2月23日(日)10:00 謎ノ美兎との邂逅
神出鬼没で傍若無人――。会場内を自由に歩き回る“謎の”存在として、いつしか「にじさんじフェス2025(以下、にじフェス2025)」の風物詩と化した謎ノ美兎とANYCOLOR MAGAZINE取材班が遭遇したのは、フェス3日目の午前中だった。スタッフとともに展示エリアに向かおうとしている謎ノを発見し、取材班が取材の許諾を取ろうとすると、スタッフは「問題ありませんが、“スピード感”があるので気を付けてください」と語る。スタッフの傍らで、表情が読めないまっすぐな瞳をこちらに向ける謎ノ。取材班が“スピード感”という言葉の意味を知るのは、それからわずか数秒後のことだった。
月ノ美兎1st Mini Album「310PHz」のポスターを手にした謎ノは、展示ホールに入るなり軽快に駆け出し、アトラクション待機列のファンが持っているグッズをイジる、スーツケースを奪おうとするなどやりたい放題。カメラで捉える隙もなく颯爽と走り抜ける謎ノを追うため、自然と足早に会場を横断することに。謎ノの行く先には常に人だかりができあがり、あちこちで悲鳴があがっていた。確かに強烈なスピード感で自由気ままに会場を翻弄する謎ノに振り落とされてしまった形の取材班。会場を離れ、カメラを確認するとこんな写真が残っていた。
取材班のカメラが捉えた謎ノ美兎。
2月23日(日)11:00 夢の大舞台当日を迎えたVOLTACTION、本番直前の彼らの様子は?
昨年7月に公開された「Documentary of VOLTACTION『150 Days』」は、VOLTACTIONメンバーが「NO.1ダンスユニットになる」という夢に向け、150日間をかけて課題と向き合う日々を追ったドキュメンタリームービー。その中で彼らは試練を突破し、アルバム制作そして1st LIVE “Dynamic VOLT”の開催という大舞台に立つチャンスを得た。
いよいよ本番当日、ゲネプロの場に現れた彼らはいささか緊張した様子ではあるものの、1曲1曲丁寧にリハーサルを重ね、スタッフとコミュニケーションを取りながら調整を続けていく。すき間の時間が生まれれば即座に振り付けを確認するメンバーも。早くも本番かのような熱の入れようではあるものの、メンバー間の明るいやり取りに場が和む様子も見られた。ゲネプロ終了後、彼らの晴れ舞台を支えたイベントプランナーに話を聞くことに。
VOLTACTION 1st LIVE “Dynamic VOLT”ゲネプロの様子。
――ゲネプロおつかれさまです。仕上がりはいかがですか?
イベントプランナー S:めっちゃいいですね。メンバー全員がとにかく元気でやる気があるのが何よりもありがたいです。
――今回の企画の発端について、これは想像なんですけど昨年7月公開の「Documentary of VOLTACTION『150 Days』」を経て“Dynamic VOLT”が開催される、という運びですので、それを見越して準備が進められていたのかなと。となると、今回の「にじフェス2025」で行われるホールイベントの中でもかなり早くから準備が進められていたんじゃないかと思ったんですが、いかがですか?
イベントプランナー S:それでいうと、むしろ逆ですね。ドキュメンタリーの中の試験を終えたうえで、その合否によってライブが開催できるかどうかが決まりましたが、不合格だと本当にライブをやるつもりはなかったそうなんです。僕もその結果を受けて制作に参加することが決まったので、準備期間としてはかなり短かったんですよ。

VOLTACTIONインタビュー 「No.1ダンスユニット」を目指すVTuberが夢の舞台へ
――以前ANYCOLOR MAGAZINEでVOLTACTIONの皆さんのインタビューを行った際、ご本人たちもアルバムのスケジュール感について似たようなことをお話されていましたが、ライブも同様だったんですね。
イベントプランナー S:そうですね。そういう背景もあって僕もライブ担当として動き出しが遅くなってしまった部分もありましたが、本当にメンバーやVOLTACTIONチームの皆さんの力のおかげで、すごくいいものをお見せできそうだという実感があります。
――今回のステージ作り上げるにあたって、意識していたことはなんでしょうか?
イベントプランナー S:とにかく彼らのパフォーマンスありきのライブになるということが念頭にあって。バラエティパートを挟むライブもそれはそれとして1つの形だと思いますし、素晴らしいなと思うんですけど、VOLTACTIONとしては全編を通じてダンスと歌を全力でやり切ることを1番のテーマとして置いていました。だから、ダンスボーカルユニットとしての到達点っていうのを見せる、ということを意識しています。
――なるほど。そのテーマのもとに背景映像などもダンスが映えるものを、という意識で制作されたんですか?
