にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!東京公演レポート
客電が落ちるとステージ中央にはピンスポットの光を浴びた月ノの姿が。彼女が「Arc goes oN」をアカペラで歌い始めると会場は一気に静まり返り、その歌声に耳を傾ける。曲が進行するに連れて1人、また1人とステージに加わり、伏見・剣持・椎名・笹木の4名は新たな髪型をステージ上で初披露。ライバーの髪型が変わる瞬間には、客席から割れんばかりの歓声が沸き起こった。
最初のMCを経てステージに1人残った家長は、この日初お披露目の共通衣装をアピールし、猫耳ヘッドフォン、猫のブローチ、尻尾をオーディエンスに見せつける。ひさびさのライブ出演となる心境を打ち明けたMCののち「待っててくれて、ありがとう」の声から始まったのは「恋」のカバー。彼女は息遣いまで聴かせるキュートな歌声と“恋ダンス”で観る者を魅了した。
笹木と椎名の”さくゆい”は、「絶絶絶絶対聖域」をカバー。2人は向かい合って息を合わせ、クールかつシリアスなこの曲を熱く歌い上げる。彼女たちが普段の曲ではなかなか見せないデスボイスを轟かせると、それに呼応するように客席からは盛大な歓声が上がった。続いて剣持がステージに登場すると客席のペンライトは紫一色に。彼は拳を振り上げてオーディエンスを煽りながら「バッド・ダンス・ホール」を歌い、ライブを勢い付けた。
伏見と夕陽は「Party!!」をデュエット。ステージ上部に鎮座するミラーボールが光を乱反射する中、曲名通りのパーティソングで会場を盛り上げる。続く「ファタール」は夕陽がソロで歌唱。自身の分身やこの日の共演者たちがダンサーとして登場する特殊な演出の中、おなじみの通常衣装からこの日お披露目となった共通衣装に切り替わる早着替えで会場を沸かす。ここまでアップテンポのナンバー続きだったところに変化を投じたのは剣持と椎名。2人は「点描の唄」をしっとりと歌い上げ、会場内をハートフルな空気で包み込んだ。
制服姿でステージの中央に姿を現した月ノは、2018年開催のイベント「月ノ美兎の夏休み〜課外授業編〜」で多数のリクエストが集まった楽曲をここで披露することを宣言。スタンドマイクの前に立ち、堂々と「閃光少女」を歌唱した。一瞬で天使の羽と天使の輪が付いた共通衣装に着替えた月ノは、悪魔の角と翼を生やした家長と「天天天国地獄国」で息の合った掛け合いを披露。天使と悪魔、天国と地獄を交互に歌うこの曲でオーディエンスを夢見心地へと誘った。
ライブ中盤はボカロ曲、アニソン、ゲーム音楽といったインターネットカルチャーを賑わせてきた楽曲が立て続けに披露される展開に。笹木は地団太を踏みながらDECO*27の「テレパシ」を熱唱。椎名は「完全放棄宣言」を宙に浮かぶステージの上で歌う。椎名と伏見が歌唱中にポーズを決めながら「不死鳥のフランメ」をパフォーマンスすれば、家長と夕陽の2人は「ロウワー」でコラボ。公私ともに交流が深いことで知られる“リリむぎ”の2人が手を取り合って歌う姿に、客席からは盛大な歓声が上がった。相性抜群のコラボで上がったテンションを引き継いだのは“咎人”というコラボ名で知られる剣持と伏見。咎人の2人は「ポラリス」を吠えるように歌い上げ、ファンを熱狂させた。
伏見がソロ曲にセレクトしたのは「BOW AND ARROW」。彼はイントロや間奏のたびに「盛り上げてくれますか?」「ついてきてくれてありがとう」とファンに語りかけ、オーディエンスの歓声をかっさらう。家長、笹木、椎名、月ノ、夕陽の5人は「ハッピーミルフィーユ」で豪華コラボ。曲中で最後のセリフパートを担当した月ノは「これ、本気のやつだから」というセリフでファンの心を撃ち抜いた。
にじさんじの中でもキャリアの長い月ノと剣持の2人は「この2人で歌うとエモくなりがちじゃないですか」と前置きし、剣持の「今回はそういうのじゃなくやってみたい。みんな楽しみにきたんでしょ?」、月ノの「元気いっぱいでいきましょう」という曲振りから「ヤバみ」を熱唱。頭空っぽで楽しめるハイスピードかつハイテンションなこの曲を歌いながら、2人はステージの左右を縦横無尽に駆け回り「終わり!」という言葉を残すと走ってステージをあとにした。家長、剣持、笹木、月ノ、伏見の5人が通常衣装でステージに立つと「ハレ晴レユカイ」の演奏がスタート。5人は完コピでこの曲を歌って踊り、00年代アニソンの持つ懐かしい空気感を会場内に再現した。
7人全員が勢揃いするMCでは、1月21日に誕生日を迎える夕陽へのサプライズとしてバースデーケーキのプレゼントが持ち込まれた。このサプライズを引き立たせるために、あえて今日まで夕陽の誕生日に触れていなかったメンバーたちは「サプライズじゃい!」「おめでとうー!」と拍手で夕陽を祝福する。夕陽は驚きのあまり「すごい……すごい」と語彙力を失いながらもピンクのクリームでデコレーションされたケーキを「すごくかわいいです!」と喜び、メンバーに感謝の言葉を贈った。
