にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow! 福岡公演レポート
福岡公演口開けの1曲はスタイリッシュなダンスナンバー「Beyond the way」。重たいビートと縦横に飛び交う照明に、会場は早くもダンスホールのような盛り上がりを見せる。サビの直前にメンバーが一斉に共通衣装へと着替えると、悲鳴のような歓声が沸き起こった。
2曲目は女性陣による「G4L」。ホットピンクの照明を浴びた彼女たちは、指先まで魅せる妖艶なダンスで観客をディープな世界へ誘う。手のひらを上向きに差し出すギャルピースの振り付けで、曲名にちなみ“ギャル”のエッセンスを加えることも忘れない。続いて男性陣が再び現れ、ステージ上に座り込むというダウナーな姿勢から「偽物人間40号」を歌い始める。ここで夢追がウェービーなセット、不破はラフにまとめたポニーテールと、新たな髪型を披露。オリバーは持ち味の低音ボイスで曲全体に厚みを持たせ、夢追・不破とともに大人の色気を存分に振りまいた。
本公演最初のМCパートで、6名は思い思いの口上でコール&レスポンスを楽しむ。この日、現地の天候が心配されていたため、会場にはライバー手作りのてるてる坊主が飾られていた。その甲斐あってか丸1日雨模様となることを避けられ、6名は安心したような表情を見せる。
ここで共通衣装が初お披露目となった鷹宮、オリバー、倉持がそれぞれの衣装の見どころをトーク。オリバーは懐中時計のほか、普段胸元に飾っているバラをヘアアレンジのアクセントとしていることを説明し、倉持はアシンメトリーな足の装いやサイドポニーを飾る白とピンクのリボンをアピール。鷹宮はトレードマークとなっているツインテールのリボンと胸元に輝くピンク色のハートを見どころに選んだ。すでに大盛り上がりとなった会場だが、ライブはまだ始まったばかり。夢追の「みんな!盛り上がっていけるか!」という問いかけに、観客は大歓声で応える。
先輩たちから熱いエールを受け、客席にも「緊張している倉持にパワーをください!」と語りかける倉持。「ふー!」と深呼吸をして気合いを入れ直し、倉持はヒップホップ調にアレンジされた「サラマンダー(TAKU INOUE 3-Minutes Remix)」を歌いだす。普段からダンスが得意と話している彼女ならではの、手数が多い振り付けで会場の熱い視線を一身に集めた。その後、鷹宮と不破が「ULTRA C」でクールかつエネルギッシュな歌声を響き合わせ、鷹宮、夢追、オリバー、星川がストーリー仕立てのハイテンポナンバー「Alice in N.Y.」を堂々と歌い上げる。
星川がソロパートの曲目に選んだのはスパイシーでスイートな世界観が特徴の「ラヴィ」。ハーフアップツインテールの髪型を披露した星川は小悪魔の赤い羽を装着し、ウィンク、投げキッスを連発しながら愛らしくも挑発的な歌声で会場を魅了する。
続く「GURU」では聴衆の魂ごと鼓舞するような情熱的なビートに乗せ、巨大フラッグを手にした倉持とオリバーが会場の熱気をかき回すようなステージングを見せた。曲後のМCパートではライブ冒頭から緊張を見せていたオリバーが、ステージ袖から合流した星川と不破に感想を問われ、「体が勝手に動いています、今……!」と恐縮したようにコメントする。
不破は星川に向け「俺らってけっこう同じ現場でライブしてるね。昔は(星川が)すごく緊張してたんですよ。でも今日はもう『やってやろっか!』みたいな」と成長した様子を語ると、星川は「そんなんじゃない!」と笑う。その後星川はヘアアレンジしたことをアピールし、不破と客席からの「かわいいよー!」という声を浴びていた。そんな和やかなやり取りを見せていた2名は、「シネマ」をデュエット。星川のクリアな高音と不破の優しい歌声がマッチし、会場にエモーショナルなひとときを届けた。
スタンドマイクの前に立ったオリバーがピンスポットライトに照らされ、「命に嫌われている。」のイントロが流れると観客は驚いたような声を上げる。始めは落ち着いた様子でマイクに向き合っていたオリバーだったが、曲が進むにつれて声にこもる熱量が上がっていき、終盤の叫びにも似た歌声が観客の胸を打った。
その後、ステージに夢追と不破が登場する。これまで数多くのステージに立ってきた2名は夕日のようなライトを浴びながら安心感のあるステージングで「CITRUS」を披露。後半には2名が向き合い、声をぶつけ合うように情感たっぷりに歌声を響かせる場面が見られた。続けて、鷹宮、星川、オリバー、倉持がクールなラップとキュートなメロディーが目まぐるしく交差する「どうにかなっちゃいそう!」を披露。客席からは「みんなかわいいよー!」という称賛が飛んだ。