イベントプランナー S:そうですね。VTuberのライブやMVなどでよく目にするようなモーショングラフィックを多用する方向よりは、例えばK-POPアーティストやダンス系のアーティストのライブなどで見られるような背景映像をイメージして作られたものが多かったです。
――確かにゲネプロを見学させていただいていても、シンプルでスタイリッシュな演出が多い印象でした。それでは最後に、ご担当者として本番への意気込みをお願いします。
イベントプランナー S:とにかくもう本当に彼らのがんばりに報いるために今日までやってきました。皆さんが伸びやかに歌ってダンスできるように、我々は全力でサポートするだけなので、4人のパフォーマンスにぜひ注目していただけたら。我々もそのためにがんばりたいと思います。
2月23日(日)13:00 ヒーローたちの雄姿に大歓声、サプライズ告知も
フェス開催期間の全日程で行われた「MECHATU-A スペシャルヒーローショー in にじフェス2025」は、佐伯イッテツ、赤城ウェン、宇佐美リト、緋八マナによるOriens、星導ショウ、叢雲カゲツ、小柳ロウ、伊波ライによるDyticaら、ヒーローたちの活躍を描くステージ。2月21日はOriens、22日はDyticaにスポットを当てたシナリオとなり、フルフェイスマスクを装着したヒーローたちの迫力満点なアクションが展開された。最終日はOriensとDytica全員が登場するとあって、ステージ周辺は開演前から大きなにぎわい。ステージとT字型の花道を目いっぱい使ったダイナミックなショーには盛大な拍手が送られ、終盤にはヒーローたちがショーの主題歌「MECHA-MECHA」に合わせて軽快なダンスを披露する場面も見られた。
ショーも無事終演と思いきや、ここでサプライズとしてOriens、Dyticaの3Dお披露目配信が3月から4月にかけて行われるという情報が解禁に。悲鳴のような歓声の中、涙ぐむファンの姿も多く見られた。「にじフェス」初のヒーローショーというだけでなく、フルフェイスマスクのデザイン、ヒーローたちのハイタッチ会などフェス開催前から大きな注目を集め、ファンに特別なひとときを届けたこのステージは、一体どのように作られたのか? 本番を終えてホッとした様子の担当者に、企画の発端や今の心境について聞いてみた。
「MECHATU-A スペシャルヒーローショー in にじフェス2025」の様子。
――まずは企画の発端から教えてください。ヒーローショー自体が「にじフェス」で初の試みだと思いますが、どういうきっかけから生まれた企画だったんでしょうか。
イベントプランナー T:この企画は「にじフェス2025」のために生まれた、というよりはもともと自分が「いつか大きいステージでヒーローショーを実現させたいな」と思っていたものなんです。ですから具体的にいつ生まれた、とご説明するのも難しいんですが、少なくとも1年以上はかけて制作しました。初めての企画ということで本番まで反応がなかなか読めず、厳しいご意見をいただくこともあるかもしれないと思いながら、試行錯誤して進めてきましたね。
――本日は3回目の公演となり、OriensとDyticaのヒーローたちが勢ぞろいする場で、合わせて3Dのお披露目決定もサプライズで告知されましたね。
イベントプランナー T:そうですね、こうしてファンの皆さんが集まってくださるタイミングでしたので、お披露目担当のチームから「『にじフェス2025』で告知しませんか?」とご提案がありました。
――イベント会場でライバーさんと一緒に3Dお披露目の告知映像を見る、というのも、現地にいらっしゃったファンの皆さんには特別な体験になったかと思います。
イベントプランナー T:ライバーさんたちもファンの皆さんの反応を生で見られたことを喜んでいらっしゃって、「(お披露目配信を)がんばろう!」と気合いが入ったそうなので、このサプライズは実現できてよかったなと思いました。
――多くの方に喜ばれたんじゃないかと思います。さて、Tさんがかねてより温めてきた企画ということで、こだわりもたくさん詰め込まれているのではと思うのですが、具体的に思い入れの深いポイントを教えていただけますか?
イベントプランナー T:まずはリアルヒーローさんたちがかぶっていらっしゃったマスクですね。ライバーさんそれぞれの個性をマスクに落とし込むために、ご本人たちにもしっかりとヒアリングさせていただいて作っているんです。例えば佐伯(イッテツ)さんでしたらゴーグルの部分を光らせたい、赤城(ウェン)さんは顔周りを恐竜の牙のようにギザギザした形にしたい、などご希望をいただいて、それをデザインに反映しました。星導(ショウ)さんはタコというモチーフをマスクで表現するのが少し難しくて、どことなくヴィランっぽい雰囲気になってしまうのですが、ご本人にも気に入っていただけたようでよかったです。
「MECHATU-A スペシャルヒーローショー in にじフェス2025」リアルヒーロー・Oriens
「MECHATU-A スペシャルヒーローショー in にじフェス2025」リアルヒーロー・Dytica
――マスクも反響が大きかったですが、フェス1日目・2日目にショーをご覧になった方々はリアルヒーローたちそれぞれの動きにも着目されていました。アクションシーンについてはどのように作り上げていったんですか?
