、テレビレベルのクオリティに近い番組作りというところでしょうか。
そもそもなんで「無人島」というお題だったのか、というところなんですけど、これは僕も当時の偉い人から聞いた話なので、もしかしたら厳密には齟齬があるかもしれないんですが……。前段として「新ユニット結成というニュースを、最もインパクトのある形で伝える」というお題があったらしいんです。そのためにはなんの企画がいいんだっていう議論があって、紆余曲折あった中で「VTuberが無人島に行くって聞いたことも見たこともないよね」っていうところから、無人島になったようです。しかも4人は一切何も聞かされない状態で、突然無人島ロケに行かされて寝食をともにする。
その後にいきなり4人でユニット結成しますっていう大ニュースが発表されるというストーリーになっていて。本人たちだけでなく、それまでのファンの方々はかなりびっくりされたと思います。その驚きや衝撃を目指していたというのが、あの無人島企画だったんです。
「【ガチ】無人島サバイバル生活ってマジ?力を合わせて生き延びろ!#にじさんじ無人島」より。
「ついに無人島脱出!? サバイバルで奇跡の食事!#にじさんじ無人島」より。
──その番組の始まった背景を踏まえて、ROF-MAOの皆さんの視点では当初どのようなものを目指していらっしゃいましたか? ユニット結成後(無人島企画後)のお考えで結構ですので、ぜひお聞かせください!
不破湊(以下、不破):普段からメンバーのみんなは、とにかく面白さを考えてますね。僕は割と「なるようになれ」タイプというか、何がウケるかわからないからこそ、どうなるか分からない企画でもなんでもやってみたいという派閥なんですけど(笑)。同じ面白さを考えるにしても、社長とかは特に、あまりそういう挑戦リスクを負わずにどうにか面白いものを作れないか追求してるのかな?
加賀美ハヤト(以下、加賀美):そうですかね?(笑)
剣持刀也(以下、剣持):Dさんには届いていたかわからないんですけど、僕は割と発足当初の段階に、当時のプロデューサーとか上の人に「優しくしなくていい」と話しましたね。Dさんは元々Abemaでやってたにじさんじの番組のスタッフさんだったんですけど、当時にじさんじライバーが他メディアへ出演する際、演者がとても甘やかされていたんです。まあ優しくしていただいてたということなんですけど(笑)。
それの延長線上なのか、その番組で僕が電流を流されることがあったんですけど、全然強くなくて。素人だから優しくしてくれたんだなと当時の僕は解釈したんですけど、それはやめようっていうのは「ろふまお塾」の初期段階で僕は言ったかなって思います。
D:今の話は僕に届いてました!
剣持:あ、本当ですか? 届いてたんだ、よかった。
D:本気でやりたいっていう話をもちさんがおっしゃっている、っていうのは聞いてました(笑)。本当にバラエティをやりたいって。
剣持:そうですね。素人さんとして優しくするのはもうやめて、ちゃんと演者として1つのバラエティを作ろうみたいな意識を伝えました。
出演するメンバーが全員男性でそこに僕を呼んだっていうなら、僕も媚びるわけにはいかないから体を張りたい。「ちゃんと嫌なことは嫌なこととして味わいたい、優しさは捨ててね」ということを言いました。
中村:Dさん、無人島の話といえば、「New street, New world」の音源が届いたときのこと聞かせてくださいよ!
D:ああ(笑)。無人島回の編集はやっぱり、僕のディレクター人生においてもかなり難しい部類に入るお題だったんですよ。そんなときに「これがろふまお塾のテーマ曲になります」と「New street, New world」の音源が届いたので聴いていたら「誰も誰も今は知らない 予感信じてしまえ 日々を変えるための道を探せ」とか「どこに向かってるんだよとかもさ その先に何があるんだよとかもさ 問いかける間ももったいないじゃん」とか、その歌詞が僕個人にすごく刺さって……。すごく勇気づけられながら編集をしていたんです。そして最後の「we have 志」っていうところに、自分はこのろふまお塾を続けていく、番組をすごく真剣にやっていくんだ、って覚悟を決められたというか、その意志をしっかり持てた……ということがありました。
「ついに無人島脱出!? サバイバルで奇跡の食事!#にじさんじ無人島」より。
剣持:めっちゃいい話!