暗転した会場に、突如PC画面を思わせる映像が映し出され、次の曲として夢追が福岡公演に向けて制作した新曲「僕にピアノは弾けないけれど」が披露されることが明らかに。観客の驚きが収まらないまま、ステージには夢追のほか、ピアノと作業PCのセットが現れ、音楽制作に取り組む彼の様子を表現した演出であることが伺える。苦悩にさいなまれながらも音楽と向き合い、ステージで歌い続けるという強い思いを表現した歌詞に、観客はじっくりと耳を傾けていた。
鷹宮がソロパートの曲として選んだのは「みんなに伝えたい気持ちにリンクした曲」だという「恥ずかしいか青春は」。ファンにとって馴染み深い制服姿となった鷹宮は、悩み傷付きながらも、今しかない青春を全力で謳歌する思いを歌に託す。「私と一緒に青春してくれてありがとう!」「今日という日をずっと忘れません! 本当にみんな大好きだよ!」という鷹宮の声に、赤いペンライトの波が激しく揺れていた。
その後再びステージに現れた夢追は星川とともに「GETCHA!」をデュエット。“夢星家”のコンビ名でも知られる仲良しコンビは息の合ったパフォーマンスで魅せ、曲中の英語の歌詞も華麗に歌い上げる。鷹宮と倉持は「Mister Jewel Box」でコラボ。「ウチらにメロがっていこー!」というキュートな始まりから一転し、拡声器を手にした2名は、切れ味鋭いラップと高低巧みに入れ替わるフロウで会場を翻弄する。その後倉持は夢追、不破、オリバーと合流し「ファイアダンス」をドロップ。ステージ上が燃え上がるような演出とリンクするように、熱さを増す彼らの灼熱パフォーマンスが観客を圧倒した。
ソロ歌唱パートのラストは、不破による「一旦ステイ TONIGHT」。2024年下半期に、にじさんじミュージックシーンを席巻したゴリゴリのパーティチューンで、観客のテンションは一気に頂上へ。ステージ上に2基のシャンパンタワーが登場し、不破と客席の分厚いコール&レスポンスによって会場の盛り上がりは天井知らずに上がっていく。ラスサビには福岡組6名が勢ぞろいしてダンスを披露した。
本編最後の曲はにじさんじの7周年記念楽曲「Arc goes oN」。個性豊かな6色の歌声が繊細に重なり、1つの美しいハーモニーを生み出すさまを、観客は思い思いに光らせたペンライトを振りながら見つめていた。
ライバーたちがステージを去ると、さざ波のような拍手の中からアンコールの声が湧き起こる。その声に応えるかのようにジャズ調のイントロが流れ、「ヨナガオルケスタ」のパフォーマンスがスタート。四季をコンセプトにした楽曲プロジェクト「HE4RT BE4T!」より、秋をテーマにした「ヨナガオルケスタ」はこれから夜長の時期が待ち受ける9月にぴったり。ライバーたちはアップテンポなリズムに乗せて、客席と「Swinging, dancing, Yonaga-Orquesta!」と声を揃えた。
最後のМCパートで、6名は福岡公演の感想を語り合うことに。夢追は新曲を披露したことに触れ「どういう反応になるかな、とかいろんなことを考えていたんですが、本番をやってたら楽しゅーて楽しゅーて! みんなの声援もうれしいし、このメンバーでやれて本当によかった!」と晴れやかに笑う。鷹宮は「みんなで練習して最高のものが出来たんじゃないかと思います! このメンバーで楽しかったし、スタッフさんと一緒に福岡公演を作り上げることができて本当に楽しかったです!」と頭を下げた。
星川は「2020年のツアー(にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!)でインタビュアーとして参加したんですが、今回は出演者として参加できてめっちゃうれしかった! にじさんじもどんどん大きくなると思うんですけど、これからもにじさんじを大好きでいてね!」と大きく手を振る。不破は福岡公演のメンバーが発表されたとき「どういう集まりだろう?」と首を傾げたというが、最終的に「この6人でよかったなと! みんなで作り上げた最高の1日になったと思うので、楽しんでもらえていたらうれしいです! またどこかでお会いしましょう!」と語った。
始まる直前まで緊張が収まらなかったというオリバーは「先輩方に励ましてもらって、そして皆さんがいてくれたから気が付いたら一瞬で終わってました。超楽しかった! こんな機会をいただけると思ってなかったので本当に光栄です」とコメント。倉持は「デビューしてからずっと、大きい舞台でライブすることが目標だったんですが、初めての素敵な舞台に立たせてもらって、素敵なメンバーとスタッフとやらせていただいて本当に幸せでした! まだまだがんばるから応援よろしくね!」と笑顔を浮かべた。