イベントプランナー T:アクションに関してはそういったショーを作ることをメインにしている会社の領分だったのですが、ライバーさんたちのふるまいも個性として反映していただきたかったので、まず我々からライバーさんそれぞれの特徴をお伝えしたんです。それをもとに実際の動き方を考えてもらって、それにプラスして配信を見ていただくなどして、ライバーさんの要素を吸い上げて完成度を上げていただく、ということをしていました。
今回はあくまでも「ヒーローショーの世界線のライバーさんたちを作り上げる」ということが主題になっていたのですが、それと同時に配信で見られるような普段のライバーさんの魅力も要素として入れられたかなと。その塩梅に苦労した部分もありましたが、各所のプロの方々に助けていただいたことで、素晴らしいステージになったと思っています。
――その甲斐あって、最終日である本日のショーは3日間の中でも一番の盛況でしたね。
イベントプランナー T:本当にありがたいです。急遽スタッフさんを増員して列形成に当たる必要がありましたが、想定をはるかに超えた注目をいただきました。これは1日目と2日目の積み重ねがあって「ヒーローショー面白いらしいよ!」という口コミを広げていただいた結果だと思うので、とてもうれしかったですね。
――本当におつかれさまでした。それでは最後の質問ですが、本番を無事終えた今の心境をお聞かせください。
イベントプランナー T:先ほどもお話した通り、本当にチャレンジングな企画でしたので「どう受け止められるかな……」と、わくわく半分・怖さ半分という気持ちでしたが、最終的には思った以上に皆さんに楽しんでいただけましたので、実現できてよかったです! ライバーの皆さんにも「すごくモチベーションが高まった」とおっしゃっていただけたので、そういう意味でもがんばってよかったなと。そして可能であれば今後の展開も考えていきたいなという気持ちもありますので、がんばります。
2月23日(日)15:00 いよいよ本番、苛烈なダンス試験の成果をファンの前で披露
「にじさんじNo.1のダンスユニット」になることを目標に掲げるVOLTACTION。「Documentary of VOLTACTION『150 Days』」の中で行われたテストに合格した彼らは、初の大舞台となる1st LIVE “Dynamic VOLT”に向けてレッスンを重ねてきた。
VOLTACTION 1st LIVE “Dynamic VOLT”の様子。
そんなVOLTACTIONの輝く姿を見守るべく、会場には多くのファンが詰めかけた。ОP映像の終わり際、ステージ下から飛び出すように現れた彼らに、割れんばかりの拍手と大歓声が贈られる。1曲目は、1stミニアルバム「Action!!!!!!!!!!!!」のリードトラック「TAKE ACTION」。序盤からエンジン全開な4人のパフォーマンスに答えるかのように、会場の熱量が上がっていく。
ハンドマイクに切り替えた4人は、2曲目として疾走感のある青春ソング「Watercolor」を明るく歌い上げる。曲中にはパートが変わるごとに背景モニターにそれぞれのアップショットと名前が映し出され、自己紹介代わりの1曲となった。
МCでは観客とのコールアンドレスポンスを楽しむ4人。最後に風楽奏斗の「今日を最高の思い出にする覚悟があるやつ?」という問いかけにファンが大歓声で答えると、3曲目「De Lu Lu」へ。昨年のクリスマスイブに発表された「De Lu Lu」は、ポップでありながらもどこかセンチメンタルな旋律が特徴的なラブソング。4人は軽やかかつ一糸乱れぬダンスとともに美しいユニゾンを響かせ、ファンを魅了した。
VOLTACTION 1st LIVE “Dynamic VOLT”の様子。
続く4曲目は「インレイド -Dance Remix-」。彼らのデビュー曲「インレイド」をその名のごとくダンサブルにアレンジしたもので、「Documentary of VOLTACTION『150 Days』」にて行われたダンス最終審査の課題曲としても使用され、最も踊り込んできたと言える1曲だ。4人はドキュメンタリー撮影時よりもキレを増した体捌きを見せ、試練の日々を乗り越えた成果をファンの前で存分に披露。その後のМCパートで4人は安堵したような笑みを浮かべていた。
今回のライブでは4人それぞれのソロパートや、風楽と渡会、四季凪とセラフによるデュエットなども会場を湧かせた。アンコールではVOLTACTIONが春夏秋冬それぞれにぴったりな恋愛をテーマにした歌とダンスを、メンバーそれぞれがセンターを務めて届ける新プロジェクト「VOLTACTION in the Seasons of Love?」の情報が解禁。そしてセラフがセンターを務める春の楽曲「Sanctuary」の生パフォーマンスも行われた。
2月23日(日)17:00 「にじさんじDJフェス2025」熱狂の3日間、ここに終幕
幕張メッセ7ホールで、2月21日から23日の3日間に渡って開催されていた「MOGRA presents にじさんじDJフェス2025 sponsored by にじフェス」。過去最大規模となった本イベントには、にじさんじ楽曲に縁のあるクリエイターや秋葉原の人気クラブ・MOGRAで活躍するDJ、そしてにじさんじライバーが代わる代わる登場。出演者も最大規模の布陣が構え、連日それぞれが渾身のプレイを披露していた。会場を埋め尽くすオーディエンスの熱気は、初日から最高潮。お目当てのDJが登場するたびにフロアからは歓声が上がり、期待に満ちた熱視線が注がれる。