甲斐田晴(以下、甲斐田):何そのエピソード! この3年ずっと隠してたんすか!?
加賀美:絶対もっとほかにあったでしょ、我々に言うタイミング(笑)。
D:いやー、4月の大阪ライブ(ROF-MAO 1st LIVE New street, New world)の打ち上げでお酒を飲んでいたとき、何人かにこの話をしたら「いいじゃんその話!」って言われて(笑)。
中村:私がその飲み会でこれを聞いて「この話はどこで出そうか……」と思ったので、この場で(笑)。
加賀美:聞いた瞬間にステージを探っちゃうんだ(笑)。エピソードが出た瞬間にどこで出すかそんな探らなくていいでしょ(笑)。
不破:ナイスボールですね。
中村:それと私はANYCOLORに入社したのが、「ろふまお塾」が始まったすぐ後くらいなんですけど……実は私、無人島回を見てANYCOLORに入ろうって決めたんですよ。
剣持:えー!
不破:まじか(笑)。
中村:にじさんじ自体は元々見てたんですけど、やっぱり無人島が衝撃で(笑)。当時私はテレビ局で働いてたんですが、「こんなことできるんだったら、なんでもできるじゃん!」って思ったんです。
今のにじさんじは、VTuber業界の中でもここまでいろんなことができるんだなって思って、すぐにANYCOLORの求人を見て応募したんですよね。無人島を見て本当に感動して、こういうところで働きたい!って思ったので、そういう意味では無人島チルドレンです(笑)。
剣持:すげー!(笑)
中村:だから無人島での皆さんのがんばりとかいろんなことが、こうして今につながってるんじゃないかなって思っています。皆さんが無人島でがんばって、Dさんが編集して、「New street, New world」があって。あのスタートが、今の「ろふまお塾」にも脈々と受け継がれているような、息づいてるような。
甲斐田:変な話、無人島で「ろふまお塾」全体のコンセプトと方向性が決まったのかもしれないですね。
不破:確かにそうかも。
「【ガチ】無人島サバイバル生活ってマジ?力を合わせて生き延びろ!#にじさんじ無人島」
企画会議から、ROF-MAOもスタッフも本気で臨む
──普段「ろふまお塾」はどのような流れで作られ、毎回視聴者の皆さんのもとに届いているのか、制作の裏側をお聞かせください。
番組制作ディレクター・中津(以下、中津):ROF-MAOの皆さんには毎週参加していただいてる番組の定例会議がありまして、そこでまずスタッフ側で考えた企画を提案させていただき、皆さんから意見をいただいてブラッシュアップします。そうして整えた企画で毎回収録を行っている感じですね。逆にメンバーから企画をご提案いただいて実施することもあります。
収録した後は編集に入るんですが、編集した動画は基本的によっぽどの確認事項がない限りはROF-MAOの皆さんに見せてはいないです(笑)。そういった流れで視聴者の皆さんにお届けしています。
甲斐田:ちなみに、我々に唯一確認が行われたのは、泥酔回でした。
一同:あはは(笑)。
中津:確かに(笑)。
加賀美:逆に言えば、あそこまでやらないと確認されない(笑)。
──それ以外は、本当に事前確認なくオンエアだけを見ているんですね。
甲斐田:そうです(笑)。
剣持:スタッフさんの編集をかなり信頼しているから。それこそ確認したいのは「めちゃくちゃ酔っ払ってる自分が信頼できないから念のため見る」くらいのことで、それ以外は本当にどうなってるか確認もせず実際のオンエアを楽しみにしています。
「【ガチ泥酔】剣持刀也持ち込み企画!オトナたちが徐々に酔っ払っていく姿を観察したい!」より。
──そんなROF-MAOの皆さんの視点では、番組作りはどのように進みますか?