夕陽へのプレゼント作戦も成功し、会場中が和やかな雰囲気に包まれる中、剣持が「東京公演、ラスト2曲です!」とアナウンスする。本編最後のMCとして、メンバーたちはこの日の感想を順番に語っていくことに。伏見は「終わりたくないっすよ、本当に……! たくさん練習してきたのに、あと2曲やったら終わっちゃうんでしょ? でも、みんなの思い出に残るように最後までやっていこうと思うのでよろしくお願いします!」とラストスパートに向けて気合充分。月ノは「とても楽しかったですね。皆さんの熱気もめちゃくちゃ伝わってきて、高揚感に包まれて一瞬の出来事でした」とライブを振り返る。「VTuberって相互のやり取りで作り上がっていく面白さがある」と話し始めた剣持は「ボルテージをもらって、そのままそれが力になってに発散して、それでまた盛り上がってもらえる、そのループにVTuberのいいところが詰まっている。VTuberのいいところを、8年経ってもまた見つけられるのかと思い、いい気持ちになりました」と、自身の歩みを振り返りながらコメントした。
椎名はファンとの関係に触れ「いつも配信で(ファンの)みんなとやり取りしてると友達みたいな感じなんですけど、実際にライブで応援してもらっているのを目にすると『本当に好きでいてくれてるんだ』という愛を感じることができました!」とほほえむ。笹木は東京公演のライバーがベテラン揃いであることから出演者を“古代メンバー”と表現しつつ、「にじさんじも8年目になってすごくライバーが増えたじゃん? そんな中でこのメンバーで出演できることは逆に奇跡」と語る。そして活動初期の頃にスタッフに対して「にじさんじは共通衣装がないのか」と聞いたところ、「にじさんじにはない」と返されてがっかりしたと言う笹木だったが、「今はそれも変わって、こうして共通衣装でみんなで並べてることは奇跡なんだなと感じています。たくさんの人に感謝してます」と述べた。
「未来人、今回初めてライブに出演しました。皆さんの前に立つことができて、まずそれがすごくうれしいです」と語る夕陽。練習期間には過去にライブ出演を経験しているメンバーたちの姿に刺激を受けたと語る彼女は「皆さんの背中がすごくカッコよくて、がんばろうと思えました。残り2曲なのがさびしいんですけど、最後までにじさんじを楽しんでいただければと思います」とコメントした。家長は「むぎはすっごく久しぶりのライブだったんですけど、進化しているところをいっぱい見つけられたし自分も大きくなれたし、でも変わらない同期や先輩、ちょっと後輩がいて。本当に夢みたいな時間だなと思いながら今日を迎えることができて、とっても楽しかったでーす! これからもたくさんがんばりまーす! 見ててね!」と元気いっぱいに語った。
その後披露されたのは四季をコンセプトにした楽曲プロジェクト「HE4RT BE4T!」より、冬をテーマにした「ファミリア」。ファンタジックで温かな曲の世界観に寄り添うように、メンバーたちは透明感あふれるハーモニーを奏でる。曲の終盤にはシャボン玉が宙にきらめき、「魔法をかけよう さぁ、何度でも」と声を響かせるライバーたちの姿を彩っていた。
会場がしっとりとした空気に包まれたのも束の間、「あと1曲と言いましたね。あれは嘘です。残り25曲!」と月ノが発言すると「にじさんじ組曲」と題したメドレーがスタート。月ノの「Moon!!」で始まったこのメドレーでは「さくゆいたいそう」といった本編で披露されなかった楽曲はもちろん、▽▲TRiNITY▲▽やNornisの楽曲、卯月コウの「鍋ラップ」といったコアな楽曲までを含んだ25曲がノンストップでつなげられた。曲の途中では笹木漸九と椎名獅亥による“ざくしい”による乱入シーンや、昨秋注目を集めた「にぎにぎにじたうん!」にあわせて全員が軽やかなダンスをする場面も。7年の集大成とも言える楽曲群で、お祭り騒ぎのような盛り上がりを生み出した。
熱烈なアンコールに応えて登場した笹木、椎名、月ノの3人は「てんやわんや、夏。」の冬バージョンとして新曲「なんやかんや、冬。」を初披露。ステージ周辺には雪が舞う冬景色の中、3人は自身のキャラクターや性格、イントネーションを生かしたセリフでオーディエンスを揺さぶった。アンコール2曲目は家長、剣持、伏見、夕陽の4人からなる“ハッピートリガー”による「アンノウン・マザーグース」。三者三様ならぬ四者四様の声でバトンを渡すように歌い紡ぎ、最後に4人が声を合わせると会場内にカタルシスがもたらされた。