そして、3日間にわたる興奮のフィナーレを飾ったのは、kz(livetune)。彼のプレイが始まると、会場のボルテージは一段階ギアを上げ、さらなる熱狂へと突き進む。重低音と高揚感溢れるメロディーが体を揺さぶり、オーディエンスは思い思いのスタイルで音楽に身を委ねていた。
「MOGRA presents にじさんじDJフェス2025」でDJをするkz(livetune)。photo by Kana Ugai
「Virtual to LIVE」「Wonder NeverLand」「Budding!」など数々の楽曲でにじさんじの歴史を彩ってきた彼が最後にプレイしたのは「Hurrah!!」。サビの「Hurrah! Hurrah!」の掛け声が響くと、オーディエンスは歌声に合わせて力強くペンライトを突き上げ、観客の興奮は頂点に達する。汗と熱気、音楽が一体となり、幕張メッセは大きなエネルギーの奔流と化した。
大歓声の中、kz(livetune)がマイクを握り、高らかに「撤収ー!」と叫ぶと、その言葉を合図に3日間にわたる熱狂の祭典は幕を下ろした。「MOGRA presents にじさんじDJフェス2025」は、音楽の力、そしてにじさんじとオーディエンスのつながりを改めて感じさせるひとときとなった。

「にじさんじDJフェス」kz×烏屋茶房×DJ WILDPARTY座談会 「アウェイに見えて圧倒的にホーム」
2月23日(日)17:00 重大発表連発の「閉会式」、そして「WORLD TOUR 2025」へ
「にじフェス2025閉会式」の様子。
「にじフェス2025」閉幕が近づく中、オープンステージで行われる「閉会式」を見届けるため、続々と来場者が集まってくる。司会を務めたのは月ノ美兎と樋口楓。にじさんじを象徴する2人の姿に、会場からは温かい拍手と歓声が送られた。
スクリーンには、「にじフェス2025」期間中のハイライトシーンが次々と映し出される。1枚1枚の写真が「にじフェス2025」の記憶を呼び覚まし、会場には歓声や笑い声とともに思い出を共有する温かい空気が流れる。
振り返りを終えると、月ノが「皆さんお待ちかねの、にじさんじからのお知らせです!」とアナウンスし、いよいよ告知タイムへ。「お知らせが多いので疲れないようにね」という樋口の言葉の通り、「にじさんじフェス展」「にじFAN PARTY」「NIJISANJI EN新人男性ユニットデビュー」と、怒涛のように続く発表に会場は沸き立った。
そして、月ノが「最後に……ファンタスティックな告知が!」と宣言。会場が固唾を飲んで見守る中、スクリーンに映し出されたのは「にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin' in the Rainbow!」の文字だった。にじさんじ7周年を記念した史上最大規模でのライブツアーの開催が発表、さらに国内7公演それぞれのツアー情報と海外公演を予定していることも解禁されると、この日1番の大歓声が巻き起こり、色とりどりのペンライトが激しく揺れた。
興奮冷めやらぬ熱気が漂う中、司会の2人の「未来に希望を託して、これにて閉会でーす!」という閉会宣言をもって「にじフェス2025」が幕を閉じた。
「にじフェス2025閉会式」でMCを担当した月ノ美兎と樋口楓。
2月23日(日)19:00 熱狂の終焉、大規模な撤収作業が開始!
撤収作業中の校舎オブジェ。
表舞台の華やかさとは対照的に、舞台裏では祭りの終わりを告げる撤収作業が始まっていた。巨大なステージセットが解体され、音響機器や照明機器が続々と運び出されていく。展示ブースに設置されていたパネルや装飾品、アトラクションで使用された設備や機材も、プロたちの手によって手際よく撤去されていった。
撤収作業はイベントスタッフ、技術スタッフ、清掃スタッフなど、多くの人々が協力して行われる。それぞれの役割を担うスタッフが作業を分担し、連携しながら作業を進めていくことで、大規模な撤収作業もスムーズに進み、2月23日(日)中には無事に完了した。
撤収作業が完了した幕張メッセの様子。
2月23日(日)19:00 「OVERTURE」Daytime Stage、EN初のリアルライブへ向けた最終調整
閉会式を終え、来場者の多くが帰路に就き始める中、イベントホールでは翌日に開催を控えるにじさんじ 7th Anniversary LIVE 「OVERTURE」 Daytime Stageのゲネプロが行われていた。バンドメンバーがチューニングを終えると、ライバーたちが「よろしくお願いします!」とステージ入りし、PA卓や関係スタッフたちに挨拶をする。
ゲネプロ中も終始、和気あいあいとしている彼らは、特効の調整でステージから炎が上がると、「オーー!」とうれしそうにリアクションし、NIJISANJI EN初となるリアルライブを楽しんでいるようだった。
にじさんじ 7th Anniversary LIVE 「OVERTURE」 Daytime Stageゲネプロの様子。
イヤモニの調整、マイクチェック、サウンドチェックを終え、ゲネプロがスタートすると、エリーラ ペンドラ、ロゼミ ラブロックが影ナレを読み上げる……のだが、難しい日本語が並ぶ影ナレ原稿に苦戦し、何度も噛んでしまう。堪えきれず爆笑してしまうと、ほかのメンバーたちも思わず吹き出し、ステージには穏やかな時間が流れる。
その後も、ときに通訳を通しつつ、イベントプランナーと連携を取りながら細やかな確認を進めていくライバーたち。およそ23時頃までゲネプロは続いた。