加賀美:最初は企画会議で「こんなのどうですか?」っていう提案の話があって、演者側で微調整させてもらいますね。演者側の仕事として、そこが大きいかもしれない。
具体的には例えば「〇〇王」とかですね。順位がどうとかというよりも、そもそもそれって競うものなのか、とか(笑)。ものによっては、オチに向かっていくにあたって、この企画だとどこに着地していくのかわからないってこともあって。
甲斐田:王がすげ替わるときあるよね。
加賀美:そうそう(笑)。例えば餃子のタレ最強のやつとか、ドローン飛ばそうのやつとかもそうなんですけど、行い1つとっても見やすさとかオチのつけやすさみたいなものとかがあるので、それをこっちで調整させてもらうみたいなことをしたり。演者とスタッフ側とのすり合わせをするっていう、そのあたりまで含めて企画会議の微調整ターンは大きいと思っています。あとは当日までひとネタ考えておいて集まるって感じですよね?
甲斐田:大喜利企画系は我々が持ち寄るタイプなので、自分たちで用意してくることが多いですね。それこそ今の社長の話で言うと、「〇〇王」とか「〇〇を競う」みたいな企画のときに「これだとオチが微妙な気がするので、方向性変えて『〇〇王』にしませんか?」みたいな話もします。
「【泥酔の思ひ出】笛の音を出さないよう耐えろ!ろふまお冷静王!!」
中村:番組側からの目線で言うと、今加賀美さんは「微調整」って仰いましたが、微調整なんてことはまったくなくて、皆さんからかなり意見をもらいながらアレンジして形になっている企画は多いです。そういう意味で、皆さんの「(オチや全体像が)この企画は見える・見えない」のジャッジがすごく鋭いといつも感じます。
加賀美:そうだったのか。
中村:いや本当に(笑)。しかも皆さんどなたも言語化が上手いんですよ。「これ面白くならなそうだよな」みたいななんとなくのフィードバックはまず飛んでこない。「ここは面白いと思うけど、この部分はもう少しこうした方がいいと思う」とか、「自分はそこをこうした方がやりやすい」みたいな具体的な意見を、皆さんがそれぞれ持っていて、しかもちゃんと言ってくださいますね。それで企画のクオリティが上がってる印象があり、収録への不安がなくなっています。
甲斐田:ちなみに、もちさんのアイドルドッキリ企画のときは、未だかつてないくらいの熱量で意見出しが行われたような気がする(笑)。
加賀美:あれはちょっとプロジェクトX寄りでした(笑)。
剣持:そうだったんだ(笑)。
甲斐田:プロジェクト寄りでしたねー。
中村:そもそもこれだけ丁寧に演者とスタッフでいろんな企画を打ち合わせしていることは、視聴者さんは全然知らないと思うんですけど。
でも、ドッキリ企画に関しては、ターゲットには本当に内緒で打ち合わせしています(笑)。全員での打ち合わせが一旦解散した後に、ターゲット以外がもう一度こっそり集まって、ドッキリ部分の話をしたりとか。
甲斐田:ダミー台本あるからな。
加賀美:そうなんだよな(笑)。
不破:騙すための偽台本ね。
中村:我々もドッキリの企画が入ってるときの打ち合わせとか、かなり緊張感がありますよね。
D:常にドキドキですね。企画会議のときから本番までずっとドキドキしてやってます、僕は(笑)。
「【アイドル】without 剣持の真相!番組史上最も壮大なドッキリ…!?」
3年間の積み重ねが、老若男女問わず受け入れられる。最新の“面白い”を作っている
──「ろふまお塾」を制作するにあたって、大事にしていることがあれば教えてください。
D:先ほど中村さんが言っていた、4人の企画に対する言語化やジャッジのところでしょうか。我々としては4人のそういった企画の面白い、面白くないの感覚を信じてやっています。
今まで積み上げてきたからこそ信じられる、と思うんですけど、我々はROF-MAOの4人がどう感じるかを一番大事にしています。それこそ会議の場で「これはあんまり面白くないね」と具体的な意見が出なくても、「ここは面白いね」みたいな意見が少なくて、なんとなく4人の反応が微妙だと感じる時があったら、NGにはなってないけどこっちで落としちゃうこともあります。
中津:あとは、ちょっと言い方が難しいんですけど……。皆さんライバーということで、言ってしまえばアイドル的な輝きを持っているからこそ、「世代や性別関係なく楽しんでもらえるようにしよう」と気を付けています。ライバーのカッコいいところ、輝いているところばかり見せるんじゃなくて、なるべくどの出演者にもいい意味でおいしく恥をかいてもらう、みたいな(笑)。そういうところは番組を作るうえで意識していますね。
中村:「ろふまお塾」含めて、にじさんじの公式番組や公式企画などで大事だなと思っているのは、やっぱりにじさんじの入口になれるという部分。例えば家族や友達に見せたときにもわかりやすく楽しんでもらえたりするような、見やすい企画、編集とか……。
ROF-MAOを誰かに勧めたいときに、「これ見てみて!」ってオススメしやすい、そして勧められた側も見やすいコンテンツでありたい、というところは意識しつつ作っています。
「【日本縦断】砂丘vs廃村!サイコロ旅で東京へ帰れ!…ってマジで言ってます!? #ろふまお全国行脚」
──逆にROF-MAOのみなさんは、出演されるときに大事にしているところはありますか?