福岡公演を締めくくるラストの1曲は、数多のライブで歌い継がれてきた「Virtual to LIVE」。ライバーたちは「みんな本当にありがとう!」「福岡、楽しかったか!?」「最高の日になったか?」とギリギリまで客席に声をかける。最後には観客と一緒に声を揃えて歌いながら、情熱的なパフォーマンスで満ちた一夜の幕を閉じた。
にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!福岡公演 福岡サンパレス ホテル&ホール(福岡)セットリスト
1. Beyond the way/Vivid BAD SQUAD(カバー)
2. G4L/Giga(カバー)鷹宮リオン、星川サラ、倉持めると
3. 偽物人間40号/¿?shimon(カバー)夢追翔、不破湊、オリバー・エバンス
4. サラマンダー(TAKU INOUE 3-Minutes Remix) 」/DECO*27(カバー)倉持めると
5. ULTRA C/Vivid BAD SQUAD(カバー)鷹宮リオン、不破湊
6. Alice in N.Y./ひとしずく×やま△(カバー)鷹宮リオン、夢追翔、星川サラ、オリバー・エバンス
7. ラヴィ/すりぃ(カバー)星川サラ
8. GURU/じん(カバー)オリバー・エバンス、倉持めると
9. シネマ/Ayase(カバー)星川サラ、不破湊
10. 命に嫌われている。/カンザキイオリ(カバー)オリバー・エバンス
11. CITRUS/Da-iCE(カバー)夢追翔、不破湊
12. どうにかなっちゃいそう!/NOMELON NOLEMON(カバー)鷹宮リオン、星川サラ、オリバー・エバンス、倉持めると
13. 僕にピアノは弾けないけれど/夢追翔
14. 恥ずかしいか青春は/緑黄色社会(カバー)鷹宮リオン
15. GETCHA!/Giga、キラ(カバー)夢追翔、星川サラ
16. Mister Jewel Box/トップハムハット狂(カバー)鷹宮リオン、倉持めると
17. ファイアダンス/Vivid BAD SQUAD(カバー)夢追翔、不破湊、オリバー・エバンス、倉持めると
18. 一旦ステイ TONIGHT/不破湊
19. Arc goes oN
アンコール
1. ヨナガオルケスタ
2. Virtual to LIVE
ライブを終えたライバーたちからコメントが到着
鷹宮リオン
すごく楽しかった! 本当に一瞬に感じたけど、自分が愛されてるって実感できた幸せなライブでした。「Virtual to LIVE」で「行くよ!」って歌ったとき、「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!」でも「Virtual to LIVE」を歌ったことを思い出して。2020年は1人で「行くよ!」って歌ったところを、今回はみんなで一緒に歌っていてエモかったー!
夢追翔
いつもライブ1つひとつに力を込め過ぎてしまうので、今も出涸らし状態です……。それを踏まえて今一番いいたいことは、「また歌いたい」です。お疲れ様でした。
星川サラ
やりきった~…! 緊張してるメンバーもいたけど、終わったあとはみんなめっちゃ笑顔になってて、すっごくいいライブだったって思えました! ソロ(「ラヴィ」)のときは、客席に星川の色のペンライトがいっぱい見えてうれしかったです!
不破湊
福岡が好き、みんなが好き。出会ってくれてありがとうね。最高のライブでした。また、必ず俺らはここにやってくる。アーカイブを観られる人は、全部観てね!
オリバー・エバンス
初めてのライブで数日前からずっと緊張していたんですが、先輩たちに励ましていただきましたし、皆さん歌も踊りもすごくうまくて触発されたので、「もうすぐライブが始まるんだな」って楽しみに待てるようになりました。本番は頭が真っ白になってしまうときもありましたが、一瞬で終わったように感じられるほど楽しかったです! みんなのパフォーマンスが素晴らしいので、アーカイブなどで全部注目してください!
倉持めると
初めてのライブだったので、楽しみにしててくれるファンの皆さんがどう見てくれるのかドキドキしてました……。最後まで楽しくて「ここまで一緒に来られてよかった」と思ってくれてたらいいなという気持ちと、無事終わってよかった!という達成感でいっぱいです! 会場には倉持のファンの方々だけじゃなくて、もちろん先輩方を応援している方々もいらっしゃったんですが、倉持がソロで歌うときに客席がピンク色のライトで埋まっている様子を見せてくださって、忘れられない思い出になりました。