2月24日(月)1:30 「OVERTURE」Nighttime Stage、本番へ向けた深夜ゲネプロ
「OVERTURE」 Daytime Stageに続いて、Nighttime Stageのゲネプロが始まったのは、日付が変わった深夜1:30。「よろしくお願いしまーす!」と深夜とは思えない明るい声でステージ入りするライバーたち。その中でもアルス・アルマルは、自身のマイクチェックの際に素直にひと言、「お腹いっぱいで眠いです。よろしくお願いしまーす!」と漏らす。思わずこぼれた本音に、同じく深夜まで稼働するスタッフたちからくすりと笑いが起き、現場の空気が一瞬和んだ。
本番で使用するイヤモニの調整やサウンドチェックが、1人ずつ丁寧に行われていく。大きな音楽ライブのステージにまだ慣れていないメンバーにとっては、自分の声や演奏の「返し」を最適化するこの作業も重要なステップだ。
少し戸惑いながらスタッフとやり取りするメンバーもいる中、「ここの返し、もう少し上げられますか?」「立ち位置、こっちで合ってますよね?」と、ステージ経験豊富な甲斐田晴が自身のチェックを迅速にこなしつつ、ほかのメンバーにも的確なアドバイスを送っていた。そのスムーズな進行ぶりとリーダーシップに、メンバーからは自然と「さすが!」「カッコいい!」といった声が漏れ、チームとしての信頼感が垣間見える瞬間だった。
サウンドチェックを経て、ゲネプロはいよいよ本番さながらのステージング確認へ。深夜の静寂の中、ライバーたちは真剣な表情でリハーサルに没頭していた。外がうっすらと白み始める頃までゲネプロは続き、数時間後に迫った本番への調整が行われた。
にじさんじ 7th Anniversary LIVE 「OVERTURE」 Nighttime Stageゲネプロの様子。
2月24日(月)13:00 NIJISANJI EN初リアルライブ「OVERTURE」Daytime Stageの舞台裏
にじさんじ 7th Anniversary LIVE 「OVERTURE」 Daytime Stageの様子。
「OVERTURE」Daytime Stageに出演するのは、エリーラ ペンドラ、ロゼミ ラブロック、エナー・アールウェット、アイク・イーヴランド、ヴォックス・アクマ、サニー・ブリスコー、マリア マリオネット、レン ゾットら8名のライバーたち。「Virtual Strike (English Ver.)」でライブが開幕し、続くMCパートのコール&レスポンスではサニーが「海外から来た人〜」と会場に問いかけると、少なくない歓声が上がった。さらにサニーの掛け声で、会場全体でウェーブを作るなど、器用に日本語と英語の両方を使い分け、会場を盛り上げていく。
にじさんじ 7th Anniversary LIVE 「OVERTURE」 Daytime Stageで「KING」を歌唱したヴォックス・アクマ。
間違いなくこのイベントのハイライトの1つになったのは、ヴォックス・アクマによる「KING」だ。椅子を使った振り付けと縦横無尽に動き回る大胆なステージングで割れんばかりの歓声が巻き起こり、会場は大きく揺れたようだった。特効で炎が上がり、会場の盛り上がりもピークに達する。
そして、最後のMCでは今日この日にかけてきた思いや互いへの感謝を述べ、涙を流しながら抱き合うENメンバーたち。同じように涙を流す観客も目についた。念願を叶え、ENライバー初のリアルライブを成し遂げ、記念すべきひとときは終わりを迎えた。
ANYCOLOR MAGAZINE編集部は「OVERTURE」Daytime Stageを終え、Nighttime Stageの準備中のイベントプランナーに、忙しい合間を縫ってインタビューに応じてもらった。彼の言葉には、出演ライバーのパフォーマンスに懸ける情熱やライブ成功への安堵が滲んでいた。
――昨日のゲネプロですが、かなり遅い時間までされていたようですね?
イベントプランナー Y:ホテルに帰ったのは早朝で、仮眠をとってまたすぐ戻ってきましたね(笑)。技術スタッフは僕よりも長くギリギリまで調整されている方もいらっしゃいました。
――皆さん本当にお疲れ様でした……! 本番前の調整は順調に進みましたか?
イベントプランナー Y:そうですね! 順調には進みましたが、VTuberのライブって本当にギリギリまで調整が入ることが多いんです。演出面でもできることがどんどん増えていってるのですが、増えれば増えるほどオペレーションも複雑になっていくんです。ライバーさんの動きに合わせて、ここでこういう演出をして、次にこの演出をしてといったものを全部決まったタイミングにやらないといけないので、その分すごくシビアな精度が求められるようになっています。最近のライブでは本当にギリギリまで調整することが多くて、1分1秒でも時間があるとうれしいんですよね。
――NIJISANJI ENのライブを担当されてみて、これまで担当してきたライブと違いを感じたことはありましたか?
イベントプランナー Y:決定的に違うなと思ったのは選曲ですね。にじさんじの今までのライブとはだいぶ毛色の違ったセットリストになっているんじゃないかと思います。あと印象に残っているのは、ライブで歌いたい曲をヒアリングさせていただいた際に、青色に関係する曲が複数上がってきたことですね。皆さんで打ち合わせをしてたわけじゃないと思うのですが、不思議とそういった選曲になっていったので、セットリストを組むのがすごく楽しかったです。
――なるほど。ライバーさんたちの多くは英語をお話される方が多いですが、コミュニケーションで苦労されたことはありましたか?