甲斐田:オチかな?
不破:自分の役割をしっかり全うする。
甲斐田:それもあるね! それぞれがちゃんと1本の番組の中で一番最後どこに着地してどう終わるのか、って考えてるかなと思います。ねっ、剣持のアニキ?
剣持:えー?(笑)
甲斐田:違うって。
剣持:いや、そんなことない、そんなことないよ(笑)。まあ、我々はユニット活動していて顔がいい4人組なので、そういう見た目の感じでアイドル的に売れちゃいそうになるのを食い止めるって意識はありますね。
でもそれは中津さんも先ほどおっしゃっていたように、「ろふまお塾」においても意識してくださっていて、だからこそ痛みを伴ったりすることもあるんですけど(笑)。僕的には気楽にできている番組ですね。気負わず楽しみながらやっています。
でも個人的に気を付けているのは、前のインタビューの話にもなるんですけど、我々がろふまお塾を毎週継続できているのは、そんなスタッフさんたちと二人三脚だからこそなんですけど、裏を返すと継続してしまうんですね。
ROF-MAOインタビュー 衝撃の無人島企画から3年、彼らの現在地
剣持:我々がどんなことをやろうとも、必ず世に出てしまう、しっかりと物ができて公開されてしまうので、なんか雑にやったとしてもそれはそれで形になって世に出されてしまうんですよ。だからこそ雑にやらないように、後悔しないように、しっかりこだわってやり切らないと、それが形になって出てしまうぞというのは意識しています。
正直当たり前のことなんですけど、VTuberがこだわるあまり頓挫することもそれなりにある中、「そうではない現場だぞ」「ここは中途半端でも出てしまうぞ」っていう意識を持ってます。上手くいかなかったは一度立ち止まって「もう1回いいですか?」って納得するまでやらないと、後悔してしまうぞという気持ちがあります。
中村:毎週番組ならではのスピード感ってありますからね。
剣持:そうですね。頻度も多いですし、1日6本撮りとかあったりする中で、やっぱり尺も限られているわけで。そういう中でも、止めなきゃいけないときもあるし、こだわりを出していかなきゃいけないときがある、っていうクリエイティブの難しさはあります。
ただ今のところは、ずっと楽しくやりながら、いい物ができてる実感というか自負というか……みんなで作りあげていくものだからこそ、そういう確信はあります。
甲斐田:もちさんのその話の後で、僕はクソしょうもないこと言っちゃうんですけど……収録前日の夜はちゃんと寝る、っていうのを徹底してますね(笑)。
加賀美:大事!(笑)
剣持:一番大事だよ(笑)。
甲斐田:これを徹底することが、番組の中での受け答えやパフォーマンスのクオリティを非常に激しく左右すると言われる……(笑)。たぶんこれはこの数年で、すべての関係者が学んでいる気はするかな(笑)。
加賀美:私は挙げるとしたら、ワイプにされることを意識して言葉を選んでるってところですかね。生配信との大きな違いってそこだと思ってるんですよ。例えばそのワイプのシーンがサムネになったりスクリーンショットでネットに回ったりとかがあるので、そこできちんと面白いって思われるような言葉選びを意識してますね。
──ちなみに番組を3年もの長い間続けてきた中で、そういった皆さんが大事にしていらっしゃるものに気付いたタイミングや、番組に対する向き合い方や意識が変わったタイミングなど、ご自身の中でターニングポイントとなった出来事はありますか?