ツアーのフィナーレを飾る楽曲は、本ツアーでも欠かさず歌い継がれてきた「Virtual to LIVE」。スクリーンにはこれまでのツアーの各公演のライブ写真が映し出され、長きにわたったツアーに思いを馳せながら「ラララ」の合唱を会場内に響かせた。最後のMCで月ノは「にじさんじを7年間応援してくださって、本当にありがとうございます。このメンバーは古株ということもあって、まさかこうなるとは思ってもみなかった人たちだと思います。みんな3Dになるなんて信じられませんでした」「『まさかこんなにでっかくなるとは』って、まだまだ私たちに言わせてください! 10周年まで走り続けるぞ!」と拳を掲げ、ワールドツアー「にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin' in the Rainbow!」を締めくくった。
取材・文:倉嶌孝彦 監修:ANYCOLOR MAGAZINE編集部
にじさんじ WORLD TOUR 2025 Singin’ in the Rainbow!東京公演 TOYOTA ARENA TOKYO(東京)セットリスト
1.Arc goes oN
2.恋/星野源(カバー)家長むぎ
3.絶絶絶絶対聖域/ano feat. 幾田りら(カバー)笹木咲、椎名唯華
4.バッド・ダンス・ホール/ぱなまん(カバー)剣持刀也
5.Party!!/緑黄色社会(カバー)伏見ガク、夕陽リリ
6.ファタール/GEMN(カバー)夕陽リリ
7.点描の唄/Mrs. GREEN APPLE(カバー)剣持刀也、椎名唯華
8.閃光少女/東京事変(カバー)月ノ美兎
9.天天天国地獄国/Aiobahn +81 feat. ななひら & P丸様。(カバー)家長むぎ、月ノ美兎
10.テレパシ/DECO*27(カバー)笹木咲
11.完全放棄宣言/ナナヲアカリ(カバー)椎名唯華
12.不死鳥のフランメ/マリア×風鳴翼(CV:日笠陽子×水樹奈々)(カバー)椎名唯華、伏見ガク
13.ロウワー/ぬゆり(カバー)家長むぎ、夕陽リリ
14.ポラリス/BLUE ENCOUNT(カバー)剣持刀也、伏見ガク
15.BOW AND ARROW/米津玄師(カバー)伏見ガク
16.ハッピーミルフィーユ/初星学園(カバー)月ノ美兎、家長むぎ、夕陽リリ、笹木咲、椎名唯華
17.ヤバみ/ヤバイTシャツ屋さん(カバー)月ノ美兎、剣持刀也
18.ハレ晴レユカイ/平野綾、茅原実里、後藤邑子(カバー)月ノ美兎、家長むぎ、剣持刀也、伏見ガク、笹木咲
19.ファミリア
20.にじさんじ組曲
アンコール
1.なんやかんや、冬。/月ノ美兎、笹木咲、椎名唯華
2.アンノウン・マザーグース/wowaka(カバー)家長むぎ、剣持刀也、伏見ガク、夕陽リリ
3.Virtual to LIVE
ライブを終えたライバーたちからコメントが到着
月ノ美兎
本番でめちゃくちゃ緊張したらどうしようかと思っていたんですが、いざ始まったらめちゃくちゃ楽しくて、緊張が二の次になった気がしました。あと、めっちゃ汗かきました。しょっぱかったです。
家長むぎ
東京公演ありがとうございました! 今の自分にできる100%を、後悔なく出し切れたと思います。次につなげられるように引き続きがんばります。にじさんじをよろしくお願いします!
剣持刀也
ありがたいことに、今までにじさんじのライブにたくさん出させていただいたんですが、今回のライブが一番好きでしたね。やっぱり我々のような古参メンバーじゃないと、「にじさんじ組曲」と銘打って披露するのはなんとなく難しいと思いますし、そういうのも含めて1つの歴史としてまとめあげて、「今のにじさんじのライブ」を凝縮した形としてお見せできたんじゃないでしょうか。にじさんじが大好きな僕としては、大満足でした。
伏見ガク
そしてオレたちの全力の熱量を感じてもらえて、受け取ってくれたみんなが会場でも画面の前でも思いっきり腕を振ってくれたり声援を送ってくれたりしてくれてること。本当にうれしいことだって身に染みます。
寂しさはもちろんあるけど、でも! このメンバーと一緒に出来て本当に! 本当に! 最高に楽しかった!
最後まで応援してくれて本当にありがとう!!
夕陽リリ
お疲れ様です!もともとにじさんじが好きなんですけど、今回のライブでもっと「好きだな」と思えました!今後も飛躍していくにじさんじと、夕陽リリともどもよろしくお願いします!
笹木咲
にじさんじって、ええやなあ……。マジで一瞬で終わっちゃって、ずっと楽しかったんだけど、一番楽しかったのは「にじさんじ組曲」を走り抜けてるときかな。最高にみんなで楽しめて、最高の公演でした! ありがとうやよ~!
椎名唯華
東京公演おつかれさまです! 最初はメンバーに関して何も思ってなかったんですけど……。
一同
(笑)
椎名唯華
でも改めていい先輩たちがいたなって。一緒にやれてよかったなって思えました。最高のライブにしてくれて、そしてみんなも盛り上げてくれてありがとうございました!