イベントプランナー Y:今回はマリアさんやエリーラさん、サニーさんのように日本語が上手なライバーさんが多くいらっしゃいました。ライバーの皆さんをはじめ、マネージャーさんにも通訳を助けていただいたおかげで、意思の疎通がうまくいかなかったり、認識の齟齬が出たりというのはなかったですね。
――ENのライブを終えた今のYさんの感想を教えていただけますか?
イベントプランナー Y:これまでNIJISANJI ENはNIJISANJI EN AR LIVE 'COLORS'が延期になってしまうなど、いろいろな壁にぶち当たりながら活動してきました。今回のライブが初めてお客さんを入れたリアルライブだったので、皆さん本当に気合が入っていましたね。基本的にライバーさんのレッスンはいくつかのユニットに分かれて行うのですが、ENの皆さんから「一緒にレッスンをしたい!」という要望があり、集まって練習することも多かったんです。
自分が歌わない曲のダンスも踊れるようになるくらい一緒に過ごされていたので、そういった熱量や絆の強さが今日の成果となってファンの方々に届いている光景を見て、僕も泣いてしまいました。これからNighttime Stageもあるので気を抜けないんですが、ファンの方々にもっとENを好きになってもらえるような、すごくいいライブにすることができたのではないかと思っています。
にじさんじ 7th Anniversary LIVE 「OVERTURE」 Daytime Stageの様子。
――今回「OVERTURE」の昼公演と夜公演を通して、Yさんがご担当されています。共通衣装ライブを担当されるうえで、こだわったことはありますか?
イベントプランナー Y:「FANTASIA」「SYMPHONIA」と歴史を重ねてきた共通衣装ライブを「OVERTURE」でもう一段階進化させるというところを意識して作っています。今回の「OVERTURE」は二部構成なので、似たような演出を取り入れて、昼公演と夜公演でリンクさせている部分があります。両公演を見ていただいた方々に「どっちもにじさんじの共通衣装ライブなんだ!」と思ってもらえるような仕掛けをいくつか仕込んでいるので、そういったところも楽しんでいただきたいですね。
――ENライバーさんのライブ後の様子はいかがでしたか? また、これからライブを控えているNighttime Stage出演ライバーさんはいかがでしょうか?
イベントプランナー Y:ENライバーさんたちは、最後のMCでも感極まっていたのを見ていただければわかると思うんですが、最後までやりきった達成感でいっぱいでしたね。僕も裏に挨拶しに行ったんですが、一緒に感極まって泣いてしまいました。
夜公演の皆さんは、逆にENのライブを見てすごく刺激を受けていました。やっぱり「にじフェス2025」を締めくくるライブになるので、「ここから気を引き締めてやっていくぞ」と気合十分といった印象です。
2月24日(月)18:00 7周年を熱狂で彩る! 「OVERTURE」Nighttime Stageで感動のフィナーレ
にじさんじ 7th Anniversary LIVE 「OVERTURE」Nighttime Stageの様子。
「にじフェス2025」のフィナーレを飾るのは、にじさんじ 7th Anniversary LIVE「OVERTURE」Nighttime Stage。える、アルス・アルマル、星川サラ、甲斐田晴、レオス・ヴィンセント、ローレン・イロアス、風楽奏斗、ソフィア・ヴァレンタインら8名のライバーが渾身のパフォーマンスを披露し、観客を熱狂の渦へと巻き込んだ。
オープニング1曲目の「Virtual Strike」では、通常衣装から共通衣装への変化というサプライズで観客を魅了し、会場の興奮は冒頭から最高潮へ。最初のMCでは「皆さん、盛り上がっていますかー!」という星川の元気な挨拶を皮切りに、共通衣装を身にまとった出演者たちが、それぞれの衣装のこだわりについてトークを繰り広げた。
和やかな雰囲気でMCが進む中、コール&レスポンスでは風楽が「にじフェス前夜祭から今日まで楽しんだやつー!」「今日すべての力出し切る覚悟あるやつー!」「にじさんじ愛してるやつー!」と立て続けに会場に声を投げかけ、観客も全力でそれに応えた。その後、レオスによる「オンリーワンダー」をはじめ、星川と甲斐田コンビによる「ハッピーウェディング前ソング」、えるとレオスによる「ハッスル」など、個性溢れるステージが連続。
にじさんじ 7th Anniversary LIVE 「OVERTURE」Nighttime Stageで「水の記憶」を歌唱した甲斐田晴。
Nighttime Stageのハイライトの1つとなったのは、ライブ後半に甲斐田が披露した「水の記憶」。ステージにはシャボン玉が舞い、客席はライトブルーのペンライトが揺れる中、「お前らに見てほしい景色があるんだ、一緒に行こうぜー!」と何度も観客を煽りながら、圧巻のステージングを披露した。
ステージの最後には大歓声の中、アンコールに応えた8人が7周年記念楽曲「Arc goes oN」を熱唱。感動的なフィナーレを迎え、「にじフェス2025」は幕を閉じた。
2月24日(月)20:00 ホールイベント&オープンステージを支えたスタッフたち
イベントを実施するうえで、欠かせないのがライバーを陰ながら支えるスタジオスタッフの存在だ。「にじフェス2025」のステージ上で輝くライバーたちのパフォーマンスも、実はたくさんの技術スタッフの支えによって支えられていた。今回はホールイベントとオープンステージ、それぞれの現場を指揮した3Dスタジオディレクターに舞台裏での工夫や当日の裏話などを語ってもらった。
――まずは「にじフェス2025」でのご担当箇所を教えて下さい。
3Dスタジオディレクター M:僕が担当したのがEX Gamers Event “Odd Play-Off”と「OVERTURE」Nighttime Stageになります。各イベントの3D関連業務を取りまとめつつ、イベントプランナーやライバーさんの「これをしたい!」という要望を叶えていくのが、自分の仕事ですね。