加賀美:それで言うと、ワイプを意識するようになったターニングポイントは初期の頃かもしれません。アクション修行だっけ?
剣持:僕もそこ言おうとしてた、転換期。
甲斐田:カッコいいやられ方選手権かな?
不破:あれがターニングポイントなんだ。
「レジェンドスタントマンが教える!カッコいいやられ方選手権!」
加賀美:もしかしたらその中でも、ちょっとそれぞれ別の部分かもしれないけど(笑)。そのときのひとネタで、剣持さんが時代劇的に斬られて倒れるっていうアクションを上手くやってみようってことがあって。
剣持さんがめっちゃしぶとく、なかなか倒れない中、私が「息絶えなさい早く!」って言ったんですけど、それがデカデカと出てなんかウケたんですよ。それで「そうか、そういう魅せ方あるのか」と思って。
配信とは別のひとコマの見え方があることを知って、そういうポイントが多ければ多いほど見やすくて面白い動画になるのかもしれないと意識するようになりました。
剣持:僕も、それこそさっきの「ちょっとやり直したいな」って思ってやり直しをお願いしたのが、その回が初めてだったんですよね。普段は、あんま録り直しとか言うのもどうなのかとも思っていたけれども、たまに司会シャッフルしてみようみたいなことをやってて、この収録回は僕が司会だったんです。自分が司会だと周りに気を遣わないでいろいろ言いやすかったからか、「ちょっともう1回いいですか?」と初めて言ったんです。
でもこのときの収録、そのせいでめっちゃ長引いたんですね。でも結局やりたいことができた実感があったので、受動的に番組に乗っかるだけな時代から、全員で作り上げていく時代になったのが、この回からな気がします。
「レジェンドスタントマンが教える!カッコいいやられ方選手権!」より。
甲斐田:僕の場合は、元々あんまり触れてこなかったこともあり、バラエティに強い人間ではなかったので、やってるうちにだんだんと周りの動きを見て覚えていきました。
だから大きな転換期があったかというとそうでもなく、グラデーション的に意識が変化していきました。どちらかと言えば、明確なターニングポイントがないかわりに、この半年か1年くらいでにじさんじ内の別のバラエティに出させていただく機会も増えて。そういった現場でバラエティ的な要素があった時に上手く立ち回れて、「『ろふまお』でいろいろ吸収できてたみたいだな~」という気付きがありました。
不破:僕もここで変わりましたみたいなキッカケのタイミングはなくて、数こなして気付いてきたみたいな感じですかね。みんな動画内でやりたいことがいろいろあるんだなというのが見えてきて、個人としてではなく全体を通してどう動画を作るかというのを考えるようになりました。
──制作側ではそういったターニングポイントはありますか?
中村:自分も甲斐田さんや不破さんと同じく転換期みたいなものはなくて、1回1回やるごとに少しずつ積み上がっていく実感があったり、ちょっとずつやれることが増えていくという感覚がありました。
D:それはそうですね。
中村:例えば、不破さんのタイムリープドッキリとかは、たぶん最初の頃だったらやらないし、できないじゃないですか。これは信頼の積み重ねもありつつ、お互いのことがわかってきたからこそ、どんなことが起こるか分からないギャンブル的な側面があってもチャレンジができたって感じで……やってみたら、やっぱりとんでもない結果になりましたが(笑)。
「【天然炸裂】何度も同じこと繰り返したら不破湊はタイムリープを信じるのかドッキリ!!」
中津:誰も結末見えてなかったですよね(笑)。
中村:そうなんです。あんなことになるって我々も含めて誰も思ってなかったですよね。だからやっていくうちに、こういうこともできるんだってなっていったので、どこかで大きく変わったっていうよりは、1回1回重ねることでどんどんいろんな面白いことが見えてくる……みたいな積み重ねなんじゃないかな。
「【天然炸裂】何度も同じこと繰り返したら不破湊はタイムリープを信じるのかドッキリ!!」より。
まだまだやりたいことがある
──今後も「ろふまお塾」を続けていくにあたって、今皆さんが目指したいもの、挑戦したいもの、やりたいことがあれば教えてください!
中村:不破さんのタイムリープドッキリが印象的で、スタッフ一同もあの年で一番笑ったっていうのをずっと言ってて(笑)。本当に笑いをこらえるのが大変だった企画なんですよ。
だから、ああいったすごいホームランみたいな、予想を超える可能性を秘めた企画は常に仕掛けていきたいって思ってます。そしてやっぱり無人島に次ぐROF-MAOの代名詞みたいなものを作れたらいいなって常々思っていて、何をやろうかって制作陣でいつも話していますね。
中津:やっぱりいつかマグロ釣りたいなと思ってます!
甲斐田:間違いない(笑)。
加賀美:ちょっとリベンジしたい(笑)。あとGT(ロウニンアジ)釣りたいんですよ、私。
剣持:あったなー。
中津:そのへんひっくるめて、ちょっと釣りはどこかでリベンジしたいですね。
「【ご褒美】綺麗な海に美味しいご飯!みんなで最高の旅行をしよう!!#ろふまお一攫千金旅」
甲斐田:そうですね。実はあれ以外にも釣り失敗してるからな、実は(笑)。
中津:配信とかでもそれ言ってないですよね?
甲斐田:言ってないです。完全ボツになった回があるという……(笑)。
加賀美:あんなに面白いのに(笑)。
中村:ちなみにボツになった理由ってなんでしたっけ?
不破:強風とかじゃなかった?
甲斐田:危ないからです(笑)。
剣持:強風で逃げないといけなくなって、船からみんなで大脱出した。
加賀美:そう考えるとやっぱり私は釣りリベンジだなー、今GT以外考えられない(笑)。
剣持:そんなことある?(笑)
不破:あ、僕やりたいのあった。北海道に行って、熊退治。
加賀美:あーいよいよ免許か~(笑)。
不破:僕、熊の動画見るんすよ。熊ってめっちゃ怖くて……知ってます?
加賀美:知ってる(笑)。
不破:ハブやるんだったら熊行ってもいいっすよ。
加賀美:なるほどな。
甲斐田:本当に死ぬ可能性があるので、嫌です。
一同:あはは(笑)。
中村:最後にDさんの話も聞いてみましょう(笑)。
不破:でもDから聞いたらネタバレになっちゃうんじゃない?
D:そうなんですよ。それがあるので概念的なお話だけすると、これまでもこれからも見てる人を笑顔にできる番組でありたいよなっていうのは常に思ってますね。
ROF-MAOのみんなが楽しそうに笑ってたり、痛かったり大変だったりする笑顔でがんばってる映像があるから、木曜日はろふまお塾があるから、自分もがんばろうって思ってもらえたり……そういう番組にしたいというか。
視聴者の笑顔や活力の源になる、そんなものを目指したいと思ってます。一応具体的な目標を1つだけ言っておくと……いつか4人とコンビニに行く感覚で、ウユニ塩湖に行きたいです。
剣持:おー!(笑) いいねぇ。
加賀美:行きたい。
D:みんなで感動して泣きたいんです。
加賀美:そうだったんだ。
甲斐田:熊とかいいんで、そういう平和系でありたい(笑)。
不破:あんま俺泣いたことないんで、泣かせてほしいっす。
中津:本当ですか?(笑)
加賀美:不破湊を泣かそうの回、やっちゃう?
甲斐田:いいなー。
不破:以前、月ノ(美兎)さんの企画のときに不発しました。
剣持:「泣かないと出られない部屋」で一度死亡したんだ(笑)。
不破:そう、泣けずに死んだから。どうか一つ、よろしくお願いします。
取材・文:株式会社KADOKAWA 大竹卓 監修:ANYCOLOR MAGAZINE編集部