3Dスタジオディレクター I:自分は主にオープンステージを担当しまして、「にじクイ 出張版 in にじフェス2025」「世界対抗かわいい選手権 -Kawaii Showdown-」「にじフェス最強ペア決定戦」「にじフェス2025閉会式」に携わっていました。業務内容としてはMさんと同じようなものですが、オープンステージではバラエティ企画が多かったので、ライバーさんへの外部デバイスを使ったオペレーションや小道具の調整・受け渡しなどの業務も多かったですね。
――ステージをご担当するにあたり、こだわったところやご苦労されたところがありましたらお聞きしたいです。
3Dスタジオディレクター M:まず、EX Gamers Event “Odd Play-Off”のほうは、イベントホールという大舞台で生のバラエティライブをするというのが1番の目玉だったと思います。ゲームパートはいつも担当しているような音楽主体のイベントと違い、小道具や舞台転換が多いので、観客の方が飽きないようにするための事前準備と速やかな撤収を意識していました。
バラエティパート前の曲で使用した大きい階段、バラエティパートでは「STREET FIGHTER 6」の実機とライバーさんがプレイする椅子や机の転換が大掛かりで時間がかかるので、進行上で工夫し、転換の時間を短くしてお客さんを待たせないように心がけました。
EX Gamers Event “Odd Play-Off”の様子。
3Dスタジオディレクター M:「OVERTURE」Nighttime Stageでは、レオスさんとえるさんから「ハッスル」を歌う際に、「ステージで恐竜を歩かせたい」というご要望をいただいたんです。自分のほうでいろいろと恐竜を歩かせるための調整をさせていただいたのですが、タイミングなどのオペレーションも含め、かなりこだわった部分になりますね。
ライバーさんがやりたいことって、お客さんが求めていることと合致することが多いと思っているので、それをいかに叶えるかというのは僕たちの腕の見せどころなのかなと思っています!
3Dスタジオディレクター I:正直なところ、オープンステージの担当業務は割とシンプルなものが多く、苦労した部分などは少なかったんです。実は自分は2024年10月入社でして、今回初めて「にじフェス」にスタッフとして参加しました。前職でも同じような職種だったのですが、やはり何度も大規模イベントを重ねているだけの知見がにじさんじにはあるな、というのが今回の「にじフェス2025」で感じたことでしたね。
先ほど「担当業務としてはシンプル」と言ったのも、スイッチングをはじめ、関係各所との密な連携がスムーズに行える環境がすでに整っており、本来のイベントであれば0から調整しなければならない部分も、これまでの蓄積によりほぼほぼ苦労せずに対応することができたんです。こんなに大規模なイベントなのに、ここまで苦労しないことがあるんだと思うレベルでしっかりしていて……先人たちの苦労の結晶だなと。自分にはこだわりがないような言い方になってしまったんですが、本当にすべてが高水準だったのが印象的でした。
「世界対抗かわいい選手権 -Kawaii Showdown-」の様子。
3Dスタジオディレクター M:これまでのイベントではトラブルが発生してしまうことも度々あったと思いますが、回数を重ねて知見が溜まってきたり、人員も増えたりしているので、より強固なチームになってきたというのは自分もよく感じていることですね。
3Dスタジオディレクター I:イベントの1番の強みはリアルタイムでレスポンスがあることだと思います。ライバーさんもお客さんと同じ空間にいることを肌で感じることができますし、現地にいるお客さんとしかできないようなやり取りも積極的にすることができますよね。その体験をお客さんとライバーさん含めて、どちらもいい体験にするためにどうするかを1番考えるべきだと思って業務に当たっていました。
3Dスタジオディレクター M:普段の配信でもお客さんがYouTubeのコメントやXのポストで感想を書かれると思うんですけど、どうしても配信では「リアルタイムで見てくれている」という実感が薄くなってしまうと思います。我々スタッフもライバーさんやお客さんにこういった場所や体験を提供して、盛り上がっていただけたり、喜んでいただけたりしているのを見ると、達成感ややりがいを感じるんです。
3Dスタジオディレクター I:配信だとリアクションがテキストベースでしか得られないですし、レスポンスも数秒のラグがあるので、お客さんと同じ場所でインタラクティブなやり取りができるイベントは本当に貴重で素晴らしい機会だと思います。
自分も裏方ですがお客さんを楽しませる立場としてやりがいを感じつつ、常にこういうイベントもどんどん更新していかなきゃいけないと思っているので、プレッシャーを感じた「にじフェス2025」となりました。
2月24日(月)21:00 ホール撤収作業開始、過去最大規模となった「にじフェス2025」成功の裏側
撤収作業中のイベントホール。
にじさんじ 7th Anniversary LIVE「OVERTURE」Nighttime Stageが幕を閉じた瞬間、スタッフ控室からは、あちこちで「お疲れ様でしたー!」という声が響き渡る。達成感に満ちた拍手が自然と沸き上がり、「いや〜やり切ったー!」「終わったね〜!」と、それぞれのスタッフが思い思いに言葉を漏らしていた。「無事に終わってよかった、でもこっからだよ!」と疲労の色を隠せない表情の中にも、7周年というメモリアルな1年に向けて、新たなスタートを切る決意が感じられる。
しかし、それも束の間、最速感想会の準備調整や大掛かりな片付け作業が、矢継ぎ早に始まった。会場は再び慌ただしい雰囲気に包まれ、ゆうに200人を超えるスタッフがそれぞれの持ち場で動き出す。巨大なステージセットが解体され、次々に機材が運び出されると、会場は徐々に静寂を取り戻していく。最後にイベントを成功に導いたチーフディレクターに話を聞いた。彼の言葉から、熱狂の裏側に迫る。
――「にじフェス2025」の準備期間はどのくらいだったのでしょうか? また、関わっているスタッフ数は何人ほどいたのでしょうか?
チーフディレクター S:2022年以降は1年2ヶ月ペースで進めています。どうしても1年以上は準備期間がかかるので、「にじフェス2025」が始まる前から来年に向けて動き始めることになりますね。外部のスタッフを含めた全スタッフ数で言うと、2000人以上になります。弊社の社員だけでも250人以上が当日現地で稼働しているので、かなり大きな規模のイベントになります。
撤収作業中のイベントホール。
――「にじフェス2025」について、これまでの「にじフェス」と異なる点はありましたか?
チーフディレクター S:今回の「にじフェス2025」は7周年というメモリアルな年ということもあり、規模を大きくしていきたいという思いがありました。今年使える予算やリソースを全部注ぎ込んで、今回はトータル5日間という今まででも最長の期間で開催することができましたね。毎年段階を踏んでイベントを大きくできているのは、本当にすごいことだと思いますし、最大規模での開催が7周年と重なったのは素直によかったと思っています。
――これまでの「にじフェス」で課題となっていたことはありましたか? また今回はそれをどのように乗り越えたのでしょうか?
チーフディレクター S:毎年「にじフェス」を開催していく中で、ライバーさん・スタッフともに少し無理のあるスケジュール感で進行してしまっていたというのは課題でしたね。毎年回数を重ねていく中で、そろそろ正常化できるだけの知見が溜まってきたので、今回こそは改善したいという思いがありました。なので、今年はライバーさんの稼働スケジュールをすべての工程で細かく決めたほか、スタッフもシフト制にして、綿密なスケジュール管理をしたんです。
ライバーさん・スタッフともに「あらかじめ決めた時間通りに動く」という意識の統一ができた結果、ライバーさんにも無理なく動けると感じていただけたと思いますし、スタッフも今年は日付が変わるぐらいの時間にはほぼほぼ人がいなくなっていました。
人間はちゃんと寝ないと本当にだめになってしまうので、常識的な時間に来て、常識的な時間に帰ることができていたのかなと思います。最終日だけはライブが2つある関係上、どうしても深夜稼働が発生してしまうスタッフもいたのですが、それ以外は概ね問題なく進められました。
また例年お客さんの入場が遅れるなどのトラブルがありましたが、今回は事前に対応できたため、大きなトラブルにはなりませんでしたね。前回の反省を踏まえ、顔認証を導入するなど、スムーズな入場ができるように改善しました。予算も例年より高くなり、会場もどんどん大きくなっているので、ミスると取り返しのつかない規模感になってきています。毎年できるベストは尽くしていますが、今年はいつもより重点的に準備を進めました。ただ、視聴覚室でネットワークトラブルがあり、1時間ほど遅延してしまいました。お待たせしてしまった方々には本当に申し訳ございません。
――「にじフェス2025」が無事終了しましたが、予定していたプログラムが終了した瞬間の心境はいかがでしたか? 1年以上かけたものが実を結んだ瞬間の達成感などはありましたか?
チーフディレクター S:先ほどお話ししたようにトラブルもあったのですが、多くのお客さんに満足いただけたのではないかと思い、ほっとしているという感情のほうが大きいかもしれません。私はチーフディレクターとして全体を見ていたので、個々の企画にそこまで深く関わっているわけではないんです。実際に企画単位で動いていた現場のスタッフのほうが、お客さんに企画を届けられたという達成感を感じているんじゃないかと思っていますね! とはいえ、毎回自分にできる範囲のことをやりきって、イベントを成功と言える形で終えられたことはすごくいいことだと思っています。
幕張メッセ入り口に掲げられたキービジュアル。
こうして、5日間という過去最大規模で開催された「にじフェス2025」は、7周年というメモリアルイヤーを飾るにふさわしい大成功を収めて幕を閉じた。多くの人の心を動かした熱気と感動の余韻は、すでに次回開催への期待を高めているはず。たくさんの感動と笑顔を胸に、またこの場所で再会できる日を楽しみにしたい。